まねき猫の部屋

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太陽黒点数と株価や景気動向は連動しているか調べてみた。

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ブログへご訪問ありがとうございます。

「未来のことを知りたい」という想いは多くの人が持っている願望の1つでしょう。

太陽の光の増減が歴史を変えたとする説があります。

そこから、太陽黒点数から気候変動や株価の動向を予測する研究もされています。

今回は、2018年の太陽黒点数の数値を振り返りながら、これまでの景気動向や株価、気温との連動性を見ていきます。

ご興味のある方は、ご覧ください。

数字をクリックするとジャンプします。
お忙しい方は一部だけでもご覧ください。

目次

1.太陽黒点周期と景気循環

2.黒点数と景気動向が書かれた本

3.景気循環サイクルのこと

4.太陽黒点と東京の気温の関係

5.まとめ

2019年2月4日作成 2021年1月19更新

 

 

最近の太陽黒点に関する記事はこちらです。  

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2019年の月別黒点データが入っています。

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こちらは、2021年12月までの月別黒点数データです。

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1.太陽黒点周期と景気循環

 始めに、1977年1月から2018年12月までの太陽黒点の周期を見てみましょう。

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データ参照:天文年鑑2019 p.202

 

天文年鑑 2019年版

天文年鑑 2019年版

 

 

見ての通り通り2018年は、太陽黒点数の少ない時期にありました。

太陽黒点が少ない時期は、太陽の活動が低下している時期でもあります。

太陽は、11年から12年の周期で黒点数が増減し、届く光のエネルギーも増減します。

この周期には、1775年から番号が振られていて2018年は第24期の終わりになります。

2019年以降は、黒点数の増加が予想されていて、第25期と呼ばれる予定です。

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太陽はご存じの通り水素が核融合をして熱を発しています。

中心温度は実に1,500万度にも達します。

表面温度は明るい所が約6000度ですが、黒点は約4,500度と低いため黒く見えます。

この黒点数の少ない時期は、太陽活動が低調な時期と言われています。

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この絵は、1645年から1715年にあったマウンダー極小期の寒い時代を伝える絵です。

川が全面凍結し、空も暗い様子が描かれています。


この時代、農作物は実らず、農民は飢え、世界的に飢饉が起きました。
また、栄養不足や日照不足による健康の悪化によってペストなどの病気が蔓延し、経済恐慌が起こりました。
安定を欠いた社会は、革命も起こす結果となりました。
一方で、この時期は科学的なパラダイムシフトの時代でもあり、近代への転換期でもありました。

気候の変化が経済や社会を変えていく一例でしょう。

 

さて、
太陽黒点数と日経平均株価や過去の景気の良かった時期との関係を見てみましょう。

こちらは、日経平均株価の始まった1949年からプロットしてみました。

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この様子を見ると、黒点の増減と景気や株価の連動性は見出せない感じです。

それなのに、なぜ太陽活動と景気の連動性がささやかれるのでしょうか?

その辺りを見ていきましょう。

 

 

2.黒点数と景気連動が書かれた本

太陽と景気動向の連動性を具体的に書かれた本をご紹介します。

私は図書館の児童図書のコーナーで偶然見つけました。

27年前のことです。

こども向けの本と、バカに出来ない分かりやすい本でした。

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 参照:「歴史を変えた太陽の光」あすなろ書房
    桜井邦朋著 1992年2月初刊

この本には、例えば、

アメリカの工業生産の成長率と太陽黒点の関係が示されています。

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出所:「歴史を変えた太陽の光」p.114-115

図では、成長率は1986-87年が好調のピークで、1992年に底を打つと記されています。

また、太陽黒点が最も少ない時期に景気は好調を迎え、太陽黒点と景気は逆位相の関係にあるとも書かれています。

事実、太陽黒点は1986年(14.8個)に最小となり、アメリカ経済は絶好調でした。

その年は、日本も平成バブル景気の始まりに当たりました。

そして、1989年6月に太陽黒点数がピークを迎えた翌年、黒点数の減少に同期したかのように株価は降下し始め、92年から景気も低迷期に入っています。

 

本の発行は1992年2月ですが、半年以上前に原稿は出来ていたでしょうから、予想としては結構いい線いっている感じです。

この本はすでに絶版していて、アマゾンでも取り扱いが無くなっています。
残念です。

 

さて、
紹介した本以前に太陽黒点周期と景気循環の関係についての研究の歴史がわかる本があります。

1987年4月(昭和62年)に発行された「マンガ 日本経済入門Part2」の中のテーマの1つとして扱われています。

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この本は、「サイボーグ009」や「仮面ライダー」の著者でも知られる石ノ森章太郎先生の作品です。全巻ハードカバーの描き下ろし作品で、その2作目になります。
こちらも、すでに絶版で中古本のみが扱われていました。 

 

マンガ日本経済入門 (Part2)

マンガ日本経済入門 (Part2)

 

 

では、少し本の内容を見てみましょう。

 

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出所:マンガ 日本経済入門Part2 日本経済新聞社 p.258

ここに書かれているように、太陽黒点景気循環を初めて指摘したのは、ウィリアム・ジェヴォンズです。
米国の設備投資循環(ジュグラー・サイクル)と太陽黒点の推移が同様の変化をしていることが分かります。

ジェヴォンズは、有名な経済学者で、この太陽黒点活動と景気循環との連動を1876年に科学雑誌『ネイチャー』に「商業恐慌と太陽黒点」という論文で、発表しました。

が、この説は他の経済学者からはあまり評判が良くなく無視され忘れ去られてしまいました。

しかし、1977年に太陽黒点の周期と震幅の間に55年の周期があるという説を吉村宏和氏が発見したことで事態は変わってきます。

この周期は、発見者の名を取って吉村サイクルと呼ばれています。

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出所:マンガ 日本経済入門Part2  p.259

このサイクルが、約50年を周期とする長期景気循環コンドラチェフの波と一致することから、ふたたび、太陽黒点景気循環との連動性がホットな話題となり、このマンガにも登場することとなったのでした。

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出所:マンガ 日本経済入門Part2 p.259

ユダヤ人は、そのことを昔から知っていてお金儲けに利用していたという話しも引用されています。

このようにずいぶん昔から太陽黒点数の増減と景気循環が研究されていたようです。

 

 

 

 

3.景気循環サイクルのこと

 ここで景気循環サイクルにどんなものがあるかを簡単におさらいします。

主な景気循環サイクルを、期間の短い順に示します。

キチンの波      
:約40ヶ月(約3.3年)在庫の増減を原因とする循環サイクル


ジュグラー・サイクル 
:約10年を周期とする設備投資循環とも言われる循環サイクル


グズネッツの波    
:約20年を周期とする建築活動に見られる循環サイクル


コンドラチェフの波  
:約50年を周期とする長期景気循環の波
 景気循環の代表的理論

 

「周期の研究」という本では、以下のように関係性を図で説明しています。

太陽黒点の約55年の増減サイクルとコンドラチェフの波(サイクル)が一致しているように見えますね。

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出所:周期の研究 KKベストセラーズ 飛岡健著 1989年発行 p.113 

 

太陽黒点と気温の増減、それにまつわる景気循環の関係がキーワードといえます。

ここで景気循環サイクルと太陽黒点の関係を整理しておきましょう。

キチンの波:約40ヶ月(約3.3年)
 :在校増減の循環
 ←→ エルニーニョ・サイクル(太陽周期の1/3)

 

ジュグラー・サイクル
 :約10年の設備投資循環
 ←→ 太陽黒点周期 11年サイクル

 

グズネッツの波
 :約20年の建築活動循環
 ←→ヘールのサイクル(太陽黒点の2倍周期)

 

コンドラチェフの波
 :約50年の長期景気循環
 ←→吉村サイクル(太陽黒点の5倍周期)

 

このようにまとめていくと、太陽黒点の周期と景気動向の関連性があるように感じられますね。

 

 

 

4.太陽黒点数と東京の気温の関係

 

次は自分なりにデータを集めて相関関係を確認してみることにしました。

そこで、太陽黒点数と直接関係ありそうな気温を調べてみました。

東京都の気温と比較したのが下図です。

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出所:気温は気象庁 基礎データベースから著者が編集し作成

 

この図では比較しにくいので、実際の気温と漸近線の値の差で比較したのが下図です。

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太陽黒点周期の第19期から第22期までは比較合っているようです。
第23期は合っているとは言いにくいですね。

第24期は下降部分は一致していますが、まだ判断が難しいかもしれません。

17世紀の絵をご覧いただいたように、
太陽黒点の少ない時期は、太陽活動が停滞し雲の発生も増えて地球に注ぐ光が減るという説があります。

たとえば、これはアメリカの穀物取引の小麦卸売り価格と黒点数の推移です。

最初にご紹介した本からの引用です。

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出所:歴史を変えた太陽の光 あすなろ書房 p.113

1800年頃にも太陽黒点が減少した時期があり、小麦が不作となり価格が高騰した様子が示されています。

このように、太陽黒点の変動が、気温の変化を起こし、さまざまな経済活動に影響しているとするのが、太陽黒点景気循環の連動性を説明する仮説となっているようです。

 

実は、地球は長期トレンド上は氷河期に入ろうとしていますが、温暖化がそれを遅らせているという仮説があります。

「人類と気候の10万年史」という本の中で説明されています。

  

 

図だけご紹介します。

 

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出所:「人類と気候の10万年史」 p.156-157

2万3000年ごとに、地球は公転軌道などの偏心の影響で寒冷化する時期があることが地層調査から分かってきました。
しかし、先ほどの東京都の温度推移を見ても分かるように傾向的には温暖化が進んでいるようにも見えます。

とはいえ、ここ何日かは寒く感じる日が続きますね。

この先数年の長期的な気温変化に注目していくことが必要でしょう。

 

 

 

5.まとめ

 ・2018年は、太陽黒点数の少ない時期だった

黒点数の少ない時期は太陽活動が低調な時期

黒点増減と景気や株価の連動性は見出せない

太陽黒点周期と震幅の間に55年の周期がある
 ことを吉村氏が発見し景気変動との関連性
 が議論されている

・それは、コンドラチェフの波
 :約50年の長期景気循環
 吉村サイクル(太陽黒点の5倍周期)の関係

・東京都の気温と黒点数に相関はありそうだ
 が‥‥まだ観察が必要

・最近の研究で地球は氷河期に入りかけている
 が、温暖化が遅らせているという仮説がある

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

終わり

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