改善も手法の活用で効率化
問題発見は出来るが、改善のアイデア出しで苦労することはありませんか?
そうした時に活用したい手法に、ECRSという改善の4原則があります。
普段何気なくやっていることを、4つのキーワードで効果的・効率的に行う手法です。
問題解決にお悩みでしたら、お付き合いください。
この記事は2019年8月5日の内容を、新たに書き直したものです。
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1.ECRSとは?
ECRSは、改善の4原則と言われるムダを無くす時に利用すると効果的な手法です。
4つの言葉の頭文字を取って「ECRS」(イクルス)と呼ばれています。
それぞれの言葉と意味は次の通りです。
Eliminate(排除/やめる)
:業務をやめてしまうCombine(結合/一緒にする)
:業務を一つにまとめるRearrange(入れ替え/他でやる)
:業務の順序を変える・他の方法に変えるSimplify(簡素化/簡単化)
:業務を単純にする
また、この頭文字の順番は、優先度も示しています。
E→C→R→Sの順に見直し
をするのが効率的です。
では、1つ1つ内容を見ていきましょう。
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2.ECRSの使い方
Eliminate(排除/やめる)
業務を改善する上で、まずやってみることは、
その仕事をやめてみたら?
と考えることです。
ずいぶん荒っぽいですね。
「そんな簡単にやめていいの?」
という声が聞こえてきそうです(^_^;)
でも、
大丈夫です。
たとえば、
コロナ禍で業務のオンライン化が推奨されました。
その時に問題になったのが「ハンコ」だったのは記憶に新しい出来事です。
テレワークなどの在宅勤務で、リアルな「ハンコ」が仕事の妨げになりました。
アナログ時代の承認制度が、色々な組織に染みついていました。
なかなか無くならない。
ところが、このコロナ禍さわぎで、
政府さえ業務のオンライン化を阻む元凶だと削減を進めることになりました。
引用:NHKニュース20年9月24日 河野行革相の会見
河野大臣がやるぞといったとたん、99.4%のハンコが削減されることになりました。
やってみると以外と削減出来るものです。
もちろん、このように普段要らないんじゃ無い思っている仕事が対象です。
むやみにやめれば良いというものではありません。
しかし、変だなあと思っている仕事は、まずはやめてみる価値があります。
Amazonなどの配達業務の一部では、ハンコがすでに廃止されていますね。
ちょっとの手間ですが、楽になりました。
Combine(結合/一緒にする)
いくつかの業務を一つに結合したり、まとめてみます。
製造であれば、別々に行っていた検品と箱詰めを同時に行ってみる。
オフィスワークであれば、別々に行っていた会議を1つにまとめてみる。
加えて、最近推奨されているオンライン会議に変更してみる。
イラスト屋さんのイラストを利用しまねき猫編集
この結合とまとめるは、組織の効率化にも活用されています。
「AチームとBチームを1つのチームにまとめる」
最近の組織編成ではよく行われています。
また、役職を減らし組織階層をまとめてしまうのも最近の傾向のようです。
階層のフラット化現象です。
これは社員としては複雑な心境かもしれません。
一方、指示系統がすっきりして仕事やマネジメントには効果的と評価されています。
Rearrange(入れ替え/他でやる)
業務の順序を変えてみたり、方法を他のやり方に変えてみる。
上司に説明する時は、順番に説明するのではなく、まず、結論から言ってみる。
エレベータトークと言って、30秒で上司に結論ー理由ー例を話すと、理解し易い上に、時間のムダを省けます。
詳しい説明は省略しますが、こうした説明の仕方には、PREP法が有効です。
事務仕事なら、手計算していた集計作業を、EXCELの表計算に置き換える。
このような仕事の入れ替えや他の方法に変えてみるのは、改善策として皆さんもよく利用されている方法ですね。
Simplify(簡素化/簡単化)
複雑な業務フローをできるだけ、単純化してみる。
Amazonの「いますぐ買う」は、購入のステップを減らしながら、内容を確認しつつ注文が出来る簡単化の好事例の1つです。
引用:AmazonHPより
また、人作業を、機械化して自動化する。
などは、高度な効率化の方法です。
ただ、お金も時間もかかるのが難点ですね。
なので、改善の優先度は、
E→C→R→Sの順
にするのが有効となります。
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3.ECRSを他手法と併用する事例
ECRSだけでも色々なアイデアが出せますが、他の手法も併用するとさらに発想が広がり、これまでにない解決策が出しやすくなります。
ここでは、
会議の時間を削減する
を例に改善案の抽出作業をしてみましょう。
まずは、ロジカルシンキング定番のMECEとECRSを組み合わせてみます。
注:MECE:相互背反・集合分離
事柄の構成要素をモレなくダブリなく切り分ける方法
会議時間をMECEで切り分けると、
会議時間=
議題の数×議題にかかる平均所要時間
と因数分解できます。
そこから、大きな解決策として
議題の数を減らす
議論の時間を短くする
が導けます。
さらに、解決策の具体化でECRSを利用します。
実際に行った事例がこれになります。
たとえば「議題の数を減らす」で、Eliminate(排除/やめる)を用いてアイデアを出してみます。
ECRSでは、「Eliminate(排除/やめる)」から始めると良いと言われていますね。
「伝えるだけの議題は資料を配るだけにして議題から減らす」という、
やめるアイデアを出してみました。
以下も同様に進めていきます。
順番は、E→C→R→Sでしたね。
こうして出した解決策を課題具体化のロジックツリーでまとめてみたのが下図です。
Simplify が多く出ていることがわかります。
会議時間の削減は、検討作業をしっかりと行って進めていく必要がありますね。
他の組合せの例も見てみましょう。
4MとECRSを利用しました。
もう一つやってみます。
時間軸とECRSを利用してみます。
いかがでしょうか?
こうした手法を使ったアイデア出しは、実践していくことで力量が向上します。
失敗を恐れず、ぜひトライしてみてください。
4.まとめ
ECRSは、「イクルス」と発音する
業務のムダを改善するアイデアを出しやすくする手法の1つ
Eliminate(排除/やめる)
:業務をやめてしまう
Combine(結合/一緒にする)
:業務を一つにまとめる
Rearrange(入れ替え/他でやる)
:業務の順序を変える・他の方法に変えてしまう
Simplify(簡素化/簡単化)
:業務を単純にする
E→C→R→Sの順に業務の見直しをするのが効率的
ECRSと他の手法も併用するとより発想が広がる
解決策のアイデア出しに困ったら、ECRSをぜひ活用してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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終わり