分析
クロスSWOT分析の作り方をご紹介します。クロスSWOT分析は経営戦略の中でSWOT分析と合わせてよく使われる手法です。SWOT分析で今を整理した後に、何をすべきか行動案を導きだす未来に向けた取組のヒントを得る手法です。
しかし、クロスSWOT分析は作成が難しい手法と言われています。単に組み合わせただけの案は、役に立たないという意見もあります。でも、要は使い方次第です。発想法と同じでポイントを押さえれば役立つことを事例も交えてご紹介しています。よろしければ、お付き合いください。
1.SWOT分析とは
始めにSWOT分析の復習をします。マクドナルドを例に解説します。
ご存じの方は、この章は読み飛ばしてください。
SWOT分析は4つの窓に分かれていて、今(ここ大事)の自社・自分の強み・弱み・機会・脅威を明らかにする手法です。
SWOT分析を作成する上では、強みや弱み、機会や脅威を導きだすために、3M+I分析やPEST分析を利用します。
強み・弱みは3M+I分析で、自社や自分の資源を、人(Man)・モノ(Machine)・金(Maney)・情報(Information)で振り返るものです。たとえば、人であれば、これまでの活動で、獲得したスキルや経験、ノウハウを強みに書き、競争者と比べて、足りない部分を弱みとして整理します。
そして、機会・脅威は、PEST分析というマクロ環境分析のキーワードを用いて書き出します。
この説明は長くなるので、PEST分析を詳しく知りたい方はこちらからどうぞ
SWOT分析の例
SWOT分析の具体的な例を1つを見て見ましょう。 皆さんも利用されたことがあるだろうマクドナルドを例にしてみました。
まずは、マクドナルドのハンバーガーショップにおける位置を再確認しておきます。
マクドナルドは、ハンバーガーショップにおいては、ガリバー的な存在です。売上のパレート図をご覧になっても分かるとおり、シェアの約80%を占めています。これは、ランチェスター戦略における強者の理論で、市場シェアの73.9%以上を取っているので、市場を独占的に扱えるといわれる位置になります。
店舗数も2924店舗と2位のモスバーガーを2倍以上引き離しています。
一方で、「好きなハンバーガー屋さんはどこか?」というアンケートにおいては、2位のモスバーガーに大差で敗れています。3位のバーガーキングは売上が1.9億円しかない弱者の企業ですが、その相手にさえ2%差と肉薄されています。
マクドナルドのSWOT分析
こうした情報などから、マクドナルドのSWOT分析を私がまとめた例がこちらです。
強みは、圧倒的なシェアNo.1ということと、そのブランド力です。
店舗数が多いことや、商品開発力も強みとなります。
一方、弱みは、好まれるという点では1番になれていないことでしょう。また、低価格路線なので、利益率は低く売上変化に経営が左右されやすい所も、弱みとなります。
他、機会としては、コロナ禍の収束と共に、1人世帯の外食が多くなっていることや、話題性の高いハンバーガーがSNSなどで取り上げられて人気になることから、付加価値商品の人気を取り上げてみました。
脅威は、最近、回転寿司で話題になったように食の安全性がSNSなどで拡散するとあっという間に売上が減ってしまいます。また、コンビニなどもコーヒー販売に力を入れていることなども競争者との脅威にあたります。
長々と説明にお付き合いくださり、ありがとうございました。お待たせしましたクロスSWOT分析のお話に入ります。
2.クロスSWOT分析
クロスSWOT分析は、SWOT分析でまとめた、強み・弱み・機会・脅威を用いて、これからの行動のヒントを得る分析です。
クロス分析といわれるのは、図のように、
強み×機会、弱み×機会、強み×脅威、弱み×脅威
というように、それぞれのステートメントを掛け合わせて策を導き出す手法に由縁しているようです。
作成する上で、大切なことは、
基本戦略を、強み×機会から
防衛戦略を、弱み×機会から
強化戦略を、強み×脅威から
リスク回避策を、弱み×脅威から
と、各窓の目的に沿った戦略を考えることです。
例えば、基本戦略は、1番大切な行動案となるので、重要度が高く効果的な内容であるよう心がけます。
他、防衛戦略は、弱みを克服しやすい案になっているか、強化戦略は、強みを活かせているか、リスク回避は、脅威の予防策として妥当か、などを考慮します。
マクドナルドのクロスSWOT分析
では、さきほどのマクドナルドのSWOT分析結果から、クロスSWOT分析をしてみましょう。こちらも、私が作成してみたものです。お断りしておきますが、マクドナルドさんは、この件について関与していません。その点は、ご承知ください。
さっそく、見てみましょう。
強み×機会(基本戦略)
利便性の高い店舗で商品開発力を活かした幅広い客層に対応したメニュー提供を実現する。
としました。これは、ランチェスター戦略における強者の戦略でもあります。マクドナルドは、強者の戦略が使える立場なので、いわゆる全方位戦略から考えます。幅広いお客様のニーズにあった商品を一気に展開する手法です。お店の利便性が良いので、お子様から高齢の方まで利用したくなるメニューを用意しておくことがポイントになります。実際に、マクドナルドでは、こうした新メニューを多く展開する方法をとっていますね。
ちなみに、ランチェスター戦略については、こちらを参照してください。
弱み×機会(防衛戦略)
スマホアプリを活用した顧客ニーズに即したデリバリー販売方法で利用者層を広げる
マクドナルドの弱みの1つは、規模が大きすぎてどこでも同じ標準的なサービス提供になってしまう点があります。一方で、最近のスマホアプリを使ったサービス提供は、パーソナルニーズに対応しやすい環境が整っています。こうしたサービスを上手に利用する手はありません。
強み×脅威(強化戦略)
商品開発力を活かし健康や環境負荷にやさしい商品を増やす
最近は、健康志向や環境負荷の低減に関心の高いお客様が沢山います。リサイクルだけでは無く、健康や環境負荷に配慮した商品をラインナップできるのもシェアNo.1の売上を持つマクドナルドだからこそ率先して実現出来るサーブスとなります。マクドナルドはあまり宣伝していませんが、実際の商品の素材などにはかなりの配慮がされています。
弱み×脅威(リスク回避)
品質・イメージが良質であることをSNSやTV CMで発信する
マクドナルドは、2014年~15年に賞味期限切れ問題や、異物混入事件で食の安全性を問われて苦戦したことがあります。最近では、回転寿司がやり玉に上がっていますが、他山の石ではありません。こうした活動は、継続的に行っておくことが予防策として大切です。
いかがだったでしょうか?
クロスSWOT分析の作り方の流れが、ご理解いただけたら幸いです。
3.私のクロスSWOT分析
こうした手法を個人の活動に活かす方法も、ご参考までにお伝えします。
事例は、私自身の例をご覧頂ければと思います。
67歳の私のSWOT分析
まずは、67歳の私の今のSWOT分析結果です。
詳細の説明は、割愛します。
ご確認したいかたは、記事にしていますので、そちらを参照してください。
上の記事では、53歳と67際の時のSWOT分析を比較しています。
14年も経つと随分変化しているものだと痛感しました。
では、私のクロスSWOT分析をご覧ください。
こんな感じでまとまりました。
強み×機会(基本戦略)
診断士の資格を活かして、助成金制度の支援による副業を始める
弱み×機会(防衛戦略)
家に活動できるネットを利用した仕事を探す
この2つの戦略は、結果的に2つが1つにまとまった形で実現しました。
昨年の後半から我が家のミント君が体調を崩して病院代が毎月3万円近くかかるようになってしまいました。そのため、早く収入の目処を立てたいと考えていたら、不思議ですね。願いは叶うものです。大阪のコンサルタント会社がちょうど声をかけてくれたので飛びつきました。自宅ですべて出来る資料作成の仕事です。今のところ、依頼先の企業との事前の打ち合わせもすべてネットミーティングだけで出来ています。(防衛戦略)
まだ、たいした収入にはなっていませんが、こうした仕事は経験値を高めなければならないので、まずは出来る範囲で仕事をこなしている状態です。今年一年が踏ん張り所です。
強み×脅威(強化戦略)
ブログを書いている事を仕事の成果に役立てる
こちらは案としては、書きましたが、まだ行動につながっていません。まあ、さきほどのコンサルタント会社の仕事が取れたのには役立ちました。書いているブログを観てもらったことも契約につながったと思いたいです(^_^;) 希望的観測
もう少し具体性のある行動プランに落とさないといけないですね。検討をもう少し深めていきます。
弱み×脅威(リスク回避)
資産の運用が下手の分支出の削減を継続的に行っておく
こちらはさらに厳しいです(^_^;) とりあえず電気代対策で電力会社を変更したり(この半年で2階も(^_^;))、ネット回線も契約を変えました。ネットを変えたので電話代も割引が入って安くなりました。でも、大口の保険代や、医療費の問題が未着手です。
とかなんとか言った状態です。
いかがだったでしょうか?
何らかのヒントになれば幸いです。
4.おわりに
・クロスSWOT分析は、これからの取組のヒントが得られます。
大切なことは、作戦をとにかく練って、行動につなげることです。
行動すると、何が上手く行って、どこがまずかったかが振り返られるようになります。
じいさんの余計なお節介ですが、お若い人ほど成果が出やすいと思います。
ぜひ、どんな方法を利用しても良いので、行動案を作って、活動に役立ててみましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
またのお越しを期待しております。
終わり