今日は、PEST分析をあなたの人生に役立てるヒントをお伝えしたいと思います。ご存じの通り、PEST分析は、経営戦略の外部環境のマクロ分析に用いるフレームワークです。でも、あなたの人生に関わる重要な影響点を見つけ出すことにも活用できる手法です。
考え方はシンプルですが、いざ書こうとすると中々筆が進まないとも言われます。そこで、まとめるコツを整理してみました。お困りの方は、お付き合いください。
1.PEST分析とは
PEST分析とは、あなたがコントロール出来ない外部のマクロ環境を把握するためのフレームワークです。フレームワークとは、何かを考えたり、分析したりするヒントを得るたたき台のようなものです。思考の枠組みとして、先人たちが苦労して築いた将棋の定石のようものと考えていただけると分かりやすいかも知れません。
PEST分析は、４つの要因から外部環境のヒントを導き出します。
政治的要因(Politics)
経済的要因(Economy)
社会的要因(Society)
技術的要因(Technology)
この英語の4つの頭文字を取ってPESTと名付けられました。
（PEST:ペストという読み方が一般的です）
それぞれの主な内容と例を示します。
政治的要因(Politics)
法律の改正や、政府の動き、大きな団体の行動などになります。
たとえば、年金法の改正や、最近なら自衛隊の防衛費の議論、宗教団体の問題などがあります。
経済的要因(Economy)
世帯収入の変化や、消費文化の動向、企業業績などが該当します。
最近の話題では、電気代やガソリン価格の高騰、倒産の増加といった所でしょうか？
社会的要因(Society)
住んで居る地域の人口動態や、Z世代といった若者文化の動向になります。
最近の1番の関心事は、なんと言っても国際紛争でしょう。
根本的な部分では、 少子高齢化の加速がもっとも大きい要因と言えます。
技術的要因(Technology)
これまで不可能だと言われたことを、実現する 新しい技術の出現です。
たとえば、AIによる高度な医療診断の実現や顔認証技術、また、自動運転の高度化など、他にはバイオ技術による新薬の開発といった話題性の高い要因です。
こうした要因について、自分の生活や会社の将来に影響のありそうな事を機会と脅威から書き出していきます。機会とは、自身にとってチャンスや成長に役立つ要因です。逆に脅威とは、自身の望ましくない変化や障害、問題になりそうなことです。
基本事実をベースに書きますが、未来予想も仮説として要素に加えておきます。たとえば、「AIの進化が仕事を奪う」という脅威は、何度か聞いたことがあると思います。
こうしてまとめた機会と脅威を、次は、SWOT分析の材料として利用していきます。
なお、SWOT分析の詳細は以下の記事をご参考ください。
2.PEST分析の例
実際にPEST分析としてまとめた例を示します。
こうしたPEST分析を書くことは、今時点における私やあなた（会社）の関心事を可視化することに役立ちます。とはいえ、検討したその時の情報や感情に左右されることもあります。客観的とは言いがたいですね。でも、気にしないでください。
たとえば、上のPEST分析も、いま社会で関心の高い「国際紛争の問題」や「増税」などが書き出しに影響しています。
・このまま原油価格が高騰したら電気代はどうなる？
・食品の価格上昇はいつまで続く？
・増税で、年金はどうなる？
・……
など色々な心配ごとを、かかえながら書いていました。
こうして抽出した項目が４×３×２＝24個にもなっています。
SWOT分析では、その中で利用するのはせいぜい6つです。
せっかくPEST分析で24個も抽出しておいて、18個は眠ることになります。
こうしたPEST分析のような要因抽出は、まずは量を優先するからです。
そう、あのアイデア手法で有名なブレーンストーミングの手法と同じです。
沢山の要因から、あなたに関係することを絞り込んでいきます。
一方で、すべて書き出すことは不可能だということも分かったと思います。空欄の項目も出てきますが、気にしないで空けておいて構いません。
さきほども書きましたが、沢山出しても、SWOT分析に盛り込めるのは、せいぜい４から6個です。
数を求めながら、適当な所（時間）で、止めることも大事なポイントです。
完成することを気にして、面倒になって分析を途中で投げ出したり、作成する気が失せていくほうがもったいないです。ここは、80点主義でいきましょう。
80点主義については、こちらの記事を参照してください。
3.PEST分析を書くコツ
例をご紹介しながら、出てきたポイントを書き出してみましょう。
・その時の感情に任せて書いていい。
・PEST分析は、空欄があってもいい。
・各要因はせいぜい3つに絞る。
・８０点主義で、一旦仕上げる。
さらに追加するとしたら、次の３つです。
・直感を活用する
・イメージできない要素は書かない
・定期的に内容を見直す
です。
ずいぶん乱暴ですね。
たとえば、直感で関心のある要素（出来事）
を選んぶのは論理的ではないと思う方いるかも知れません。
実は、直感は、脳が選択作業をするとき、あなたのこれまでの経験や知識を総動員して、瞬間的に答えを思い浮かべています。つまり無意識の処理プロセスが働いており、決していい加減ではありません。
詳しくはこちらに書いているので、よろしかったら読んでみてください。
そして、うまくイメージ出来ない仮説（記入項目）は、メモにでも残して、熟すまで寝かせておきます。環境の変化が加速している現代は、完成させずに迷って行動しない方がリスクが高いです。もし、違ったなと思ったらやり直せば良いのです。失敗は貴重な、あなたのナレッジになります。
また、仮説を立てた要素は、なんらかのデータで検証してみる。
現代は沢山のデータや出来事がネットで拾えるので、便利ですね。
そうして検証で何か見えてきたことから、また仮設を一歩進めて項目に加えるか書き換えたり、加えていくことをお勧めします。
なので、定期的にPEST分析は書き換えていくことになります。
実際にどのくらい変わるものか、私の事例をお見せします。
これは、２０２０年５月２０日に書いたPEST分析です。
２０年５月といえば、そうコロナ禍で緊急事態宣言が出ていた時期です。
そうした当時の影響がはっきりと出ています。
当時は、コロナウィルスが蔓延して早くワクチンが出来ないかなぁと思っていました。まだ、世界経済もそんなにダメージがなくて少々平和ぼけしていたかも知れません。
そんな様子が覗えます。
しかし、あれから2年半経つと、外部環境もずいぶんと変化しました。
コロナの影響もまだ引きずっていますが、なんといっても、国際紛争のことが影響大です。そんな様子から、最近の外部環境の影響をまとめたのが、こちらのPEST分析です。
書く上で自身の関心事を右上の欄にテーマとしてメモしています。その点も、最上位は20年の時の「コロナ後」から22年は「収入の確保」に変化しています。
「こんなにあるんだ。書くの無理！」と心配される方も多いでしょうね。
大丈夫。
書くことより、行動しないことを心配しましょう。
もう少しこの辺りのことを詳しく知りたい方は、下の記事を参照ください。
ここまで、ご紹介したように、PEST分析は、あくまで現状分析の外部環境を整理する手法の１つです。このデータからSWOT分析で現状を整理することになります。
たとえば、私の場合はこんな感じです。
SWOT分析の事例については、こちらの記事を参照ください。
作ってみたい人のために、PEST分析のテンプレートを載せておきますね。
これを参考にして、Excelで書いてもいいですし、テンプレートをコピーして、
パワポに貼り付けて、文字を書き加えれば、そんなに手間はかかりません。
「サック」と仕上げてみましょう。
あなたの現状分析のお役に立つことを期待しております。
4.おわりに
・PEST分析は外部マクロ環境分析
・環境要因は以下の４つ
Politics(政治)
Economy(経済)
Society(社会)
Technology(技術)
・PEST分析を書くコツは３つ
項目は直感で選ぶ
イメージできない要素は書かない
定期的に内容を見直す
・SWOT分析の機会や脅威の材料になる
あなたの外部環境の整理に役立つことを願っております。
PEST分析やSWOT分析は、あなたの人生の参考になります。
良かったら、こうした記事も参考にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
終わり
