問題解決
問題解決する上で、身につけておきたいスキルに数値化の技術があります。活動を効果的・効率的に行う上で、現状を客観的に把握することが改善の第一歩となります。この記事では、そうした現状把握における数値化の重要性や具体的な方法についてまとめてみました。良かったらお付き合いください。
1.数値化の重要性
問題解決の前提となるのは、現在の状況を正確に把握することです。数値化技術を用いることで、主観的な意見や予測に頼らず、客観的なデータをもとに現状を把握することができます。これにより、問題の本質や背景を明確にし、効果的な解決策を見つけることが可能となります。
しかし、数値化を苦手とする人は多いようです。私は大学のリポート添削をしていますが、「目標管理」や「問題解決」などのリポート添削で、求められる現状の記述が、定性的で数字化されていない表現をよく目にします。
たとえば、こんな感じです。
定性的な現状の記述の例
・○○製品の工程での不良が多発している
・製品開発の納期遅れが頻発している
・報告書の作成に時間がかかっている
・研修の受講者の様子に盛り上がりがかけている
・同じようなミスや事故が再発している
こうした表現は、現状認識の初期段階の問題認識のレベルとしては良いのですが、問題解決を行う上では、事実情報を数値で捉えておくことが望まれます。
では、数値化の方法を確認していきましょう。
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2. 数値化による現状把握の具体的な方法
①データ収集
まずは、問題に関連するデータを収集します。
例えば、問題意識が「○○製品の工程での不良が多発している」であったら、過去の不良のデータを収集します。
こうしたデータ収集の多くは、Q:品質、C:コスト、D:納期と言ったQCDのキーワードが問題意識で書いた表現の中に見つかります。また、少し経営学や品質を学んだ人なら、結果の指標とプロセスの指標も参考になります。
注:結果は実績そのもの プロセスは活動の質や量を示すものです。
そして、数字は、リアルな実数と、数字の比を使った比率という示し方が出来ます。
例えば、不良は「何個」といった実数で、不良率なら、例 180個/10,000個=1.8%とすれば比率です。
これらのポイントをまとめると、数値化のヒントはこんな感じになります。
②データ分析
収集したデータを把握しやすいように加工します。グラフや表、統計手法などを2連敗した後は勝ちやすいと考えるのは錯覚(ギャンブラーの誤謬)や優先順位を明確化し、解決策の方向性を見極めることができます。例えば、不良数の多い順にグラフ化したパレート図を書けば、解決する不良の優先順位が読み取れます。
③現状の数値化
ここまで進んだら問題解決のための数値化をします。あなたの問題意識を5W1Hで書いて定量的に表現します。
上のパレート図の内容を数値化し定量的な表現にしてみます。こんな感じです。
その他の例もみてみましょう。
製品設計の納期不具合の例
介護現場での不具合の例
事務の非効率の問題例
3.数値化する利点
・数値化により、主観的な意見に左右されず、客観的な判断が可能となります。
・数値化により、問題の本質や背景を明確に把握することができます。
・数値化により、問題の評価と改善が容易になります。
4.数値化が適さない問題
現状把握をしたり加工作業をするので、問題解決の着手に時間がかかります。しかし、問題の性質によっては、すぐに行動に移さなければならない問題もあります。
例えば、目の前で火が出ていたら、すぐに火を消す行動を起こすべきです。こうした緊急性の高い直面した問題では、数値化は再発防止などの策定時に行うことになります。
また、人の感情などを扱う問題には数値化は適さないケースが多いです。
とはいえ、こうした問題も最近のAIの進歩で数値化しやすくなりました。近い将来は数値化出来るのでしょう。たとえば、最近のAI技術で顔の表情を喜怒哀楽で数値化できるようになりました。
すでに販売の現場に投入している企業もあるそうです。また、犯罪の予兆を測定する事例なども多く報告されれています。近い将来は感情の数値化も一般的になるのかもしれません。
5.まとめ
数値化による現状把握技術は、効果的な問題解決のために欠かせません。データの収集と分析、KPIの設定により、より客観的に問題を把握し、効果的な解決策を見つけることに役立ちます。
AIの進歩も目覚ましのでこうした技術の動向にも目が離せません。皆さんも色々な数値化の手法を今のうちに学んでおくことをお勧めします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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終わり