分析力を高めるギャップ分析
問題を具体化出来ると分析がしやすくなります。
そうした問題把握の方法に、ギャップ分析という手法があります。
あるべき姿と現状を描いて、そのギャップ(差)から問題を認識します。
とはいえ、あるべき姿や現状を具体的に描くには、多少の知識と経験が必要です。
そこで、ギャップを定量的に表現する方法を事例を交えて書いてみました。
良かったら読んでみてください。
こんな記事も書いています。
1.ギャップ分析とは
問題を具体的に認識する方法の1つで、
「あるべき姿」と「現状」からギャップを分析する方法を言います。
たとえば、ダイエットをしたい場合、
具体的に書くことでギャップが描け、解決する道のりが見えてきます。
例えば、
現状の体脂肪率が30%
目指す体脂肪率を10%
とすると、
ギャップは20%とかけます。
なんだか、簡単ですね(^^)
こうした数字を明らかにすることで、
ギャップ解消のプランを具体化しやすくなります。
この例なら、
今の体重が60kgとすると、ギャップから
60×(0.3-0.1)=12(kg)
ここがギャップ
の体脂肪を減らすことが、課題と認識できます。
解消のプランも立てやすくなります。
1kgの脂肪を減らすには、約7200kcalの消費が必要です。
1日300kcal の消費カロリーを増やすか、摂取カロリーを減らすと
12(kg)×7200(kcal)÷300(kcal/日)=288(日)
288日でダイエットが実現できそうと予測出来ます。
後は、実行プランを立てて、トライするのみ(^^)
Webで検索すれば、自分にあったプランが見つかることでしょう。
ご参考まで
さて、
ダイエットなら基礎数値も分かりやすいし、
現状やあるべき姿も定量化しやすいので、
目標や計画も立てやすいです。
しかし、
会社の仕事はそう容易ではありません。
最近は、これまでのやり方が通用しなくなり、
新たな解決策を探索して不確実な要素が多くても進めていく必要が多くなりました。
私は、大学で社会人向けの問題解決の添削リポートを担当していますが、
そのリポートの多くで、ギャップの具体化で苦労している事例に出会います。
その多くが定性的には問題が描けていますが、
定量的ではないため、具体的なギャップが描きにくい解答となっています。
たとえば、現状について、
「今期の売り上げが未達になりそうだ」
という解答があったとします。
この表現は、定性的なのでギャップも抽出しにくいですね。
そこで、例えばとして、
「2020年の売上は目標の90%留まりそうだ」
「あなたの現状を改めて確認してみましょう」
と、アドバイスします。
現状を数字で書くことで、あるべき姿もそれに対比しやすく描け、
具体的なギャップを抽出しやすくなります。
もう少し、事例にお付き合いください。
私がこのブログでよく使う事例です。
あるエリアの営業担当をしている鈴木さんのギャップ分析の例です。
鈴木さんの今年度の売上予算は10億円(あるべき姿)と設定されています。
しかし、現時点の売り上げ見込みは8.1億円(現状)しかありません。
これから、、ギャップを抽出すると、
「このままでは売上が1.9億円の未達(ギャップ)になる」
と書けます。
図にするとこんな感じです。
プレゼンモードなら、
「売上が1.9億円未達」
と話すことになるでしょう。
ここまでは、初級編です。
もう少し、訓練を積んだらこうした分析も出来るようになってみましょう。
「売上が1.9億円未達」は、結果のみが示されています。
この内容だけでは、課題を書くには方向が定まりにくいですね。
そこで、もう少しギャップ分析を深めてみたのがこの図です。
ギャップ分析で、ギャップを要因別に階段状に表した図になります。
この内容から、
主な要因は、A社への販売計画数が大幅に未達したことが要因と分かります。
その点をさらに深めていくことで、課題設定がしやすくなります。
今日は、そのやり方まで書くと長くなるので詳細は省略します。
興味のある方用に、具体的な計画と実績の差をつけておきます。
なお、差異分析の経過はこちらです。
この分析の詳細を知りたい方は、こちらの記事をどうぞ
2.定量化のヒント
ギャップを描きやすくする方法のヒントは、
自身が書いた初期のギャップの中に隠れています。
初期の段階では、現状を主観的に書いていることが多いものです。
それを、
あるべき姿と現状で対比しやすい構造にすれば、
ギャップを抽出しやすいものになります。
ポイントとなる部分は、お金、時間、品質、コスト、納期などと書かれた部分です。
さきほどの例では、
「売上が未達」とお金の部分がポイントです。
そこで、
1.9億円の未達と定量化すればギャップが描けます。
こうした言葉のヒントを表にしてみました。
縦軸は、扱う数字が、実数か比率かで分けています。
実数とは、生の数字そのものですね。
例えば、先ほどの売上1.9億円未達です。
比率とは、何かを何かで割った指標を言います。
例えば、A商品の売上が1億円で、総売上が10億円なら
売上比は 1÷10=0.1 10%となります。
比率を使うと、他の数字と比較しやすくなるので、会社ではよく利用していると思います。
次は、具体的な事例を見ていきましょう。
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3.現状を定量的に書く(事例)
あるべき姿と現状を書いてギャップを示す例をお見せしようと思いましたが、字数が多くなってしまいました(^_^;)
そこで、1つだけギャップ分析の例を示し、
残りは、あるべき姿は省略して、現状だけの事例でご紹介します。
出来るだけ色々なお仕事の例で示してみたいと思います。
ギャップ分析の事例
品質担当の例
定性的な表現の現状
工程不良数が多くて困っている
↓
定量化した表現の現状
202X年8月 1ヵ月間の工程不良数は180件であった。
あるべき姿も含めた定量的なギャップ分析の例
こうしたギャップ分析から目標作りをパレート図で行った例がこちら
改善目標として、工程不良を50%減らすこと
改善する項目として、主に測定工程不良や作業不良に注目することが読み取れるようになります。
以下は、現状の部分を定量化した事例です。
例1
介護施設職員の例
定性的な表現
現場では、小さなミスや転倒事故が起きている。改善策は取られているが、同じようなミスや事故が再発している状況
↓
赤線の部分が、定量化のヒントですね。
定量化した表現
2020年4月~9月の6ヵ月で、ミスが3件、転倒事故が6件、発生している状況。この内、転倒事故の3件は以前に同様な事故が発生している再発問題である。
以下は、同様に修正していきます。
ご自身の関心のある業務の例を参考にしてみてください。
部品設計のエンジニアの例
製品開発の納期遅れが頻発している
↓
この1年の間に開発した5件の内、3件で平均2ヵ月の納期遅れが発生している状況
事務職の例
報告書の作成に時間がかかっている
↓(添削の例)
○○年△月に作成した3件の報告書の平均作成時間が5時間もかかっている状態
医療営業の例
ドクターから、情報提供依頼があり、多くの時間、労力がかかってしまった。
↓(添削の例)
ドクターから今月5件の情報提供依頼があり、その対応に述べ200時間を要した。
製造現場のスタッフの例
OEM製品の製品ラベルの準備の手間や時間がかかっている状態
↓(添削の例)
2020年7月の1ヵ月で、100件のOEM製品の製品ラベルの準備をしたが、300時間の工数がかかっている状態
研修担当の例
研修後の受講者の様子に盛り上がりがかけている感じがした
↓(添削の例)
研修後のアンケート調査で、「役に立った」の回答が30%しかなかった
何か、参考となる事例があると幸いです。
4.まとめ
・ ギャップ分析は、「あるべき姿」と「現状」のギャップ(差)を描くこと
・ギャップは、あるべき姿と現状を対比しやすい言葉で描いてみる
・着目ポイントは、現状の表現にヒントがある
ポイントは、お金、時間、品質、コスト、納期など
最後まで読んでいただきありがとうございました。
こうした記事も読んでやってください。
終わり