視点・視野・視座の理解を深める
ご訪問ありがとうございます。
添削講師をしているまねき猫です。
添削しているリポートには、問題点を自分の状況に沿って述べる設問があります。
こうしたリポートを採点するときに、こんな視点で書いてみるといいのに…とか
別の視野や視座で書くと、論述に広がりや深さが出せるのに思うことがあります。
そうした「視点・視野・視座」について、今日は書いてみます。
興味があったらおつきあいください。
この記事は18年12月14日の記事を改訂したものです。
1.視点・視野・視座の意味
始めに視点・視野・視座の意味を確認しましょう。
商品やサービスの見方から図にしてみました。
視点とは、
商品やサービスなどを見る方向を言います。
点なので、無数に設定できます。
商品なら、
作り手の視点、お客様の視点、経営者の視点など色々な視点が示せます。
この視点を身につけるには、その対象の知識や経験が無いと持てないと言われます。
例えば、経営計数の知識が無いと、経営者や財務の視点は持てませんし、商品開発ではマーケティングの知識やその分野の専門の知識が必要です。
視野とは、
モノを見る範囲や広がりを言います。
対象を、角度のある線や面で見ることになります。
問題発見では、「不具合の状況を広い視野で見てみよう」などと言いますね。
たとえば、QCDの観点で見ることは、
商品を、品質とコストと納期の3つの視点 → 広い視野で見ていることになります。
同じ位置から複数の点を同時に観察している状態です。
また、色々な角度から多面的な見方をすることとも言えます。
優れた問題解決者は、視野の広い人が多いですね。
視座とは、
あるモノを見る立場(視点)を変えてみることを言います。
たとえば、上司が担当設計者に、
「経営者になったつもりで商品を考えろ」と言う場合は、経営者の視座で見ることを求めています。
「よく視点を変えてみよう」と言う言い方がされますが、それも、立場を変えてみる視座を対象にした見方といえます。
これらの視点・視野・視座を、
商品・サービスの利益構造から説明すると、こんなロジックツリーになります。
四角い項目一つひとつが視点になります。
また、利益を売上げやコストの両面から観察することは、視野を広くして観ています。
また、担当者は、右の細かい項目の視座ですが、
上位者は、その統合した売上やコスト全体の視点の視座となります。
さらに、経営者は利益という視座を持って観察しているとも表現できます。
こうしてみると、基本は視点であり、
その広がり方や、位置関係で、視野や視座になります。
2.視点の持ち方
さきほど、視点は、「モノを見る位置」だと言いました。
たとえば、図の右にある円柱を商品とします。
真上から見ると、「丸い円」として見えます。
一方、横から見ると、「切りかけのある四角形」に見えます。
このように、視点はどの視線の方向で観るかで、見えるモノが変わってきます。
そうした状況をよく設計者の視点とか、お客様の視点
などといって、お客様の視点を持てなどとハッパをかけられるのでした。
たとえば、上の図のような位置から
対象の商品を、設計する立場の人の視点で見ていることを例を示します。
設計者の視点からは、作った商品にある切り込みがあることが見えません。
この切り込みが商品の不具合だと考えてみましょう。
しかし、お客様の視点に立つと、その切り込みが見えてしまいます。
そのため、
こうしたお客様の視点に近づけるアプローチが推奨される訳です。
①お客様情報の収集
②お客様の優先度の把握(推測)
③自分の考えとのギャップを示す
このように視点を変えることで、いままで見えないことが見えたりします。
こうした思考を、リポートの論述にも活かしていきます。
たとえば、
「現実の仕事の問題点を述べよ」という設問であれば、自分の視点に加えて、もう一つ視点を加えて見ると論述に深さや広がりが出せます。
また、
「部下・後輩の仕事の現状から、指導プランを立てなさい」という設問であれば、
「Must:やるべきこと」、
今の想定メンバーの仕事の立場や役割と
能力の現状
「Can:やれること」
から書いても良いですが、
その人の「Will:やりたいこと」
を想像して書いてみると良いでしょう。
こうしたやり方は、
内発的動機づけの3つの視点
を活用する方向です。
使えるフレームワークが多いほど切り口が増やせますね。
また、あるテーマでリポートを書くときも、視点を多くすると論述に深さが出せます。
たとえば、ある経営スタイルの特徴を書く場合には、その経営の良い点だけでなく、リスクや限界も示すと深みのある論述になっていきます。
学ぶことは、こうした視点を増やす方法の1つになります。
視点を増やす学びの1つがMECEなどのフレームワークの理解を深めることです。
MECE(ミッシーと読みます)とは、
考察対象をモレなく、ダブりなく分類する手法です。
「Mutually Exclusive、Collectively Exhaustiveの略(相互背反、集合網羅)」の略
製造などでは、4Mというフレームワークを視点によく使います。
人(Man)
機械(Machine)
材料(Material)
方法(Method)
たとえば、それを特性要因図に活かすことで、問題発見に役立てることが出来ます。
色々なフレームワークを学び、実際に利用することで活用する力を身につけていきましょう。
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3.視野の持ち方
視野とは、「モノを見る範囲・広がり」のことを言います。
対象物を、角度を持って線や面で見ることでした。
視野は、多くの視点の集合と言えます。
ある商品をAさんの視野で観たときと
Bさんの視野で観たときには違った見え方がしたりします。
それは、AさんよりBさんの視野が広いのが理由だったりします。
たとえば、設計者が視野を広く持つと言うと、
単に性能(Qの一部)だけでなく、
QCD(品質、コスト、納期)の視点から見ると、複眼的で視野の広い設計が出来ます。
また、視野は
利用する消費者
社会問題
地球環境
といった広がりを持つこともあります。
4.視座の持ち方
視座とは、「モノを見る位置を変えてみること」を言います。
別に言い方をするなら、「視点を変える」に置き換えることができます。
人が生きていく上では、多くの立場や役割を背負っています。
その時、その場所、状況で最適な立場・役割を考える必要があります。
つまり、立場・役割は、固定的でありながら、変動的な側面も持っています。
作り手の立場の人が、
「経営者の立場でも考えてみなさい」と言われることがあると先ほど書きました。
これは、作り手の立場(視座)から
経営者の立場(視座)
に立つことを言います。
余談ですが、
「あいつはKYだね」という言い方が以前流行りました。
「KY=空気を読めない」ですね。
これなどは、視座を持てていない事例の1つでしょう。
KYという言葉には色々な議論もありますが、
その場やいまの現状を正しく理解する力や
その状況に正しく対処する力を身につけることは心がけたいものです。
その上で参考になるのが、先人の知恵です。
先人の知恵を、いくつか紹介した記事も書いているので参考にしてください。
5.まとめ
・視点とは、
商品やサービスなどを見る位置を言う
学ぶことで、視点をたくさん持てる
・視野とは、
モノを見る範囲や広がりを言う
対象を角度のある線や面で見ること
MECEを使うと複眼的に見られる
・視座とは、
あるモノを見る位置(視点)を変えてみること
「視点を変えてみる」と同義
先人の知恵を学ぶことが有効
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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よろしくお願いいたします。
こんな記事も書いています。
終わり