問題解決のツールを使いこなす
ご訪問ありがとうございます。
日々受講者の課題リポートと接しているまねき猫です。
そうしたリポート見ていて、もっと道具(ツール)を活用するといいのにと思うことがあります。
リポートの作成だけでなく、仕事の場面や人として生きる私生活でもこうした道具を利用ことで質や時間の効率を上げていくことが出来ます。
今回は、QC7つ道具を例にして、問題解決の道具をどんなステップでどのタイミングで活用したら良いか書いてみました。(新QC7つ道具の詳細は次回の予定)
お時間があったらお付き合いください。
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お忙しい方は一部だけでもご覧ください。
こんな記事も書いています。
1.問題解決のステップと活用したい7つの道具
仕事や人生を効率化にする上で、先人の知恵である定石を活用することが有効です。
会社経営の基本となる経営管理も、実は先人の知恵である定石の集合体です。
たとえば、戦略立案の定番である3CやSWOT分析も先人の知恵の1つです。
(3C:Company(自社),Customer(顧客),Competitor(競合)の略で現状把握に使う)
(SWOT分析:企業の強みと弱み、経営に影響のある機会と脅威を分析する手法)
こうした定石は、管理者や管理部門だけが使う道具と思っていませんか?
自分の人生の設計にも、こうした道具は活かすことができます。
たとえば、SWOT分析を人生設計に活かす方法を提案したのが以下の記事です。
こうした定石となった道具たちは他にも沢山あります。
たとえば、製造や事務仕事などをしている人が無意識で利用している定石に、QC7つ道具や新QC7つ道具と言われる道具(ツール)たちがあります。
今回は、問題解決のシーンを想定して、定石となっているこれらの道具をどんなステップ(局面)で利用すると良いかをまとめてみました。
さて、問題解決の定番中の定番といえば、皆さんもよくご存じのPDCAです。
Plan(計画策定)
Do(実行)
Check(振り返り)
Action(次への反映)
サイクルを回していくことですね。
このPDCAのサイクルを回すことで、仕事や生活の質を高めていくことができます。
とはいえ、実際の作業では、(Plan:計画策定)が複数の手順に分かれていたり、問題の種類によって力の入れ所が違ったりします。
さらに、参考にしようとする書籍やテキストによって、プロセスの書き方や表現が違ったりします。
こうした点は、お茶などの作法の所作や流派のようなものと理解しています。
そこで、PDCAのサイクルと色々な名前で呼ばれている問題解決の手法を一覧にしてみたのがこれです。
このうち、左の問題解決型の手順を例にして、どのステップでどんな道具たちを用いると良いかをまとめてみました。
登場するのは、QCサークル活動で利用する道具たちです。
(最近は、QCサークルそのものの活動は活発ではないようですが…)
これらの道具たちは、当たり前のように職場の中で活用されているはずです。
今回は、そうした道具たちの利用シーンを整理してみました。
たとえば、問題の選定(テーマを決める)では、
数字データがある時は、特性要因図やパレート図が有効です。
一方数字にしにくい言語データ中心の時は、
新QCサークルの手法の親和図法や連関図法が有効といった具合です。
今日の一番のメッセージはこの表になります。
個別の道具たちに興味のある方は、以下もご覧ください。
それぞれの道具たちの事例も載せています。
2.QC7つ道具
QCの7つ道具は、数字データを利用するときの問題解決に役立つものです。
製造現場はデータの宝庫ですね。
生産量や経費、不良率、投入工数など、生産活動のほとんどが数値化されています。
また、営業なんかも数字が多いのでQCの7つ道具が役立つでしょう。
では、順に見ていきます。
特性要因図
その形から、フッシュボーン(魚の骨)とも言われている手法です。
問題を選定する時や要因の解析、対策を考える時に有効な道具です。
右の四角い枠に、取り組む問題など扱うテーマを入れます。
中骨に、問題に関わる重要要因を入れます。
この例では、4M(人、設備、材料、方法)を入れました。
そして、小骨に原因として考えられる個別の要因を書いて完成です。
問題解決の全体像を見える化するのに役立ちます。
もう1つ、「ブログのPVが増えない」でも要約版を書いてみました。
(内容は私の場合です(^_^;) ブログするのにもスキルや時間、資源が要りますね)
パレート図
得られたデータを、多い順に分類項目別に分けてグラフ化する手法です。
パーレトの法則として、「全体を構成する20%の要素が、全体の80%の値は占めるという」法則としても有名です。
問題解決のほとんどの場面で利用可能なすばらしい道具です。
特に現状の把握と目標設定で威力を発揮します。
たとえば、こんな感じです。
事実を元に「現状の姿」をパーレート図で描きます。
そして、いえやで良いのでなりたい「あるべき姿」を書きます。
そのギャップが「目標」となり、各要因の減り方が取り組む課題となります。
パレート図は、このように現実の姿を明快に示すことが特徴です。
その例をご紹介しましょう。
上図は、1997年のアメリカの富の状況をパレート化したものです。
正味資産の割合を示し、横軸が人口構成比の累積を示しています。
棒グラフが各人口構成の人口比と正味資産を示しています。
折れ線グラフは、各層の正味資産の累積値をつないたものです。
富裕層の20%が富の84%を占めてます。
パレートの法則通りですね。
こうした順序データを用いると、状況が論理的に説明できます。
こちらは、私のブログのある時期のPV値をパレートにしたものです。
わずか4記事で約90%近くを占めています。
私の場合は、注目度の高い記事が書けていないことが問題点の1つだと分かります。
パレート図は、今はEXCELで簡単に描ける便利な時代になりました。
データ用意して並べ直すだけで色々な発見がしやすくなります。
活用してみましょう。
ヒストグラム
求めた数値の分布やバラツキの程度を見やすく表した図です。
問題を選ぶとき、現状把握や目標設定に利用します。
対策後の効果の確認や改善案を作成するときにも利用できます。
これは、通勤時間の分布を例に書いてみました。
ほぼ25分で着くのですが、時々33分以上かかる時があることが読み取れますね。
バラツキを問題にする場合は、こうしたヒストグラムを書くのが有効です。
実際、事務処理で作成する資料のほとんどはこうしたヒストグラムではないでしょうか?
その作成の仕方で1冊の本になるくらいに多様です。
この本は、古くて絶版ですが、事例が多くて参考になります。
古書で、入手できます。(コーヒー1杯程度)
チュックシート
点検作業の状態や不具合の数をリスト形式で見やすく表した図表です。
要因の解析や対策の立案・実施、効果の確認や標準化に役立ちます。
これなどは、製造現場に行くと設備などの側によく置いてあります。
昔、現場の巡回に行くとかならずチェックシートを覗いたものです。
今は、スーパーなどのトイレにいくとかならずチェックしています(^_^;)
グラフ
データの傾向や変化、大小関係を線やピクトグラムで見える化して描いた図です。
グラフはPDCAのサイクルのA以外のシーンによく利用される道具です。
論理的な主張をする場合に、いろいろなタイプのグラフを使います。
こちらもEXCELですぐに作成できますね。
人生100年時代に疑問を持って作ってみたのが、このグラフです。
主張する書籍は、直線回帰で求めていますが、ここ最近の10年は寿命の伸びが鈍化していることがうかがえました。そこで、対数回帰をしてみたという具合です。
この予想では、2065年でも平均寿命は約90才くらいと出ました。
あまり政府に踊らされたくないものです。
こんなグラフの書き方もあります。
こうした絵を使ったものをピクトグラムと言います。
事例の体水分量は環境省のマニュアルに書かれたものを引用させていただきました。
とてもよく出来ています。
右は、身体の消費エネルギーについて書いたときのピクトグラムです。
普通のグラフにすればいいものを、作成にかなりの時間を掛けています(;゜ロ゜)
ピクトグラムは、ここぞという場所に使いたいモノです。(反省)
散布図
2つの対になったデータの関係を調べるためXYの2軸上に表した図のことです。
相関図や回帰式を求めるのに使います。
現状把握や管理の定着で利用します。
この例は、有効求人倍率と消費者態度指数の相関を調べた時のモノです。
この例では、R2:決定係数が0.1713と小さく相関係数に直すと0.4程度なので相関がないことがうかがえます。
事象同士のつながりの有無を調べるのに有効な道具です。
こうした相関図も、EXCELなら簡単に書いてくれます。
加えて、回帰式や決定係数R2(R2は決定係数:その平方根が相関係数)まで作成してくれるので便利です。
活用したいものですね。
管理図
データを時系列に折れ線グラフで表し、中心線、管理限界線を取り入れた図です。
現状把握や管理の定着に利用します。
この図がXバーR管理図といって、現場の出来具合を平均値のレンジというバラツキで管理しています。UCLやLCLは管理の上限と下限を示しています。
現場の方はよくご存じな図の1つでしょう。
3.ご参考:新QC7つ道具
新QCの7つ道具は、数字にしにくい言葉などを利用した問題解決を図るときに便利な道具たちです。
次回、事例も含めて詳しく書かせていただきますが概要だけ簡単に触れておきます。
親和図法
KJ法といった方が分かりやすいかもしれないですね。
グループ間の関連性をつかみ問題の情報をカードなどで整理・発見する方法です。
問題の選定や要因の解析に用います。
連関図法
原因と結果、目的と手段などから原因を追求し、重要な要因を見つける図的手法です。
こちらも問題の選定や要因の解析に利用します。
系統図法
ツリー構造によって段階的に展開し、目的や目標達成に最適な手段や方法を探索する方法です。
現状把握や目標設定、要因の解析に用います。
系統図は、ロジックツリーと言った方が分かりやすいでしょう。
問題を論理的に展開していく上では、必須の道具です。
マトリックス図法
関係する事柄を縦と横の2軸や立体的に書いて問題の所在や形態を探り問題を解決する手法です。
重要度や効果性などを加えて、優先順位付けや目標作りに役立ちます。
アローダイアグラム
アローダイアグラム(矢印図とも言います)は、スケジューリング技法の1つです。
PERTと言われる手法を分かりやすくし、プロジェクトなどの作業順序を決めて矢印と日程を書いて最短のパスを発見したりする手法です。
(PERT:ProgramEvaluation andReview Technique)
対策検討の日程検討などに用います。また、計画と実績を比較する効果の確認にも利用できます。
PDPC法
(Process DecisionProgram Chart)
PDPC は、現状が不透明な場面で計画を作る時に、目標や取り組みを実現する流れを、あらかじめスタートからゴールまで手順として作成し、リスクを見える化する方法です。フローチャートを書く要領でまとめます。
マトリクスデータ法
要素間の関連を数値でとらえ、多変量解析などを用いて分析する手法です。
要因の解析や対策の実施、効果の確認に利用します。
新QC7つ道具については、次回詳しく紹介させていただきます。
4.まとめ
QC7つ道具はデータのある問題解決に有効
特性要因図
パレート図
ヒストグラム
チェックシート
グラフ
散布図
管理図
新QC7つ道具は、定性的な言語情報の問題解決に有効
親和図法
連関図法
系統図法
マトリクス図法
アローダイヤグラム
PDPC法
マトリクスデータ法
問題解決の各シーンで有効な道具を利用してみましょう。
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こんな記事も書いています。
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