資料作り
資料作成の時間を短縮するコツをご紹介します。日頃から自分が使うであろうフレームワークやテンプレートを用意しておくことで、作成の効率が上がります。ご興味を持ったらお付き合いください。
1.資料作りを早くするコツ
仕事で作成する資料には、目的ごとに大体の流れが決まっています。また、その資料に使われる図やグラフも大まかに決まっています。
この流れを、構造あるいはフレームワークと呼びます。また、使われる図やグラフを部品(テンプレート)と呼ぶことにします。
日頃からこうした構造・フレームワークや部品(テンプレート)を用意しておくことで資料作成のスピードを早めることができます。
構造・フレームワークの例
たとえば、改善提案の説明資料を作るケースを考えてみましょう。私は、以下のような資料の構造(フレームワーク)を利用しています。作ろうとする資料を、自分の手持ちのフレームワークから選び、ストーリー作りをしていきます。そしてストーリーが出来たら、絵コンテにまとめて早い段階で上司に見せて説明しておくと、手戻りが少なく、作成のアドバイスも早く得られて作成時間の短縮につながります。
この事例では資料は、本編が上の5枚で、下の5枚は補足資料の位置づけです。
1ページ目が、問題提起のための自社や自職場の現状認識になります。
2ページ目が、当社を取り巻く外部環境です。
そして、3ページ目で、内部環境と外部環境から、現状の強みや弱み、機会、脅威を整理し、4ページに改善案、5ページの結論とスケジュールを示す案です。
5枚で、1枚2分で話すとして約10分のプレゼン資料になります。
そして、質疑応答で使うかもしれないバックアップとして、市場動向、長期的な見込み、他社ベンチマーク、収益性分析、資金計画などを用意します。
こうしたフレームワークには、各ページに伝えたいメッセージの重要な部分をリードインとしてテキストデータも付けておきます。そうすることで、上司も意図を理解しやすいし、自分が資料作りをする上でも、方向性を見失わずに作成することができます。
部品・テンプレートの例
絵コンテが出来上司の了解が得られたら、具体的な資料作成に入ります。その時に役立つのが、部品・テンプレートです。
たとえば、絵コンテの3ページ目のSWOT分析であれば、下のようなテンプレートをパワポで予め作っておきます。
右の欄外や枠内には、書く時のヒントも添えておきます。(資料が出来たら、この部分は削除します)
こうしたフレームワークとテンプレートを利用して、資料を作っていくと短時間で作成することが出来そうに思いませんか?
このような構造・フレームワークをブログなどのSNSの発信をしている人は、大体利用していると思います。そうした技術を資料作りにも活かしていきたいものです。
完成資料のイメージ
こちらが完成資料のイメージです。
(守秘義務の為、解像度を落とし内容を少し変えて読めないようにしています。ご容赦ください)
あとは、本番に向けて伝え方の練習をするだけですね。
2.構造・フレームワーク
伝えたい内容によって、説明の構造・フレームワークがあると便利なのはご了解いただけると思います。
そしてこうした資料の構造やフレームワークを作る上で、活用したいのが定石です。
たとえば、以下は一度は使ったことがある定石フレームワークではないでしょうか?
起承転結
作文や小説などの物語で多く使われるフレームワークですね。
仕事のプレゼンなどで使う時はこんな感じでしょうか?
起:問題提起→テーマや必要性の説明
承:具体的な内容→何をするかの深い説明
転:リスク提示→想定内外の提示とリスクへの対応を示す
結:まとめ →結論を再提示する
PREP法
起承転結をもう少し少しマニアックな定石フレームワークにしたのが、PREP法です。
プレゼンなどの説明方法として推奨されています。
PREP法とは、主張を、理由と具体例から分かりやすく伝えるフレームワークです。
ご紹介したように、組織の中で説明する資料には一定のパターンがあるものです。そうした構造を理解してフレームワークとして用意しておくと、資料作成のスピードが向上します。
色々なフレームワーク
たとえば、品質問題の報告をするフレームワークなら
設備投資のフレームワークの例なら
もう少し難度の高い戦略立案に関わる資料作りでは、基本的な概念をまとめたこんなフレームワークが有効です。
この図は、企業診断という主に診断士やその候補の人が読む雑誌に掲載された図です。2002年2月なので、もう21年も前の資料ですが1枚で俯瞰できるこれ以上の完成度の図は私は、まだみたことがありません。なので大事に保存して戦略を立てる前にはじっくりと読み込んでから作業を始めています。
私に取っては、正に定石フレームワークの代表ともいえる1枚です。
こうしたフレームワークをベースに、自分なりの資料も作って検討に使っています。上の図ほどの完成度には至りませんが、1つご紹介します。
こちらも戦略立案のフレームワークですが、依頼先の企業のライフサイクルを検討の始点にしています。また、BSC(バランス・スコア・カード)という手法で可視化をする部分も参考にするフレームワークとなっています。
皆さんの自分なりのフレームワークを用意してみてはいかがでしょうか?
3.部品・テンプレート
次は、部品・テンプレートについてのお話です。
今回はこの5つをご紹介します。
棒グラフ
棒グラフは、売上の推移などを時間軸で説明するのに役立つグラフですね。こうした資料はExcelでテンプレートを作っておくのが有効です。皆さんもたぶん自分なりのグラフツールとしてお持ちだと思います。
Excelの左側に年度や入れる項目と数字の欄を作っておいて、ここを修正するだけで色々な部品に変身します。円グラフやレーダーチャート、散布図などを1つのファイルに納めておくと使いやすいテンプレートになりますね。
曲線グラフ
たとえば、こんなグラフを作りたいときに有効なツールが曲線グラフを作成するExcelのテンプレートです。
事例 対数曲線を引いたグラフの例
こんなExcelのテンプレートを作っています。
こちらも左側の欄に数字を入れることで、ほとんどのカーブを綺麗に作成することができます。たとえば、対数のグラフならLog関数を使うと言った具合です。
パレート図
こちらもExcelを使ってパレート図を作るテンプレートです。
パレート図は、累積の折れ線グラフが棒グラフの左下から伸びていくのが美しいグラフとなります。そのためのExcelの技があるのですが、一度作っておけばあとは数字を直すだけです。とても重宝しているテンプレートになります。
作り方の詳しい方法は以下の記事からどうぞ
スケジュール
こちらはパワーポイントを使って作成したスケジュールのテンプレートです。
スケジュールだけでなく、系統図も付けていて課題などを体系的に示せるようになっています。右側には達成目標を埋める欄を付けています。スケジュールだけ使いたいときは、下だけコピペして他のシートに貼り付けます。
実際にスケジュールの部分だけを利用した例です。
特性要因図
問題解決の初期の段階で、問題要因などを列挙するのに役立つのが特性要因図です。系統図から派生し発想法の1つです。QCサークルなどでは有名ですね。
実際に利用した例がこちらです。
いかがだったでしょうか?
こうした部品・テンプレートは皆さんも意識しないうちに活用していることでしょう。もう一手間かけて整理しておくと資料作成が早くなります。
おまけです。
診断士なので資金計画のテンプレートも作っています。このシートはより詳細な科目のシートがあって、そこに2年ほどの損益計算書や貸借対照表のデータを転記していくと、半自動で5年分を作成することができます。
また、比較貸借対照表や損益分岐点分析なども合わせて出来るツールとなっています。数字の操作ミスは資料の信用度を低下させるので、変な操作を最小限にすることが重要です。なので、半自動化しておくことでヒューマンエラーを最小限におさえることができるメリットもあります。
4.おわりに
今回は私が利用しているフレームワークやテンプレートをご紹介しながら、資料作成を高速化するヒントをお伝えしてみました。
何かのお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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終わり