論理的思考にはMECEが必須だが、ほどほどにつきあうのが良いというお話
ご訪問ありがとうございます。
アイデア出しや問題解決を行うときに、ブレインストーミングなどの発散技法を使うことが多いですね。
でも、自由に発言していいと言われても中々論理的な言葉が浮かんでこないモノです。
そうした時にMECEを使うと、アイデアが出しやすく、ヌケやモレがない議論が出来ます。
ただし、MECEには限界もあります。
今日はそんなMECEのコツやノウハウをあれこれ書いてみました。
困っている人だけにしか役立たない記事です。
興味を持たれたらお付き合いください。
あれ?間違えたという方は、目次をクリックすると文末にジャンプします。
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1.論理的思考に欠かせないMECE
今年くらい問題解決に取り組むことを意識した年はなかったのではないでしょうか?
コロナ禍で、外出自粛、3密防止、テレワークなどこれまで経験のない生活を余儀なくされました。
安全な生活の確保、人と接触しない仕事の進め方、減収対策など否が応でも自分のための問題解決に取り組んだことでしょう。
そんな問題の解決には、ロジカルシンキング=論理的思考が有効です。
とはいえ、
考える前に手っ取り早く解決策をWeb検索するというやり方もあります。
それも悪くはないでしょう。
職場や自分の問題にあった解決事例がヒットしたらそれを実行するのが一番手取り早いです。
でも、事例が見つからないときもありますね。
そんな時は、自ら考えるしかありません。
そして、
そうした問題は、複雑に要因が絡み合っていることが多いものです。
そこで、目の前の問題を展開・分解し、解決しやすい大きさにして、世の解を参考にしやすくしたり、自ら考えやすい大きさにすることが必要です。
そのスキルの1つが、MECE的思考法です。
今日は、そのMECEの使い方や限界を確認していきましょう。
2.MECEは物事を論理的に分解する手法
MECE(ミーシーと読みます)とは、取り組みたい対象をダブリなく、モレなく分類する手法です。それぞれの意味は、以下の通りです。
Mutually(それそれが)
Exclusive(ダブリなく)
Collectively(全体的に)
Exhaustive(モレがない)
いくつかMECEの事例を見てみましょう。
まずは、じゃんけんの事例です。
じゃんけんは、グーとチョキとパーを出して勝負を決めるのがルールですね。
なので、完全なMECEとなります。
しかし、この分類に意味を見いだすのは難しそう。
では、次の例をご覧ください。
これは、衣料品のマーケティングでお客様を
児童・学生
主夫・主婦
OL・ビジネスマン(死語ですね。年がわかる)
年金生活者(私だ!)
と分けてみたものです。
どこからか声が聞こえます。
「私は働いている主婦(主夫)ですが…」
そう複数の分類に重なる人が存在します。
働いている主婦は、
主婦であるとともに、OLでもあります。
これがダブリです。
そして、
たとえば、個人で事業している人。
この方は、この図には含まれていない分類なので
モレとなります。
このようにMECEを意識して作ったつもりでも、
モレやダブリが存在することがあります。
こうしたモレは、
ビジネスする上で、貴重なお客様ターゲットを見逃すことになります。
またダブリは、
作業が重複するのでロスが発生する可能性が出てきます。
MECEを作る上では、こうしたモレやダブリを少なくするコツがあります。
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3.MECEの作成のコツ
では、できるだけダブリやモレがなく、
かつ意味のあるMECEの
展開・分解するコツを確認してみましょう。
次の4ステップで確認していきます。
Step 1 :
取り組む全体の大きさを決める
Step 2 :
MECEの軸を探す
Step 3 :
MECEに分ける切り口を深める
Step 4 :
全体を見渡してモレとダブリを点検
Step 1 : 取り組む全体の大きさを考える
地図で考えると分かりやすいでしょう。
たとえば、ある調査をするとして、
あなたが問題解決したい検討の対象はどのくらいの大きさになりましか?
日本全体とするか
あるいは東京都に絞るか
さらに千代田区まで絞るか
もっと絞って担当エリアで行うか
を決めるのが最初もコツです。
ポイントを絞るほど、問題の展開や分解は深さが出せ次につながりやすくなります。
もう1つの大きさのコツを見ていきましょう。
たとえば、利益改善を考える上で、
経営者の考える大きさと
実務担当者の巻上げる大きさは、
異なります。
問題解決は、自身の身の丈にあった大きさで思考することです。
切り口よく考えて、分析の大きさをきちんと定義してみましょう。
Step 2 : MECEの軸を探す
切り口を決めたら、展開・分解の軸を決めていきます。
軸とは、思考の基準となるもの、前提条件です。
この軸を決める方法は沢山用意されています。
地理的変数(ジオグラフィック変数)
国別・都道府県別・都市の規模、経済の発展度、人口の大小、気候、文化・生活習慣、宗教、などの要素で分類することを地理的変数と言います。
先ほどの地図による細分化が1つの例ですね。
グラフなどでは、都道府県別を軸にした例がよく出てきます。
URL: 新型コロナウイルス 国内感染の状況
この例では、コロナウイルス感染者数を都道府県別に地理的な要素で表しています。
注目するポイントが分かりやすくなります。
人口動態変数(デモグラフィック変数)
年齢、性別、職業、所得、学歴、家族構成などの要素を軸にして分類することを人口動態変数と言います。
人口動態変数は、消費行動との相関性が強く、色々な統計データが入手しやすいので、よく使用される変数です。
ただし、人口動態変数だけでは、単に分けただけとなる可能性があるので、別の要素と組み合わせて意味づけする必要があります。
この例は、資産保有の人口構成比と正味資産割合でグラフ化したものです。
パレート分析ともいいます。
わずか5%の富裕層が富の62%を持っていることがわかります。
時系列やフローで考える
PDCAサイクルは、事象や対象を
Plan(計画)
Do(実行)
Check(評価)
Action(改善)
で分類します。
サプライチェーンなどの仕入れから流通、販売までの流れを利用する
この5つの要素を弁解の切り口に応用します。
仕入れ
材料
加工
物流
販売
で分類することで、問題解決する対象をヌケ、モレが少なく検討ができます。
因数分解(かけ算)して考える
たとえば、
売上は、単価×売上数といったようにかけ算で求められます。
この図でわかるように、経営分析などは、こうしたかけ算や足し算、引き算など各要素の相互関係を式で考えると分解しやすくなります。
対立項で二つに分ける
対立項とは、
「ある」「ない」、
「好き」「嫌い」、
「無料」「有料」
など正反対の意味を持つ言葉で分けることを言います。
この方法は、対立する基準を用いるのでダブルことがありません。
全体を2つに分けるにはとても便利な方法です。
次の軸の組合せで、対立項の事例をご紹介しています。
Step 3 : MECEに分ける切り口を深める
フレームワークと軸を利用する方法をご紹介します。
フレームワークを用いてみる
フレームワークとは、物事や思考を整理する際の「枠組み」のことを言います。
先人の知恵をセオリーとして集約したものになります。
たとえば、マーケティングで用いる4Pや3C、ロジックツリーなどがあります。
こうしたフレームワークは、これまでに紹介した軸や変数ではなかなな出てこない内容なので、上手に使うとモレのない検討が出来ます。
軸を組み合わせてみる
1つの軸ではなく、2つの軸を組み合わせて利用すると分解を深められます。
たとえば、対立項などの正反対の意味をもつ言葉を「軸」1つの軸にして、もう一つ別の分解要素を利用して分解を深める方法です。
実際に、これまでの軸や切り口のヒントを使って分解をしてみましょう。
題材は、みなさんも関わることが多い
「市町村が回収する家庭ゴミ」としてみました。
最初に分類しやすい対立項を用いてみます。
資源ゴミか資源ゴミ以外とします。
資源ゴミ以外は、その下の分解を
「燃える」「燃えない」の対立項で書いています。
一方、資源ゴミは
リサイクルの材質基準と別の軸を用いています。
なんとなくうまく出来ているように想いますが、
何か気付くことはありませんか?
ロジックツリーで書くとより論理的に見える化できます。
では、再度点検してみましょう。
Step 4 : 全体を見渡してモレとダブリを点検
そうですね。
資源ゴミの分類に一部「モレ」がありました。
たとえば、衣類や廃食油です。
それから、粗大ゴミもありますね。
机とか家具といった大きなものです。
市町村で大きさの基準は異なるようです。
おそらく焼却炉などの設備の都合でしょう。
私の住む町は、50cm以上が粗大ゴミ扱いになっています。
では、追加してみます。
上位は、対立項の「無料」か「有料」で分類出来ました。
こちらも、ロジックツリーで書いてみました。
ゴミには、分類が難しいものが多いですね。
たとえば、衣類は資源ゴミとしましたが、
燃えるゴミとしても出ています。
これらは、汚れ具合や、個人の意識の違いでも変わってきます。
こうした「ダブリ」の要素をどう扱うかは難しい問題です。
4.MECEの限界
ゴミの分類で、厳密なMECEを作ることは難しい一端を示しました。
こうした点がMECEの限界として存在します。
厳密なMECEにする必要はないが。MECE感が大事くらいに思うことが大切です。
たとえば、人生のライフサイクルを、人口統計学的変数(デモグラフィック変数)を用いて区分すれば、MECEになります。
しかし、たとえば「老年期」という分類が、ビジネス上どのくらい意味があるでしょう。一般に老年期は65歳以降を指します。
では、65歳の誕生日を境として消費行動が変わるかというと、そんなことはほとんどありません。
論理的にMECEに出来たらといって、ビジネス的にどれだけ意味があるかは微妙です。
一方、消費行動としての「成年期」の分類には、収入損益曲線の軸から、益が多い時期であることがうかがえます。
「成年期の働く女性への、高級化粧品のアプローチをどうするか」というような視点を得ることは有効でしょう。
軸をいくつか掛け合わせることが、有効な顧客(セグメント)を発見するヒントになるので、色々掛け合わせてみると良いでしょう。
これまで見ていただいたように、
厳密なMECEをつくる必要はありません。
検討の目的が果たせるくらいのMECE感を持つことが大切だ
くらいに思って活用していくことがコツの1つです。
5.まとめ
問題解決でアイデアや意見のヌケモレを防ぐことができるのが
MECEの効用です。
そして、
・物事を適切に分解できる
・切り口も色々利用できる
人口動態変数、地理的変数、フレームワーク
一方、
MECEには限界があることを知って程々に利用すべき
だと認識しておくことが大切です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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終わり
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