伝える力
論理的にプレゼンする上で有効な方法にPREP法があります。その概要を事例を添えてお伝えするものです。「論理的にプレゼンしたい」とお思いの方は、お付き合いください。
この記事は2022年8月の内容を、AIも利用して書き直したものです。
0.コミュニケーション能力の4つの力
私は大学の通信教育のリポート添削をしています。そうしたリポートの応用問題には、コミュニケーション能力を自己分析する問いがあったりします。その解答からプレゼンテーション(以降プレゼンと省略します)に不安を持っている人が結構いることがわかります。
コミュニケーション能力は、
・論理的に伝える力
・論理的に聴く力
・感情的を伝える力
・感情を読み取る力
の4つで構成されます。
今回は、受講者からの不安の多かった「論理的に伝える力」を高めるのに役立つPREP法をご紹介してみたいと思います。
その前に論理的という点を確認しておきましょう。
1.論理的であること(三角ロジック)
論理的プレゼンとは、勝手気ままに話すのでは無く、今の発言と次の発言が関連づけて話されていることを言います。こうした発言の繋げ方には、論理的な思考法で有名な帰納法や演繹法があります。
たとえば、帰納法とは、複数の事実から共通点を見いだして一般論を導き出す方法です。
有名な事例を1つ見てみましょう。
・ニワトリは卵を産む(事実1)
・つばめも卵を産む (事実2)
・ペンギンも卵を産む(事実3)
故にすべての鳥は卵を産む(結論)
といった具合です。
会社の議論だと
・A社が新型バッテリーのEV車を発売した(事実1)
・B車も新型バッテリーのEV車を出すと発表した(事実2)
故に、今後の車のトレンドは、新型バッテリー搭載のEV車だ(結論)
なんて話したりすることです。
帰納法の弱点は、示した事実以外で結論に反する事例を示されると、結論も否定されることになります。また、事実の例が少ないと信頼度が低いと評価されてお話自体を聞いてもらえなくなります。
こうした点は、研究論文などの再現実験で指摘されてことが多いですね(STAP細胞の例が記憶の残ります)
帰納法は、実験物理学や経済学など多くの分野で利用されています。実社会で比較的に利用しやすい方法です。しかし、普段の会社におけるプレゼンでは、先ほどの弱点の影響で利用しにくいようです。
演繹法はというと、
演繹法は、世の中に認知された前提(一般論)に基づいて結論を出す方法です。
・すべての人間は死ぬ(前提1)
・ソクラテスは人間である(前提2)
・ゆえにソクラテスは死ぬ(結露)
このように大きな前提からスタートするので、結論が当たり前すぎるという弱点があります。
また、一般法則や前提をスタートとするため、前提が間違っていたら結論も否定されることや、ロジックの誤りに気づきにくいと言う点も指摘されています。こうした点からプレゼンでもあまり利用されるケースは多くありませんでした。
(とはいえ、アインシュタインの相対性理論は、演繹法で発見しています)
そうした点から使いやすく受け入れやすい方法として考え出されたのが、三角ロジックです。
三角ロジックとは、
主張として自分が言いたい結論を説明するにあたり、根拠として、事実と理由付を用いた論理の三角形
この内容から、三角ロジックというネーミングが使われています。
注:この三角ロジックは、松本道弘氏が提唱されたものです。
何が三角形なのかは言葉だけでは、ちょっと分かりづらいですね。
図解にしてみました。
主張として、伝えたい結論を、
根拠となるデータや証拠の事実と、
判断の基準や因果関係となる理由付けで示すこと
この論理の3角形から説明する方法です。
三角ロジックを使った事例を1つご覧ください。
私のブログでよく利用している例で恐縮ですが…
このように、論理的に話したいことを3つの要素から整理しておけば、論理的なプレゼンができます。
2.PREP法を使おう
三角ロジックは、論理的な整理には有効ですが、実際のプレゼンではもう少し伝える上での工夫が必要です。その時に役立つのが、PREP法です。
PREP法は以下の構成になります。
PREP法の頭文字は、以下の説明順の頭文字をとった言葉です。
Point =主張
Reason =理由
Example =具体例、事実
Point =再度主張
さきほどの、事例をPREP法で整理するとこんな感じです。
実際のプレゼンのシーンだと、こんな感じです。
「今日は、(新人の)皆さんにお願いしたい大切なことをお伝えします」
「それは、悪い報告は、早くリーダーや上長に伝えてください。ということです」
(主張)
一呼吸おいて、全員を見回して、
「ところで、悪い報告ってなんでしょう」
(新人さんに一人一人聴いてみる)
「そうですね。たとえば、作業をしていて機械の調子がおかしいと感じたことや、普段と違う方法で作業してしまった、といったことも悪い報告の例です。」
「こうした悪い状態をそのままにしておくと、後々事態が悪くなることが多いです」
「とはいえ、そうした報告を上司などに話しに行くと、叱られるかもしれない、とか自分の評価が悪くなるかもしれない、と、思ってしまうかもしれませんね。」
「ご心配はいりません。」
「お手元の行動規範15ページをご覧ください」
「当社は悪い報告を歓迎すると、行動規範に書かれています」
「私たち報告を受ける立場が、守るべき行動基準です」
「ですので、報告した人を褒めることはあっても、叱ることはしないルールになっています」(理由)
「そのようにルール化していても、昨年、報告が遅れた事例が、3件も発生してしまいました。調べてみると、周知が徹底されていないことがわかりました。」
「昨年の事例は、ここにお見せするような、お客様からクレームを受けて解約されたり、取りたかった商談の成約が取れないなどの不具合となってしまった事例です。」
「こうした事態が発生したことを社長やマネジメント全員で深く反省しています。私たちは、悪い報告を話しやすい雰囲気作りや、日頃から「悪い報告は早くあげて欲しい」と伝えられていただろうかと、反省しました。」(具体例・事実)
「そこで、今回、新入社員の皆さんにも、きちんとお伝えしておかなければならないと、こうしたお話の場で改めてお伝えすることにしました。」
「どうか、悪い報告は早くしましょう。とお願いする次第です。」(主張)
「この件について、みなさんの感想を聴かせていただいてよろしいですか?」
「以下、会話が続く……」
もう一つPREP法の例をお目にかけます。こちらは会社で設備投資を承認をお願いする例です。
いかがでしょうか?
みなさんもぜひ、PREP法で論理的な伝え方のイメージトレーニングをしてみてください。実践し場数を踏めばあなたも名プレゼンターになれます。
3.まとめ
論理的にプレゼンするなら、PREP法を利用してみると良いでしょう。
PREP法の
Point =主張
Reason =理由
Example =具体例、事実
Point =再度主張
の順で説明を行うことで説得力が向上します。
4.補足:トゥールミンモデル
三角ロジックには論理的な構造の不完全な部分があります。その点を、三角ロジックのベースとなっているトゥールミンモデルで説明しておきます。
まず、トゥールミンモデルを見てください。以下の6つの要素からなります。
三角ロジックは、その「トゥルミンモデル」から、主張・事実(データ・証拠)・理由付け(基準・因果関係)の3つに要素に絞って構成したものでした。トゥールミンモデルの簡易版として普及したものです。
そのため、省略した反証、限定、裏付けの部分がない分、不完全な説明となっています。より厳密に論理的な説明をする上では、「トゥールミン・モデル」の6つのすべての要素を使っていく必要があります。
たとえば、裁判の判決理由や科学論文などは、この構成になっています。
三角ロジックで用いた
①主張
②事実
③理由付け
に加えて、あと3つの要素を加えます。
④反証 ~でない限り、例外
主張は、かならず反論される要素を持ちます。
この時点で認識している例外事項を説明します。
たとえば、問題記述の例で書くと、
外的要因:市場環境が急変しない限り
競合商品が問題を起さない限り
A社のビジネスが好転しない限り
内部要因:新たな対応をしない限り
生産が不具合を起こさい限り
期中に計画を変更していない限り
反証は、例外事項を含むので、色々な可能性があります。できる限りMECEで要素を整理してモレを防ぐことになります。
④反証は問題解決における要素にもなるものが含まれることがあります。
⑤限定 確からしさの程度、主張の説明範囲
多くは、想定の範囲を書きます。
一般的 :このままいけば
売上の例:今年度においては
不具合の例:サンプルの解析に結果を元にすると
⑥裏づけ: 理由づけの正当性を支える要素
一般的 :法的要求事項、社内規則
ルール、世間常識
売上の例:当社年初の事業計画資料から
不具合の例:統計的なサンプル信頼度から
⑤限定や⑥裏づけは、「寛容の原則」から省略されることもあります。
以上です。
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