時間配分考
あなたは何かを任された時に、とにかく行動を起こすタイプですか?あるいは、入念に計画を立ててから行動する方ですか?その人の行動タイプで時間の使い方に個性が出ますね。一方で、取り扱う課題で計画時間の配分が異なるかを考察してみました。まだ力不足の考察ですが、お時間があったらお付き合いください。
1.行動のタイプは人それぞれ
十人十色とはよく言ったもので、人によって課題に対する行動のパターンは違ってきます。それを4類型でまとめたのがこちらです。もちろん、無理矢理に4つにまとめているので、「俺は違う!」と言う方もおられるのは百も承知でお話しを進めていきます。その点はご容赦ください。
タイプを、上の図のように縦と横の2つの軸で4つに分けます。
縦軸は行動パターンの志向を表します。上が「論理志向」、下が「直感志向」です。たとえば、「新しい課題は、まず計画を立ててから進めたいタイプ」か「方向性を決めたら臨機応変に進めたいタイプ」かを示しています。
横軸は優先度を表し、右が「相手優先」、左が「自分優先」です。これは「相手のペースや希望に合わせる」か「自分のペースや希望を優先する」かの違いです。
たとえば、左上の論理派タイプは、自分の思い描くロジックに合わせ、計画をきちんと立てて、自分の進めたいように行動するタイプです。
一方、右下の経験派タイプは、周囲との関係性を考えながら、そのときのフィーリングで仕事を進めようとする行動タイプです。
理論派タイプは、計画を立てるのに重きを置きますが、経験派タイプはまずは行動を優先します。
しかし、取り組む課題に応じて、最適な計画と行動の配分があるのではないかを考察してみるのが今日お伝えしたいテーマです。
前置きが長くなりました。本題に入ります。
2.ゴールが明快な時は計画50%
与えられた課題が、すでに経験したことのある内容なら、そんなに計画に時間をかけることは無いでしょう。ささっと、手順をイメージしたら行動することが1番効率的です。
一方、
新たに支店の出店計画を立てる
彼女(彼氏)との初めてのデート
初めてのマイホームの購入
などは、それなりの計画時間を取ってから、行動に移す方が良さそうです。
ざっくりとしたイメージがこちらです。
こうした計画に時間を取った方が良いことを書かれた本から事例をご紹介します。
それは、技能五輪というモノづくりの世界大会での日本の活躍のお話しです。
毎年、世界規模で行われる「技能五輪」という催しがあります。これは、旋盤とか溶接などの、モノを削ったり、組み立てたり、形を作ったりする専門的技能を各国の代表が争う競技会です。
日本は、第11回の1976年の大会から参加していますが、参加初めてでメダル数が2位、翌年は1位の成績を取ってしまいました。それから、しばらくは日本の選手が各種目の上位を独占し、金メダルや銀メダルをたくさん持ち帰っていきました。
こうした成果の理由は、日本選手が競技中に計画をしっかりと立てていたことにありました。日本選手は、持ち時間の半分を仕事の手順の検討に使うよう訓練されていました。他の国の選手は、競技が開始されると早々に加工に取りかかっているのにです。しかし、課題実現の手順をしっかり練り上げてから仕事にかかった日本の選手は、作業の手際も良く、正確な寸法で作業が進むので手直しなども発生しません。その結果、どの選手よりも早く、美しく正確に仕上げたので好成績に結びついたのです。
しかし、その後、各国の選手も日本を真似て計画に大切さを学んでしまったので、以後の日本選手がメダルを独占することは無くなってしまいました。
この事例から分かるように、もの作りのような課題では、持ち時間の半分を計画に使うことが結果的に成果につながることを伝えています。
ちなみに技能五輪の課題の例を1つご紹介します。
大量な説明資料をきちんと読み込んで、複雑な加工を短時間で行うとても難しい競技だと思います。
さて、ここで疑問なのが、どうして計画に半分の時間を使うと良いかです。
それを、論理的に証明したのが、ランチェスターの第一法則です。
ランチェスターの第1法則では、攻撃力=兵力x武器性能と定義しています。
これを、成果=投入資源x活動の質と置き換えます。
個人の資源は、人のスキルや時間、モノの量、金、情報量などになりますが、ここで人が投入する時間を変数に組みこんでみます。
すると、成果=計画時間x行動時間となります。
この式を元に、計画時間と行動時間の比を変えて成果を計算してみると、以下のような結果になります。なんと、50%にピークがあるではありませんか。
さすがランチェスターの第1法則です。
一方で、日々の課題はゴールが明快なモノだけではありません。
そうした時はどういう配分が良いのでしょうか?
その解には、ランチェスターの第2法則が使えそうです。
3.不確実なゴールは行動時間を多くする
コロナ禍で環境の変化による不確実な時代では、ゴールが明快な仕事だけではありません。やらなければいけないことは分かりますが、時間と共に変化する環境に考慮した試行錯誤の検討が当たり前の時代となりました。
こうした時代では、仮説検証型でPDCAのサイクルを何度も回して仕事の成果を高めていく進め方が有効と言われます。
これは、ランチェスターの第2法則における近代戦の戦い方が合っています。
ランチェスターの第2法則では、行動は2乗で定義されます。
この式に沿って、成果を求めてみると、計画時間は30~35%が良く、行動時間を多くする方が良いという結果になりました。
この結果から、計画時間が少なすぎるのは駄目だが、多すぎても行けないことが分かります。そして、不確実な近代戦においては計画の時間は、有限資源の30~35%程度が最適と考えられることが導けました。
たとえば、10日で新製品の企画を練るときは、計画3日、作成7日がベストだと考えて良いようです。
4.おわりに
今回の考察では、2つの前提に基づく計画時間と行動時間の最適値を求めてみました。
まだ、突っ込み所満載の仮説ですが、色々な事例を探しながら補強してみたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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今回の記事は、人生を考える上でのステップを想定しています。
この記事では、夢を描くです。
こちらの記事は、行動プランの立案です。
そして、今回が、実行の配分比でした。
その他、実行する上での能力をまとめた記事がこちらです。
よかったら参考にしていただけると幸いです。
終わり