老後の買物考
移動スーパー「とくし丸」を利用してみました。私の住む団地は、近くにスーパーなどが無く、普段の買物はもっぱら車を利用しています。だから、車を手放すとただちに買物難民の仲間入りです。そこに移動スーパーの巡回が始ったと知りました。と言うことで、使い勝手の感想や老後の買物の将来を徒然に書いてみます。老人の独り言です。もし良かったらお付き合いください。
1.移動スーパーとくし丸
私の住む団地は半径500m内にスーパーなどの買物できるお店がありません。以前は、八百屋、お魚さん・雑貨屋さんなどがあり、ちょっとした買物なら歩いて出来ました。しかし、店主が高齢化したり亡くなって閉店して無くなってしまいました。
住んでいる地区が、第一種低層住居専用地域というのは、こうした時に困ったものです。新たに買物の出来る店舗を開設できないようです。
一方で、そんな状況をチャンスと捉えて、イトーヨーカドーと「とくし丸」という移動スーパー専門の会社がコラボして、この地域を巡回することになりました。2021年の10月からです。
巡回してくる移動スーパーはこんな感じです。
移動スーパーを展開する株式会社とくし丸は、買い物難民を支援するため2012年に設立され、2016年5月からオイシックス・ラ・大地の子会社として事業を進めています。
一方、コラボしたヨーカドーは、2020年4月に「イトーヨーカドー 南大沢店」(東京都八王子市)で、1号車の運用と販売をスタートし、2021年6月に50台目を「四つ木店」(東京都葛飾区)で開始し、100台を目指して拡大中の1台が当団地に来たことになります。
イトーヨーカドーと「とくし丸」のコラボの様子は、流通ニュースに詳しく書かれているのでそちらを参照してください。
家の近くに巡回に来ていた時に、1月と3月に利用してみました。移動スーパーで売っているものは、こんな感じです。
販売商品は冷蔵品、加工食品、生鮮品、日用品などで、約400品目、1200点の商品を取り扱っているそうです。なんとアイスクリームも販売しています。冷凍庫に入っていました。さっそくアイスクリームは買ってみました( ^o^)
私が1月と3月に買った商品レシートの内訳です。
お試し買いだったので、お菓子類が多いですね(^_^;)と言い訳(^_^;)(^_^;)
値段は、たぶんイトーヨーカドーで買うのと同じ値段だと思います。それに加えて、移動スーパーの手数料として1品あたり10円+税の11円が付加されます。
たとえば、右のレシートでは8品買ったので+88円付加されています。
105円のマメ大福も、537円の鯛のおさしみも同じ1品11円の付加です(^_^;)
この方式が受け入れられやすいのでしょうね。
ちなみにヨーカドーのネットスーパーでは、手数料として330円が付加されます。
移動スーパーは、30品目以下なら手数料がお得となるのですね。
さて、店主と少し話しができました。その内容をQ&A風に書いてみます。
Q:自宅の前に買物に来てもらう条件は?
A:週2回の訪問時間を、相談の上決めて伺います。
Q:訪問日と時間は?
A:月曜から金曜日の10時~18時の間となります。
訪問は月木、火金、水から選んでもらいます。
土曜日と日曜日はやっていません。
訪問の時間は大体10~15分くらいです。
Q:私のようにふらっと買物してもいいですか?
A:大丈夫です。
Q:ここにない商品は注文出来るの?
A:可能です。次回の訪問日にお渡しします。
不在時の訪問スキップなどはどうするかは、聞き忘れました(^_^;)こんど聞いてみたいと思います。
実際、今回利用したのは近所の方が決めた定期訪問する時間でした。とくし丸の曲が流れたので来たことがわかります。なお、その方の所には月曜日と木曜日に来ています。
その方にもちょっとだけ話しを聞きました。その方は、80代の女性で、昨年ご主人を亡くして買物に困っているときに、このサービスが始まったので助かったと言っていました。買物はほぼこの移動スーパーで済ませているそうです。
このように遠方に出かける手段のない方には、定期的な訪問は助かるようです。また、店主の方とも仲良くお話をしていました。店主は話し相手にもなっているようです。
さて、私の今の状況からの利用の感想です。
この先、こうした移動販売のサービスがどう変化していくがが気になる所です。
定期的に買物しながら様子を観察していきたいと思います。
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2.買物難民のこと
先ほども書きましたが、私の住む団地は近くにスーパーなどがありません。
農林水産省農林水産政策研究所は、自宅から生鮮食料品販売店舗までの直線距離が500m以上であり、かつ、自動車を保有しない人を買物弱者(買い物難民)としています。
当団地はまさにこの500m以内に販売店舗がない地域です。また、住む方の高齢化が進み、相当数が買物難民化していると思われます。
実際、私と同じ組(18世帯)内に2世帯の買物難民の方がいます。
先ほどの方ともう1人80歳代の女性単身者です。自動車も保有していません。
率にすると11%です。
私の住む団地の自治会(町内会)単位で考えてみます。
在籍している住民は2021年末で約540世帯です。
今年の自治会決算書に敬老事業の対象者が222人(80歳以上)とありました。
世帯数を推察するため国勢調査の2021年の平均世帯人数2.26人を使います。
222÷2.26≓98世帯
難民率にすると、98÷540≓18%になります。
およそ6世帯の1世帯です。
高齢者の平均世帯人数はもっと少ないと思うので、もっと多い可能性があります。
さて、さきほどの農林水産省農林水産政策研究所が平成26年10月にまとめた資料から、買い物難民の割合を見てみましょう。
2025年の将来推計ですが、食品スーパー等で814万人という数字です。
しかも都市部での難民もけっこう多いという予測です。
今後、一人暮らし高齢者は増加すると予測されています。
2つのグラフの出典先のURLはこちらです。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000496982.pdf
2035年には、高齢者の約23%が一人暮らしです。
こうしたことから買物難民はさらに増え続けていくのでしょう。
この変化がサービスの様子をどう変えていくか興味深く観察していきたいと思います。
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3.将来買物に困るのか?
自分で買物にいけない人は増えることが予想されます。
しかし、その変化が大きなニーズとなり、今回の移動スーパーのようなビジネスが増えてくることが予想できます。
買物の仕方を類型化して、問題を分けて考えてみます。
買物難民は、買物に行くことを前提としています。
でも、図から分かるように、それは自分で行く場合の左上のケースだけです。
全国に約5万6000件(2020年末時)あるコンビニを利用でき、かつ、電話やネットが使えて注文出来る人は除外できます。
実際、若者たちは、当たり前のようにネットで買物をしています。
生鮮品であっても、自宅に届けてもらえるサービスもあります。
リアルであれば、移動販売や買物代行という手段があります。
ネットが利用できればネットスーパーなどを利用して宅配してもらうことも可能です。
生活必需品の調達というニーズは、移動スーパーのような新サービスを拡大させることでしょう。
4.おわりに
移動スーパーとくし丸を利用し思考実験をしてみると、当団地のような不便な地域でも、意外と「心配することはないのかもしれない」というのが私の感想です。
とはいえ、新しいサービスを受けられるスキル、たとえばネット操作の仕方や、身体は健康でいること、動ける内にそうしたサービスを経験しておくことは、大切かもしれません。
おまけです。
世の中の仕組みは回る回る風車の話しです。
移動販売という発想は、昔からあった商売の仕方です。
たとえば、東海道五三次の日本橋の様子を描いたシーンには、天秤棒に商品を乗せて行商する人の風景が描かれています。
また、私の幼い頃は路地でリアカーに野菜などを載せた行商人が来ていました。
写真引用:新潟街角古今より
買物という行為が、時代と共に
売りに来る→買いに行く→売りに来ると変化しているように思います。
時代の流れは、こうした振り子のような繰り返しがあることを改めて認識する事例ともなりました。今日のお話は、ここで一旦おしまいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
こうした記事も読んでくださると嬉しいです。
終わり