繰り返しから未来を推定する
観察するデータの中には、多くの規則性や繰り返しが存在します。規則性が確認できると問題解決のスピードが向上します。
今日はそんな規則性の法則の1つである製品ライフサイクルのお話です。
良かったらお付き合いください。
1.製品ライフサイクルとは
経営戦略でよく利用する経験則に製品ライフサイクルがあります。
まずは、全体像をご覧ください。
製品ライフサイクルは、新しい製品が市場に投入されてから、市場で売れ始めて、次第に売れなくなり姿を消すまでの様子を売上のカーブで表したものです。
人の人生を模したものなので製品ライフサイクルと名付けられました。
PLCと略すこともあります(PLC:Product Life Cycle)
では、各段階の内容を見ていきましょう。
導入期
導入期は、新しい製品が市場に出てきたばかりの時期です。新製品なので、何らかの革新性を備えています。しかし、売り始めたばかりなので多くの消費者はその革新性の存在を知りません。そのため、売り手は広告や宣伝をして製品の認知度を高めようとします。
この時期は、売上より支出が多いので、利益的には赤字になります。
成長期
製品の良さが認知されてくると、需要が高まり売れ始めます。一方、この時期は市場も拡大していて、競争相手も沢山出てきます。競争者と自社の製品の違いをはっきりさせるよう差別化を図りシェア-の拡大が基本的な戦略になります。
売れ始めるので売上は急速に増加し、それに応じて利益も出始める段階です。
成熟期
成熟期は、競争者も減りその中でどう生き残るかが課題となります。市場のシェア-を維持することが主要な戦略となり、守りのビジネスになります。
そのため、製品の価格を下げるための生産性の向上や、品質を向上させるなどの活動が中心的になります。既存の顧客を抱え込むことも重要な作戦の1つです。
この作戦が成功していれば、売上高はもっとも高い時期で、製品の原価も下がり、利益も最大になる時期です。
衰退期
いろいろな要素から市場規模が小さくなり、製品の売り上げが少なくなります。シェアの高い製品であれば、余計な費用をかけないので残存者利益が得られます。
しかし、シェアの低い場合は撤退や、広げた製品バリエーションを減らす努力が必要な時期です。
トップシェアの製品もいずれ販売中止の時期が来ます。
衰退期には、次のステージに向けた製品の準備も進めることになります。
2.iPodの例
事例として、Appleが発売したデジタルオーディオiPodの売上推移を見てみましょう。
iPodは2001年11月に発売されていますが、データの公開は2004年からなのでそこから2014年までの推移を図にしてみました。
データの無い2001年から2003年が導入期だったと推察します。
その後、成長期に小型の製品iPod miniや価格帯を下げたiPod nanoを投入して差別化を図り売上を拡大しています。
販売台数のピークは2008年の5,483万台です。
iPodの成熟期は、2007年から2010年といえるでしょう。
ピークとなった2008年は第2世代iPod touchと第4世代iPod nanoが発売され、翌2009年、2010年と、iPod touchとnanoをリニューアルしています。
その後、5,000万台を維持していましたが、後続機の新製品の少なくなった2011年から大幅に減少し、2012年は2,000万台とピークの約半分となり衰退期に入りました。
なお、成熟期の2007年にiPhoneを発売し、Appleの主軸はスマートフォンに移っています。
3.製品ライフサイクルと技術進化
この製品ライフサイクルの衰退期に次の新技術が登場することもよく知られています。
たとえば、私たちの身近な音楽ソースなども、この技術進化の過程を踏んでいます。
音楽ソフトは、レコードからCDに移行し、最近は配信やサブスクへと進化しました。
具体的な販売量の推移も見てみましょう。
このデータは、音楽ソフトの販売量で推移を表したものです。
レコードやCD,音楽配信に加えて、カセットテープなどの販売もS字カーブに沿って増減していることが分かります。
現世代と次世代の製品ライフサイクルがクロスオーバーしながら市場を変えていくのがもう一つと特徴です。
このように進化の法則も、S字カーブから読み解けそうです。
さて、私たちの周りの出来事には、色々な繰り返し性を見つけることができます。
出典:予測のはなし 著者:大村 平 p216より
たとえば、
・二度あることは三度ある型
・歴史は繰り返す型
・人のふり見てわがふり型
などです。
太陽の黒点数の推移などは、典型的な「二度あることは三度ある型」ですね。
こうした黒点数の推移が、地球の天候にも影響しているという説もあります。
歴史は繰り返す型では、家庭用TVゲーム機の出現時期が有名です。
ヒット商品の成熟期から衰退期がおよそ5年周期で訪れ、新たなヒット商品に世代交代しています。
人のふり見てわがふり型では、覇権国の交代劇がよく取り上げられます。
覇権国の推移を見る上で、参考になるのが、主要国の1人当たりGDP購買力平価の世界平均の倍率推移です。
かつて1700年代、オランダが貿易で世界を席巻していた時代があります。
その後、1800年に入って、イギリスが機械化と金融で覇権国となりました。
そして、1900年代に入って、幾度かの世界大戦後にアメリカが覇権を握りました。
ここまで、およそ100年ごとに覇権国が交代しています。
日本も1990年のバブル崩壊までは、良い調子だったのですがねぇ(^_^;)
周期性から見ると、2000年代のどこかで、アメリカから別の国に覇権が移動する時期です。
中国の可能性は無さそうですが……はてさて
ぜひあなたの関心事の繰り返しの法則性を見つけてみてください。
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4.繰り返しの発見
繰り返しの法則性を見つけるためのポイントは次の2つです。
・過去の情報を収集する(調査)
・規則性を拾い出す(分析)
あなたが経験が役に立ったことには、かならず規則性があります。
逆に、でたらめに起きていることは、経験が役立ちません。
規則性のあることを拾い出し、これを組み合わせることであなたの智恵を深めてみましょう( ^o^)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
私が関心を持っていることの記事です。
終わり