アクティブなブログ人口は何人か?
定期的に更新している国内のブログ人口を調べてみました。
驚いたことに最新の統計資料がほとんどない状態でした。今回は確認できたデータをご紹介しつつ、簡易的な推定をしてみました。
お時間があったらお付き合いください。
1.ブログ人口
総務省が、2005年9月末におけるブログ登録者の集計結果を発表しています。
今回発表された集計結果は、ブログを運営する企業33社、SNSを運営する企業13社について、それぞれの登録者数を単純合計して算出したもの。その結果、ブログの登録者数は473万人、SNSの登録者数は399万人となった。
URL:
日本のブロガー人口は473万人、SNS登録者は399万人--総務省が発表 - CNET Japan
2005年9月末で、ブログ登録者は
473万人だそうです。
ちなみに2005年3月末の実績と2006年、2007年3月末の予想も書かれていました。
表にしたのがこちらです。
2006年3月末 621万人
2007年3月末 782万人
右肩上がりの増加を予想していましたね。
これは、あくまでブログの利用登録した人数になります。
閲覧だけの人も、実際にブログを書いている人も含まれる数字です。
次に、アクティブブログ人口を推定していきます。
まずは、定期的にブログを更新しているブログ数を見てみましょう。
2009年に総務省 情報通信政策研究所が、「ブログの実態に関する調査研究」平成21年3月(2009年)に、アクティブブログ数を出しています。
この研究内容は、かなりアカデミックで面白いのですが、その後の発表がないのが残念です。
1ヶ月に1回以上というのは、少々甘い感じがしますが、1ヵ月1回以上というのが一つの区切りとして判断しやすいのでしょうね。
アクティブブログ人口の定義もこれを使っていきたいと思います。
参考までに、この資料に載っている1ヵ月の記事更新数のグラフです。
ご覧のように1ヵ月で1回しか更新しない人が最も多くて、右下がりの指数関数カーブを描いています。平均で約14記事/月になるそうです。
さて、アクティブブログ数の実績をグラフにしてみたのがこちらです。
2001年1月から2008年1月までの月間の推移データです。
研究資料のあるURL:
https://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2009/2009-02.pdf
2004年くらいから急激にブログ数が増加して2005年~6年で約320万ブログまで拡大しましたが、その後は、300万ブログのまま横ばいで2008年1月まで推移しています。
なお、急増した2004年というのは、アメーバブログ(アメブロ)が提供を開始した年でもあります。多くのブログ提供業者が前年に誕生した時期です。
これは、アクティブなブログ数なので、ブログ人口に変換する手立てがいります。
参考にしたのが、1人当たりの平均ブログ数です。
平均は、約2.2ブログ/人と仮定しました。
この割合を利用すると、
298万ブログ÷2.2=135万人
2008年当時のアクティブブログ人口は、
約135万人
と推定されます。
当時、ブログファンというブログ情報提供サイトがありました。
その記事によると、2009年に3強と呼ばれたブログサービスの月のアクティブユーザーは、アメーバブログ115万、FC2ブログ43万、Yahoo!ブログ25万だそうです。
その合計値は、183万人となります。
2008年と2009年の1年違いですが、フェルミ推定程度には、そこそこの一致度があるように感じています。
注:フェルミ推定とは、調査が難しい量をいくつかの手がかりから推論する手法
さて、それ以降の数字を探しましたがいまだに見つかっていません。
アクティブなブログ人口は、企業や官庁にとって重要な秘密なのでしょうか?
公開してほしいものです。
そうした中で、
2018年(平成30年)の総務省の情報通信白書に
2017年におけるブログで積極的に発信している人の割合は約4.6%という報告があります。
データ元URL:
総務省|平成30年版 情報通信白書|ソーシャルメディアの利用状況
この結果は、インターネットアンケート調査で20歳~79歳までの各年代を100人ずつ合計1200人のサンプリングデータです。
インターネット調査では典型的なサンプリングですね。そこで、この数字を用いて、2017年におけるアクティブブログ人口を推定してみます。2017年としたのは、サンプリング対象の満年齢が前年になる点からの判断です。
まずは、2017年の各年齢別の人口を統計データから入手しました。
合わせて、白書のインターネット利用率も使わせていただき、母集団を推定します。
20歳から79歳までの男女でインターネットを利用できる環境にある人は
約7,938万人と推定できました。
続いて、この母数を使って、アンケートの割合から利用人数を推定します。
積極的に発信している人をアクティブなブログ人口と仮定すると、
約365万人となりました。
この結果は2008年の推定値
135万人
からすると2.7倍に増えている計算になります。
推定方法が、異なるので明確には言えませんが、2008年から2018年の約10年で倍増していることは間違いなさそうです。
また、2018年の推定は、企業ブログなどがカウント出来ていないので、もう少し多いと思います。
なお、閲覧が多い人口もアクティブブログ人口に足すと
365+429=794万人
と相当量になります。
この数字はやや過大な感じがしました。
閲覧のみの方を足したいわゆるブログ登録者数は
2207万人で、
日々ブログを読んでいる人の人口といったところでしょうか?
ほぼ利用なしも含めた総人数が、
2731万人となり、
いわゆるブログ登録者の総数という感じかもしれません。
一方、
ブログ登録者では、2019年にアメーバーブログ登録者が、6500万人を超えたと報告しています。
注:6500万人は、「Facebook」や「Twitter」などのID連携する他サービスIDでの利用者も含めた、「Ameba」サービスの累計会員数(2019年8月5日時点)
この数字は、色々なSNSの利用者も含めた数字なので重複した数値と思われます。
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2.アクティブブログ人口の推定
アクティブなブログ人口は、
2008年の推定値
135万人
2017年の推定値
約365万人
となりました。
では、2020年はどうだったかを推定してみます。
前提の1つは、ブログを始めた人の残存率の仮定です。これは、先の研究データを利用させていただきます。
そして、人口を推定するモデルは、以下を使いました。
日本の総人口のある人数の割合が毎年ブログを始めて、参入したプレイヤーがある割合で、ブログを止めていくいうモデルです。
前提2となる毎年のブログを始める人は、アメーバーブログ登録者などの増加数字を参考に数値化してみました。
簡易的な予測なので、参考程度にごらんください。
計算した結果がこれになります。
先ほどの推定値も参照しながら、2020年の予測値を見ていきます。
年 予測値 推定値(単位:万人)
2008年 136 135
2017年 297 365
2020年 280
今回の試算では、2020年のアクティブなブログ人口は、
280万人
と出ました。
この数字はかなり低めではないかと感じています。
2008年は、2つの数字がよく一致していますが、
2017年の数字は、かなり乖離が見られます。
2017年は2つの数字のどちらも前提や仮定がまだ検討不足なのでしょう。
たとえば、モデルに登録者の数値を用いていますが、登録者数No.1のアメーバーブログの登録者が、2018年6200→2019年6500万人と増加数が300万人しかありません。
今回の結果に、アメーバーブログの登録者の増分が少ない影響が想定されます。
一方、私が利用している、はてなブログは、堅調に増加していました。
ブログサービス事業者は数百社あります。
上位20社で75%程度は説明できるらしいですが、
今回は、上位数社の断片的な数字だけのデータなのでデータが不十分なのでしょう。
さらにデータの発掘や、モデルの精緻化を図っていかなければならないでしょう。
もう少し分析を深めて、この記事は何度かリメイクをしていこうたと思っています。
今回は、とりあえずやってみた程度ですが、検証結果をシェアしてみたいと思います。
皆さまのご感想・ご意見をいただけると幸いです。
その後のデータで2020年のデータを見直したのがこちらです。
約348万人とやや増えた結果となっています。
3.参考
「ブログの実態に関する調査研究」研究では、以下の推計モデルを採用していました。
このモデルによると、開設したブログが、その後も更新している割合は、
1年後で 30%
2年後 20%
3年後 3%
という数字だそうです。
ある民間データでは、1年後10%という話しを聞いたことがありますので、2009年当時はこんな割合なのかもしれません。
こうしたサービスの普及率は、S字カーブを描くことがよく知られています。
S字カーブは、ロジスティック曲線の式を用いることが多いです。
その式は以下になります。
k:上限値 C:定数 a:立ち上がりを決める係数 t:時間(等間隔の整数)
最近のSNSの登録者数の様子です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
こうした記事も読んでやってください。
終わり