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今日は、ハインリッヒの法則と氷山モデルについて書いてみます。
どちらも問題を認識する上で貴重なヒントが得られる先人の知恵です。
さて、私たちは、日々色々な問題に遭遇しています。
「朝、寝坊した」といった小さな問題から
「商品出荷で行き先間違いがあった」といった大きな問題まで
さまざまなです。
でも、ここに上げた問題は、
すでに発生していて見えている問題です。
なのでまだ対処がしやすい。
本当に困るのは、まだ見えていない問題です。
そして、見えていない問題の方が沢山あると言われています。
それを調べたのが、ハインリッヒさん
そのハインリッヒさんの法則とそれに関連の深い氷山モデルを確認していきましょう。
お時間があったらお付き合いください。
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お忙しい方は一部だけでもご覧ください。
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1.ハインリッヒの法則とは
ご存じの方も多いと思いますが、
「ハインリッヒの法則」
を改めて確認しておきましょう。
この法則は、
アメリカのハインリッヒさんが
労働災害を5000件以上を調べた所、
1件の重大事故が発生する背景には、
軽微な災害が29件発生しており、
さらにケガには至らない
「ヒヤリ」「ハッと」した出来事が300件
あることを見いだして経験則としたものです。
「1:29:300の法則」ともいわれます。
この法則によると、
見えている災害(問題)は1+29=30件
問題には至らなかった潜在化している出来事(見えていない問題)
は300件
と、なります。
この30件と300件の比から、
見えていない問題は、見えている問題の10倍
あるいは、見えていない問題が90%(9割)
と言われます。
(厳密には300/330なので91%です。気にされる方のために念のため)
この10%という比率が、
氷山の様子と似ていることから、
組織の問題を扱う場合には、「氷山モデル」が提案されています。
お忙しい方へ: 終わりへ
2.氷山モデル
まずは、モデルとなった氷山そのもののお話しから…
海に浮かぶ氷山の姿は神秘的ですね(*^O^*)
水面下に見えない部分を持つからでしょうか?
少し堅い話で恐縮です。
氷の密度は920 kg/m3です。
そして、
海水の密度は1025 kg/m3です。
その比は、920/1025=0.898となるので、
1-0.898=0.102(約10%)
つまり、
海水に浮かぶ氷山は約10%が水面から出ている状態になります。
(ちなみに水に浮かぶときは比重が0.92なので、約8%が水面上です)
この10%という数字が、ハインリッヒの法則で明らかになった「見えている部分が10%」と一致しています。
氷山は見えていない部分が神秘的でいいのですが、
組織の問題を扱うときは、
見えている問題だけに気を取られて
見えていない問題を発見できないと、
痛い目に合うことを戒めている言葉が、
氷山モデルの「氷山の一角」です。
組織の見えている問題も10%と言われています。
そして、氷山モデルでは、
組織の問題は、
水面上に出ている「目に見えている部分(ハードの部分と呼びます)」と、
水面下の「目に見えていない部分(ソフトの部分と呼びます)」
の両方で構成されるとしています。
注:7Sモデルの説明は補足を参照ください。
詳しく見ていきましょう。
組織の問題は、
水面上のハードの部分
仕組み・ルール
組織構造
戦略
が見えている部分になります。
一方、
水面下のソフト部分
技術・能力
人の属性
文化・風土
共通の価値観
は見えていない(見えにくい)部分となります。
このように、組織の問題を、「組織の7S」といわれるフレームワークと氷山の様子と重ねたのが氷山モデルということになります。
そして、多くの問題の事例から「見えている問題」は、「見えていない部分」が真の原因となることが多いと言われています。
忙しい方へ: 終わりへ
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3.組織の見えていない問題の例
ある製造の部署でもお話です。
職場のルールに、
「問題が発生したら、すぐに報告しよう」
が掲げてあるが、
「メンバーからは、すぐに上げて来ない」
とあるマネジメントから相談を受けました。
報告の仕組みとして「毎週の進捗会議」もあり、時間枠も取っていると言います。
しかし、その会議でメンバーからは自発的に問題を上げて来ないのだそうです。
上がるようにするにはどうしたらよいか
というのが相談事項でした。
そこで、その職場の何人かのメンバーの方に様子を聞いてみました。
すると…
原因は、なんと相談したマネジメントの方そのものにあったのです。
あるメンバーは、
「会議で問題を報告したら、メンバーの居る前で凄く叱られて恥をかいた。
それ以降、自分からは会議で報告しないことにしている」
他のメンバーも、
「不具合の応援をお願いしたのに、支援してくれない」
「相手先に謝りに行って、自分の責任にされ評価も下げられた」
などの意見が出てきました。
職場のメンバーはそうした上司の対応を何度も見ているうちに、
職場の風土として
「問題を上げるとろくな事は無い」
と思うようになってしまったのでした。
どんな仕組みやルールがあっても、そこにいるメンバーや職場の風土が受け入れていないと悪い情報は上がってきません。
この例では、
相談に来たマネジメントの方に
・批判や叱責は止めること
・メンバーの支援や物の追加支給をしてあげること
・責任はマネジメントが取ることを宣言する
などを提言しました。
とはいえ、どれも簡単ではありません。
そのマネジメントさんのマインドが変わらないと行動も変わりません。
会議の場に何度かお邪魔して、マネジメントさんの行動をフォローして感覚をつかんでいただきました。
職場を変えていくのは、マネジメントが率先して変わることが重要なことを改めて知った事例でもありました。
忙しい方へ: 終わりへ
4.まとめ
労働災害においては、
1件の重大事故が発生する背景には、
軽微な災害が29件発生しており、
さらにケガには至らない
「ヒヤリ」「ハッと」した出来事が300件
あることを見いだして経験則としたもの
「1:29:300の法則」とも言われる
氷山モデルとは
ハインリッヒの法則で明らかになった「見えている部分が10%」が、氷山の様子と似ていることから、組織の問題を氷山に例えたもの
水面上のハードの部分
仕組み・ルール
組織構造
戦略
が、見えている部分
水面下のソフト部分
技術・能力
人の属性
文化・風土
共通の価値観
が、見えていない(見えにくい)部分
忙しい方へ: 終わりへ
5.補足(組織の7S)
7Sモデルは、コンサルタント会社マッキンゼーが提唱する「組織の7S」というフレームワークです。
問題を見つける時の視点として、経営資源の以下を挙げています。
ハード面
・ 「戦略(Strategy)」→戦略の方向性
・ 「組織構造(Structure)」→組織図、組織協力
・ 「仕組・ルール(Systems)」→情報伝達ルート業務フロー
ソフト面
・ 「技術・能力(Skill)」→組織の技量
・ 「人の属性(Staff)」→組織の人材の質、傾向
・ 「文化・風土(Style)」→暗黙の組織ルール、文化
・ 「価値観(Shared Value)」→社員の共通の価値観
ハード面に上げた「ハードの3S」は、物理的に見ることが可能な資源をあげています。なので、顕在化していることが多い資源です。
一方、ソフト面に上げた「ソフトの4S」は、形として存在するものではなく組織に暗黙的に存在するものです。なので、見えにくい資源になります。
この7つの資源から、組織を観察することで問題の発見がしやすくなります。
私も何度も7Sでチーム分析をさせていただきましたが、改善のポイントを発見しやすくなりました。
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