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数字で語るビジネスの法則の第3回目です。
テーマは、皆さんもよくご存じの「ハインリッヒの法則」です。
1:29:300の比に込められた色々を書いてみました。
よかったら読んでください。
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お忙しい方は一部だけでもご覧ください。
お忙しい方は、「終わりへ」を「プチ」とすると文末に飛びます。
このシリーズの1回目はこちらです。
1.1:29:300(ハインリッヒ)の法則とは?
この法則は、アメリカのハインリッヒ氏が労働災害を5000件以上を調べた事例から経験的に導き出したものです。
「1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の「ヒヤリ」とした怪我に繋がらない出来事が存在する」とする経験則です。
この1:29:300(正確には330)の比率から「1:29:300の法則」とも言われています。
図:まねき猫が作成
重大災害は、330分の1という低い率(0.3%)で起こりますが、多くの怪我に至らなかった「ヒヤリ」の事例を見逃してはいけないと教えています。
こうしたヒヤリとした事例を事故の予兆と捉えて、適切に対処することで重大事故を未然の防止できると考える法則です。
このように、実際に見えている問題の数(1+29=30)が全体の1割くらいで、見えていない問題の数(300)の方が9割と多いことから、「氷山モデル」という言い方もされます。
(注:実際の氷山は、氷の比重が0.92なので、水面から顔を出す部分は8%です。)
お忙しい方へ: 終わりへ
2.その他の例や法則のあるある
この経験則は、その後いろいろな事象にも当てはまることが事例として紹介されています。Webなどで検索すると沢山出てきますね。
バードの法則
1969年にバードが発表した法則です。
アメリカの21業種297社1,753,498件のデータを調べた結果から、
「重大事故1:軽傷事故10:物損事故30:ニアミス600」の比率を導き出しています。
タイ-ピアソンの結果
1974年、1975年にタイとピアソンが、イギリスの保険会社のデータ約100万件から導き出した結果です。
「重大事故1:軽中傷事故3:応急処置を施した事故50:物損事故80:ニアミス400」の比が成り立つと主張しています。
さらに面白いのがこちら。
『爆笑問題カーボーイ』というTBSのラジオ番組で、「ハインリッヒの法則」をネタにして『爆笑問題のハインリッヒの法則 世の中すべて300対29対1の法則で動いている』という本が出ています。寄せられた放送内容を収録したものです。
なんと、この本で爆笑問題は、2003年にNPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会から「リスクコンサルタントオブザイヤー特別賞」を贈られました。
内容は世の中の事柄を「300:29:1」で表したものです。
参照:NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会 HP
過去のリスクマネジメント・オブ・ザ・イヤー受賞者/リスクマネジメント/資格・専門人材養成・企業研修/NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会
爆笑問題のハインリッヒの法則―世の中すべて300対29対1の法則で動いている (祥伝社黄金文庫)
- 作者: 爆笑問題
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注:新書は2003年6月に発売 上記アマゾンは文庫版で2005年10月発売
内容はジョークの塊なのですが、
1:29:300の比で物事を考えているのは面白い発想です。
たとえば、1つ引用します。
「アイドルおたくのハインリッヒの法則」
ファンクラブに入る 300人
写真集を集める 29人
そのアイドルと結婚する 1人参照:同書籍 p.20
地頭力の強化につながりそう?( ^o^)
(真面目に検証しないでくださいね)
いかがだったでしょう?
まじめな物やジョーク的なものまで
身近な所にこの法則の参考になりそうな事例がありそうです。
忙しい方へ: 終わりへ
3.どう使う
危険の芽は早く摘む
さきほど、”300の「ヒヤリ」とした怪我に繋がらない出来事”と書きました。
そのことを、安全衛生などの取り組みでは「ヒヤリハット」と言います。
「ヒヤリ」としたことや「ハッ」としたことを組み合わせた言葉ですね。
こうした「ヒヤリハット」の危険予兆をすばやく吸い上げて重大事故に繋がらないよう対策を講じることが大事だとされています。
危険の芽は早く摘んでおきたいものです。
そのため、職場ならメンバーから「ヒヤリハット」した経験を集めて、事故防止の対策を練り不安全行動や不安全状態を無くし災害・事故を減らしていく活動につなげます。
以下のケンセツプラスさんの記事がとても分かりやすいです。
参考にしてみてはいかがでしょうか?
こうした危険を未然に発見するトレーニングも紹介されています。
KYTとは、「危険K 予知Y トレーニングT」の頭文字をとった言葉です。
会社で安全衛生などの講習や研修を受けた方にはなじみのある言葉でしょう。
事故や災害を未然に防ぐための活動として職場単位で行います。
お家で家族でゲーム感覚でやってもいいでしょう。
やり方は、
危険が潜む(だろう)絵や写真を見せて、みんなでどんな危険があるかを話し合ってみるものです。
たとえば、こんな感じです。
あなたはどんな危険があると想像しましたか?
読みながら少し考えて見てください。
(例はこの後に書きました)
このイラストは、安全衛生マネジメント協会のHPから利用させていただきました。
公開されているので、どなたでも使えます。
参照:安全衛生マネジメント協会 HP
さきほどのイラストから、
たとえばこんな危険を予知します。
・釘を打つ反動で脚立から足を滑らせて怪我をする
・トンカチで左手をたたいて怪我をする
・脚立に登ったまま時計を取ろうとして落ちて怪我をする
あなたはどんな危険をイメージしましたか?
もし、上の3つ以外の新たな危険を思いつかれたなら素晴らしい(*^O^*)
発想力や危険予知のセンスがあります。
さて、こうしたKYTにもお作法があります。
KYT基礎4R法といいます。
基本4R(ラウンド)法は、関係者が全員集まり、話し合いの場を作り参加者全員で危険予知の意識を高めるための行動目標を考える活動を言います。
4つのラウンドで進めることから4R法と呼んでいます。
1.危険を洗い出す
事例イラストを見て、危険を参加メンバーで出し合う
2.重要な危険を選ぶ
出た意見から、重大な事故につながる緊急性の高いものを選ぶ
3.あなたならどうする
選んだ危険について、具体的で実現性の高い解決策をチームで立てる
4.私たちはこうする
行動目標を決め、全員で確認合意する
こうしたKYT基礎4R法の進め方を厚生労働省がテキストにまとめています。
参考にしてみてください。
危険についての情報は以下のようなサイトからも収集できます。
参考になれば幸いです。
厚生労働省 職場の安全サイト
失敗知識データベース
忙しい方へ: 終わりへ
4.まとめ
・1:29:300(ハインリッヒ)の法則
「1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の「ヒヤリ」とした怪我に繋がらない出来事が存在する」とする経験則のこと
・危険の芽は早く摘む
ヒヤリハットなどの危険予兆をすばやく吸い上げて重大事故に繋がらないよう対策を講じる
事故や災害を未然に防ぐために、場を作り危険予知の意識を高めていく活動
こうした1:29:300(ハインリッヒ)の法則のような経験則では、1:29:300といった比はあくまで目安となるものです。
1:10:30:600のような例もあることを承知して活用することが望まれます。
事故の因子が多くあることを、ヒヤリハットなどかたすばやく吸い上げて重大事故に繋がらないよう対策を講じることでこの法則が生きてきます。
こうした法則を発想法として利用してみるもの良いでしょう。
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