定期更新
年初は、恒例の太陽黒点数のデータです。今回は2023年の月別データなどを更新しています。興味がある方はお付き合いください。
作成2024年1月4日
1.太陽黒点数の月推移
1949年~2023年12月までの黒点数
赤い棒グラフが月平均の太陽黒点数になります。
青い線は、13か月移動平均線です。
太陽黒点数はおよそ11年の周期で増減を繰り返しています。この周期は、黒点数の少ない極小期から次の期までを1活動周期として、1755年から順番に番号が振られています。
現在は、2019年12月から始まった第25活動期の上昇期です。かなり黒点数が増加しています。2023年の年平均黒点数は暫定値ですが125.2となりました。昨年が、83.03なので50%増となっています。また、2023年6月は160.5と黒点数が、150を超えたのは2002年10月以来20年ぶりとなります。
ただ、この月を頂点にして下降しているようにも見えます。ふたたび、増加することもあるので今後の変化が下降傾向なのか上昇傾向なのか気になるところです。
第24活動期の2014年2月のピーク値146.1を超える月があれば、ふたたび太陽は活動期と判断できそうです。しかし、このままピークを過ぎるようだと第25活動期は第24活動期より低迷する可能性もあります。
最近の太陽黒点数推移
さきほどのグラフデータを、2008年の始まった第24期の太陽黒点数から、第25期の2023年12月までの数値を表にしたのがこちらです。
これらのデータは天文年鑑の太陽面活動の223~224ページを参照しています。
また、2023年7月以降の最新データは、ベルギー王立天文台のHPから引用しています。URLがhttp:なので、リンクをブログ内に書くと注意されてしまいます。
なので、以下に掲載しておきますので、興味のある方で、データを直接入手したい方は以下を参照してください。テキストデータやCSVデータとして入手できます。
2.太陽黒点数1700年~2023年
1700年~2023年の年推移グラフ
1700年から2023年の太陽黒点数の年推移をグラフ化したのがこちらです。
波の上の数字は、周期番号です。(1755年が1番)
ご覧の通り赤い棒の年平均値が、約11年の規則的な増減を繰り返しています。
この年別のデータを、FFT(高速フーリエ変換)で解析をすると周期の年分布をみることができます。下の図が解析したデータをグラフにしたものです。一般的に言われているように約11年をピークとした10年から12年の周期で増減を繰り返していることがわかります。そして、5年くらいにも小さな分布のピークがあり、太陽黒点数の変動バラツキを形成していることも読み取れます。
年別の推移グラフの青い線は、11年移動平均線の推移です。長期的な増減が観察できます。さきほども書きましたが、5年程度の周期変動もあるのでまだ判断は難しいですが、この第25活動期の数値次第では、今が下降期か上昇期の判断の分かれ目となりそうです。
番号が振られた以降で第5期から7期は、太陽黒点数が極めて少ない時期で、ダルトン極小期(1790~1830年)と呼ばれています。こうした時期は、地球の気温も下がって寒さが厳しかったと伝えられています。そうした事例を、川が凍り付いた当時の絵画からうかがえます。
1700年~2023年の推移データ
1700年から2023年の数値を一覧にしたのがこちらです。縦軸が10年ごとの始まりの年を示し、横軸が各年の0年~9年の各黒点数となっています。2023年のデーターを追加しています。
3.1949年~2023年の黒点数と株価の推移
太陽黒点数は、経済に影響を与え、その結果株価もそれに連動するとする説があります。そうした様子を株価と太陽黒点数の推移から観察しています。
戦後の株取引が再開した1949年からの2023年までの日経平均株価の推移と太陽黒点数をグラフにしたのがこちらです。
赤い棒線が太陽黒点数で左の目盛り軸になります。
青の折れ線グラフが、日経平均株価の終値推移で右の目盛り軸となります。
2023年は、久しぶりの3万円台の復活となりました。
見る限り株価と太陽黒点数のグラフの相関性は認められません。そこで、もう少し変化を観察しやすいように株価を前年との偏差に変えてみたのがこちらです。
このグラフから、太陽黒点数が少ない第20期の終わりに石油ショックで株価が下がっていること、2008年のリーマンショックも太陽面活動が低迷したときに株価が暴落している様子が読み取れます。
一方、1990年のバブル崩壊時は太陽面活動が上昇期にありました。なので、こうした単純な分析程度では株価と太陽面活動の相関性は見いだせないようです。
一説には、太陽黒点数の上昇期に株価が上がり、太陽黒点数が少ないときに大きな社会事件が起きて株価が下がるといわれていますが、今のところ早々簡単に未来は予測できないという感じです。とはいえ、色々な指標を加えて相関性を見つけられないか、多変量解析などを試してみるつもりいます。
4.終わりに
本日のサマリーです。
・黒点数は、第25活動期に入って上昇傾向
・1700~2023年の黒点数データを更新
・株価と黒点数の相関性から今年の変化に注目
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
本編はここで終了です。
以下は、参考情報です。
お忙しい方は、
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参考:太陽と太陽黒点の基礎
太陽の構造
太陽は、直径が約140万kmと地球の約109倍もあり、太陽系の質量の99.9%を占める恒星です。中心部の温度は約1.500万度で、表面温度は約6,000度となっています。これは、中心核における核融合反応によるエネルギーによって発生しているのはよくご存じの事と思います。
地球から約1億5千万km(=1天文単位)の距離にあり、太陽が発した光は、約8分20秒かかって地球に到達します。つまり今見ている太陽は、約8分前の姿と言うことになります。
太陽黒点とは
今回取り上げた太陽黒点は、太陽の低温部が黒く見えているものです。
太陽表面温度が約6000度に対して、黒点部分は4500度と低いので暗く見えます。
黒点からは磁力線が図のように伸びていて、太陽フレア と呼ばれる一種の爆発現象のトリガーになっています。太陽フレアは、程度が大きいと通信や機器の障害を起こす原因にもなっています。
太陽面活動やその他の影響について
地球の気温を変化させる要因は、いくつもの要因が関係しています。太陽黒点数の増減などによる太陽エネルギーの変化が主要因とは考えられていません。最近の話題は、二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスの増加が気温の上昇をもたらすことでしょう。
また、大規模な火山噴火により成層圏にまで運ばれた火山性ガス(亜硫酸ガスや硫化水素など)が、日射を遮ることで気温の低下を招いた事実も過去何度かあります。オゾン層の変化や森林破壊(耕作地の拡大)なども地球の気温に影響があるそうです。
それ以外、自然界の長い時間変動からの気候の揺らぎ”も存在すると言われています。
さまざまな変動要因を考える際には、これらの要因についても注意しつつ検討することになります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
こうした記事も読んでいただけると幸いです。
終わり