問題解決のお話
「世の中の富の80%は、20%の人が所有している」、このパレートの法則から、学ぼうというお話です。所有する20%に入れなかったなら、せめてビジネスや私生活で、この法則を活用して仕事の効率化やスピードアップをしてみたいものです。
よろしければお付き合いください。
1.パレートの法則とは?
富は不均衡
パレートの法則は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Federico Damaso Pareto)が発見した法則です。
「世の中の富の80%は、20%の人が所有している」という統計分析から導かれました。
実際に調べてみました。データが1997年とちょっと古くてすみません。すると、確かに人口構成の20%の人が正味資産の84%を保有しているのです。
たまたまの偶然じゃ無い?という疑問が湧きますね。
そこで、さらに調べてみたのがこちらです。
これは2018年の女子プロの賞金獲得額をパレート図で描いたものです。
ツアー参加者の全体の22%の人が、賞金の82%を占めていました。
しかも参加者の8%で49%の賞金を得ているのですね。
パレートの法則恐るべしです。
さて、この パレートの法則は、QCサークルを経験した方はよくご存じの手法だと思います。問題解決の初めのステップとして現状調査をして、問題点を整理するのに役立つ手法です。
構成する20%の要素が、全体の80%の値を占める点を利用します。
簡単な例をご覧ください。
これは、ある工程の不具合をパレートの手法で図式化したものです。
パレート図と呼びます。
横軸に取り上げた要素を多い順に並べ、縦軸にその要素ごとの件数などを棒の高さで表した図です。右の目盛りは累積の割合を示しています。
この図の例だと、要素Aと要素Bの2つで、全体の80%の問題点が説明できていることが分かります。この点を優先順位付けに応用し、まず着手するのはこの2つに絞ることで、全要素の80%を解決出来、検討のスピードアップが図れます。
こうした点から、パレートの法則は色々な応用例が示されています。
いくつか例を示してみましょう。
・不具合の20%の原因で故障の80%を占める。
・全商品の上位20%で売上げの80%を占める。
・上位20%の顧客が、売上げの80%を占める。
・従業員の20%が、売上の80%を生み出す。
・投入時間の20%で、成果の80%生まれる。
などです。
こうした数字の割合から「ニハチの法則」とか「20:80の法則」と呼ばれるのですね。
なお、20対80の割合は、概念です。実際に集計するともっと緩やかだったり急峻なカーブになったりします。
2.活用の例
いくつか事例を見てみましょう。
これは、実際の製造ラインでの工程別の不具合のデータです。
これをパレート図にまとめると、
こんな感じにまとまります。
この例では、測定と作業の2つで71%の不良を占めていることがわかります。
このことから、改善の優先順位が選択できるのは、さきほど書いた通りです。
さて、ここからもう一歩、応用を進めます。
上のグラフは現状の姿なので、これに目指すゴールを示して1枚にまとめます。
この例では、工程不良を半分(50%)に減らす目標作りが出来たことになります。
こうすると、何をどのくらい改善すればいいのかが定量的に分かるようになり、次の計画の立て方も検討しやすくなります。
こうした例は、個人の改善の目標作りにも役立ちます。
これは、事務作業をしているある人が、自分の手作業をどう減らすかを目標化するのに利用した例です。
作業Aや作業B,Cを集中して改善することになりますね。
さて、これは私が実際に品質改善をしていたころのパレート図をお見せします。
もう30年以上前の仕事なのでお見せしても大丈夫でしょう。最近の事例をお見せしたいのですが…退社時に秘密保持契約を結んでいるのでお見せできません。
グラフ化したりチャート化したら分かった面白い事例が沢山あるんですよ( ^o^)
この資料は、ある改善活動が終了して、その成果報告をする時にパレート図を応用したものです。
このプロジェクトでは、検査の手戻りを改善しました。
半導体製品は仕様通りに出来ているかを、自動検査機で全数検査しています。
そして、製品の塊ごとに、検査がきちんと出来ているか抜き取りで検査をします。
すると、全数検査しているのになぜか不良が出ることがあります。そうすると、その製品の塊は不合格となって、再度全数検査に戻されることになります。
そうした工程戻りをなくそうと不良を観察し、その不具合を改善した事例です。
パレートの法則を利用して収集したデータからパレート図にまとめることで結果を分かりやすくしたり、改善点を見つけやすくなることが伝わっていれば幸いです。
3.おまけ
世の中は、いろいろなことがパレートの法則に沿っているというお話を1つだけします。会社で働く人を3分類すると、
ごらんのように、
よく働く社員 20%
普通に働く社員 60%
働かない社員 20%
になるんだそうです。
働きアリの法則とも言われます。
これは、自然界が正規分布に従うかららしいです。
余談でした。
いろいろなデータをこのように加工してみると分かることも多いようです。
4.まとめ
パレートの法則を活用することで、問題の優先順位や着手の効率化が図れます。
問題の定義に沿って、現状とあるべき姿をパレート図で描いてみると目標や取り組みが見える化されます。
問題解決に、ぜひ活用してみてください。
なお、パレート図をエクセルで簡単に書く方法は以下の記事で紹介しています。
ご参考まで
最後まで読んでいただきありがとうございました。
終わり