視点・視野・視座の違い
オヤツのイチゴ大福から人によって視点はずいぶん違う事実に出会いました。今日は、そこから「視点・視野・視座」について復習してみたいと思います。ご興味が湧いたら、おつきあいください。
この記事は2020年07月09日の記事を書き直したものです。
1.見る人によって視点が違う
先日、娘が有名店のイチゴ大福をお土産に買ってきてくれました。こちらがそのイチゴ大福です。
大きなイチゴが大福の上に乗って美味しそうです。
ちょうどおやつ時だったので、さっそく食べることになりました。
その時、家内は「このイチゴ大きい!どこのイチゴかしら」と言いました。
その横で、私が「この大福の餡は、粒あん?、こし餡?」とつぶやいていました。
聞いていた娘が、「同じ大福を見ても視点が全然違うんだね。」と感心していたのです(^_^;)
そう、家内と私の視点はいつもこんな感じでかなり違います。その視点の違いからコミュニケーションのすれ違いもしばしばあります。そこから言い争いに発展すると中々大変です。
ほぼ私が引き下がることになりますが‥‥(^◇^;)
おっと、話しが逸れそうです(^_^;)
コミュニケーションのすれ違いについては、またの機会に書いてみますが、今日は、その気づきから「視点・視野・視座」について改めて確認してみることにしました。
視点・視野・視座とは
まず、視点・視野・視座の意味を確認しましょう。
視点とは、
モノを見る方向の先にある点です。
さきほどのイチゴ大福なら、イチゴや大福の本体、あるいは乗せた皿が視点になりそう。さらには、見えない価格やコストも視点ですね。
点なので、無数に存在します。
視野とは、
モノを見る範囲や広がりを言います。
対象を、角度のある線や面で見ることになります。
問題発見では、「不具合の状況を広い視野で見てみよう」などと言いますね。
たとえば、QCDの観点で見ることは、商品を、品質とコストと納期の3つの広がりを持った面で見ることになります。
ある位置から複数の点を同時に観察している状態ともいえます。
視座とは、
あるモノを見る立場(視点)を変えてみることを言います。
たとえば、上司が担当設計者に、
「経営者になったつもりで商品を考えろ」と言う場合は、経営者の視座で見ることを求めています。「よく視点を変えてみよう」と言う言い方がされますが、立場を変えてみる場合は、視座を対象にした見方といえます。
それぞれを、もう少し詳しく見ていきましょう。
2.視点
さきほど視点は、「モノを見る視線の方向」だと言いました。
たとえば、図の右にある円柱を商品とします。真上から見ると、「丸い円」として見えます。一方、横から見ると、「切りかけのある四角形」に見えます。このように、視点はどの視線の方向で観るかで、見える様子が変わってきます。
そうした状況が、商品だと、設計者の視点では見えない不具合が、お客様の視点だと見えてしまうことになります。
たとえば、設計者が上の図のような位置から対象の商品を、見ても作った商品にある切り込みが見えません。
この切り込みが商品の不具合とすると、お客様の視点からは、その切り込みがはっきり見えることになります。
そのため、
商品開発では、こうしたお客様の視点に近づけるアプローチが推奨されることになります。
ポイントは、次の3つです。
①お客様情報の収集
②お客様の優先度の把握(推測)
③自分の考えとのギャップを示す
このように視点を変えることで、いままで見えなかったことが見えたりします。
また、視点の切り口を得るには、フレームワークという思考の枠組みを使ってみると良いと言われます。
製造などでよく使う4Mというフレームワークは、有効な視点を与えてくれます。4Mは、
人(Man)
機械(Machine)
材料(Material)
方法(Method)
の略です。
たとえば、4Mのフレームワークを使って、「ブログのPVが増えない」ことを考える時に、どんな視点が必要かを整理してみました。
私のブログのPVが増えない理由が何となくわかります(;´д`)
視点を増やすもう一つの方法に、MECEも活用できます。MECE(ミッシーと読みます)とは、考察対象をモレなく、ダブりなく分類する手法です。
「Mutually Exclusive、Collectively Exhaustiveの略(相互背反、集合網羅)」の略
MECEを利用すると、上位の課題を細かく論理的に展開していくことが可能です。視点が論理的なので、問題把握のモレが少なくなるという利点があります。
こうした視点を身につけるには、もちろんその対象の知識や経験も必要です。
例えば、経営計数の知識が無いと、経営者や財務の視点は持てませんし、商品開発ではマーケティングの知識やその分野の専門の知識が必要です。
色々なフレームワークを身につけ、知識を広めることで多くの視点が持てるようになりたいものです。
スポンサーリンク
3.視野
視野とは、「モノを見る範囲・広がり」のことを言います。
対象物を、角度を持って線や面で見ることでした。
同じ位置から複数の点を同時に観察している状態です。また、色々な角度から多面的な見方をすることとも言えます。
優れた問題解決者は、視野の広い人が多いですね。
視野は、多くの視点の集合と言えます。
たとえば、もの作りをする設計者が視野を広く持つ場合は、
単に性能(Qの一部)だけでなく、
つかいやすさ、エコロジー、環境保全などの視野を用いると、よりよい設計が出来ます。
企画を担当する人などは、ビジネス環境を多くの視野から観察することになります。たとえば、こうした図はよくご覧になっていることでしょう。
4.視座
視座とは、「モノを見る位置を変えてみること」を言います。
別に言い方をするなら、「視点を変える」とも言えます。
人は、多くの立場や役割を背負っています。その時、その場所、状況で最適な立場・役割で考える必要があります。
作り手の立場の人が、上司に
「経営者の立場でも考えてみなさい」と言われることがよくありますね。
これは、作り手の立場(視座)から
経営者の立場(視座)
に立つことを言います。
視点・視野・視座はロジックツリーで
視点・視野・視座をご説明してきました。
その3つを同時に俯瞰する方法として、ロジックツリーが活用できます。
例をご覧ください。
商品・サービスの利益構造から説明すると、こんなロジックツリーになります。
四角い項目一つひとつが視点になります。
また利益を、売上げやコストの両面から観察することは、視野を広くしすることです。
さらに、右側の詳細な視点は、担当者の視座ですが、上位者の視座は、それらを統合した売上やコストなどを含みます。
経営者になると、それが利益という視座を持って観察しているとも表現できます。
こうしてみると、点である視点から、面としての広がりの視野を持ち、位置関係を変化させることで、立体的な視座を得ることができるともいえます。
5.まとめ
・視点とは、
商品やサービスなどを見る位置を言う
フレームワークや知識を学ぶと視点を増やせる
・視野とは、
モノを見る範囲や広がりを言う
対象を角度のある面で見ること
MECEを使うと視野を広くし複眼的に見られる
・視座とは、
あるモノを見る位置(視点)を変えてみること
「視点を変えてみる」と同義
色々な立場から考えてみると良い
最後まで読んでいただきありがとうございました。
こんな記事も書いています。
終わり