まねき猫の部屋

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フィットネスクラブの市場動向を書いてみる

市場分析

0-表紙-フィットネスクラブの市場変化を調べる

フィットネスクラブの利用者が減っています。コロナ禍で感染を避ける人が利用を控えたためです。そして、その利用者減のスキマをくぐって、アメリカ企業がフィットネスクラブの枠組みを変えようとしています。そんな様子を書いてみようと思います。

お時間があったらお付き合いください。

 

目次

 

 

1.フィットネスクラブの利用者が減っている

皆さんは、フィットネスクラブを利用していますか?

私はジムの会員ですが、最近は猫様の看病もあって行けていません(^_^;) 

悔しいから、フィットネスクラブの利用者の推移を調べてみました。こうした時に、参考にさせていただいているのが、経済産業省のデーターベースです。色々な情報があって、本当に便利です( ^o^)

さて、2000年から2021年のフィットネスクラブの利用者推移をグラフにしてみました。

フィットネスクラブ利用者の推移

参照URL: 長期データ|特定サービス産業動態統計調査|経済産業省

 

フィットネスクラブの利用者は、データーが確認出来た2000年の115百万人から、コロナ禍前の2019年には254百万人と約2.2倍に増えていました。

20~89歳の人口が約100百万人なので、一人年間2.5回利用している計算になります。もちろん、毎日のように行っている方もおられるでしょうが、利用していない人が大半なので平均するとこんな回数となります。

 

ところが、コロナ禍により直後の2020年には171百万人と33%の激減となりました。

2021年になっても、198百万人と回復傾向は見えますが、コロナ前までは戻っていない状況です。 

もう少し激減ぶりを、フィットネスクラブの月別の売上推移から見てみましょう。

こちらは、コロナウィルスが拡大する前の2019年1月から、2022年8月までのフィットネスクラブの月別売上推移をグラフにしてみました。横線で、緊急事態宣言や蔓延防止法が出された時期も示しています。

フィットネスクラブの2019年1月から2022年8月までの月別売上推移

 

コロナウィルス感染初期の緊急事態宣言は、ものすごいインパクトがあったのですね。

2020年5月の売り上げが激減しています。

コロナ禍の緊急事態宣言で、フィットネスクラブそのものが休業した所も多いのでしょう。また、その後の発令の度に小さく減少しているのが見られます。基礎疾患を持つ家庭の人や、仕事柄感染を控えたい人は、自分が元気でもフィットネスクラブに行けないことがあるようです。

 

今度はフィットネスクラブの一人当たり利用単価から見てみます。

右肩さがりですね。

 

1-3-フィットネス利用の一人1回当たりの単価の推移

利用者は右上がりの増加傾向だったのに、単価は、2000年当時1700円だったものが、2021年には1200円近くまで下がっています。

実に30%の減少です。

利用者が増えると単価も下がるという経済原理が働いていることがよく分かります。

次は、その単価減少に関係するフィットネスクラブの変化についてみていきます。

 

2.24時間ジムの台頭

フィットネスクラブは、プールやスタジオサービスも提供する総合ジムと、筋トレやヨガなどに特化した専門ジム、さらに、セルフ型の24時間ジムに大別できます。

この他に公共施設を使う利用者もいます。

これらを、サービス提供の仕方と、利用施設の違いから、4つに分けてみました。

フィットネスクラブのタイプ別4類型

総合ジム(右上)

プールやスタジオでのエアロビクスなどが出来、トレーニングマシンも沢山あって、多くの人が一度に各種機器を使用できる施設なのが特徴です。加えて、サウナや大きなお風呂、リクライゼーションマシン付きの休憩スペース等もあったりします。こうした総合ジムは、維持費も大変なため利用単価も高めです。大手で言うと、「コナミスポーツ」「セントラルスポーツ」「ルネサンス」などになります。

 

専門ジム(左上)

利用者の目的や生活スタイルに合わせて生まれたのが専門性の高いフィットネスクラブです。「健康目的」「ボディメイク」「ダイエット」「ストレッチ専門」「筋トレ」など、目的を特化したフィットネスクラブになります。たとえば、健康を継続的に行えるよう女性専門の30分間限定フィットネスクラブが「カーブス」です。また、ホットヨガ専門スタジオの「LAVA」や「ダイエット」効果をアピールしている「RIZAP」はみなさんもよくご存じかと思います。ちなみに2021年のフィットネスクラブで1番売上が多いのは「RIZAP」です。「RIZAP」は、2012年に事業を始めています。利用単価が高いので上のグラフの単価がその頃一時的に増加している原因かもしれません。

 

24時間ジム(左下)

利用者が減少する中で、唯一利用者と出店を増加させているのが24時間ジムです。名前の通り、24時間いつでも利用できる筋トレに特化してマシンの利用を提供しているジムです。比較的小規模のスペースで開業できるので利用単価も安めに設定しています。こうした24時間ジムがいま日本中に沢山生まれています。

たとえば、米国に本社を置く「エニタイムフィットネス」を運営する日本法人 株式会社Fast Fitness Japan は、2010年から出店を始め、2022年3月に全国で1000店舗を達成し、日本で最も店舗数の多いスポーツジムとなりました。あなたの近くにもあると思います。「エニタイム」でググってみてください。出てくると思います。

 

www.anytimefitness.co.jp

 

そして、ついに最大大手の「RIZAP」が24時間ジムに進出してきました。

その名も「Chokozap」です。単価設定も月会費が2,980円と思い切った価格設定になっています。キャッチフレーズが、「コンビニジム」だそうです。着替えが不要で、そのまま入館できます。体重計やスマートウォッチも貸与してくるようです。そして、ジムにはセルフエステの出来るマシンも常備しているそうです。さすが「RIZAP」思い切った戦略で仕掛けてきました。

chocozap.jp

 

公共施設(右下)

皆さんの市町村にもトレーニングルームを併設した体育館や、焼却場の廃熱を利用したプール、公民館などで行うヨガやエアロ教室などが運動出来る場があると思います。利用料金が数百円と安いことが特徴です。お年寄りの方などが多く参加されていますね。私も初期の頃に体育館に併設されたジムに通っていた時期がありました。ただ、やりだすとこうした施設では物足りなくなって民間のジムに通うようになっていました。

 

さて、24時間ジムが増加している背景を考察してみましょう。
3つの要因が考えられます。

・24時間ジムに適した物件の空きテナントの増加
 コロナの影響で飲食店・コンビニなどの閉店・退去が相次いでいます。特に駅周辺で24時間ジムに適した80〜90坪の物件が24時間ジムに向いています。例えば、閉店したコンビニの店舗を、内装だけ変えてマシンをいれてジムを開設するケースなどです。

可処分所得が増えない
 日本人の可処分所得が増えでいないことをニュースでも見たりしますね。そのため、運動したくても総合フィットネスクラブのような高い会費の場所ではなく、安い利用単価のジムを好むようになったことが上げられます。

・ライフスタイルの多様化
 日本人の生活スタイルが多様化し、ジムも夜間でも利用したいというニーズが高まっています。深夜でも利用できる点が受け入れられてきたことが上げられます。この点はかつてのコンビニの成長期を彷彿させます。「Chokozap」の「コンビニジム」という発想は、ライフサイクル理論を応用した戦略的な感じがします。

 

 

 

 

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3.顧客ニーズの動向

現在の日本におけるフィットネス顧客を分けると、以下の5階層になると想定されます。フィットネス利用者の興味・関心度で分けてみました。

フィットネス顧客の階層

最上位は、現会員としてフィットネスクラブに通っている人々です。データからその割合は、人口20~89歳の2.5%と推定されます。
経済産業省のデータからまねき猫が推定した値です)

2つめの層は、会員ではないが、フィットネスクラブを利用したことのある人です。

たとえば、会社の福利厚生の一環でコナミセントラルスポーツなどの施設を低価格で利用できる人や、何かのチケットが手に入って利用してみた人たちです。年間の利用回数は少ないが、利用者数としては会員より多いと推定されます。こちらも約4.9%いると推定しました。(まねき猫推定)

ここまでで、2.5+4.9%=7.4%の人が年間でフィットネスクラブを利用したことがある人たちとなります。

そして、その下に、

興味はあるけれど、利用したことが無い層

興味なしの層

関心も示さない層

が残りの92.6%を占めます。

この中で、興味はあるけれど、利用したことが無い層について考察してみます。

スポーツ庁の令和3年度「スポーツの実施状況等に関する」世論調査」によると、今後スポーツを初めてみたいと思う人が増えており、その始めたい運動やスポーツの上位4種類に「トレーニング」が15.6%と高い割合で入っています。

 

 

運動やスポーツをしたい上位4種目

URL: 令和3年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」について(速報値):スポーツ庁

 

また、J-Net21の市場調査データから、フィットネスクラブを将来利用した意向を調査したアンケート結果では、今後「ぜひ利用したい」と「どちらかといえば利用したい」を合わせた積極的利用意向の比率は、全体で30%、男性26%、女性34%であり、特に女性の利用意向の方が高い傾向にあります。年代別・性別にみると、男女ともに、20代がもっとも意欲が高く、30代、40代も積極的・消極的利用意向が高いという傾向がみられます。

 

フィットネスクラブへの関心度-市場調査

URL: フィットネスクラブ | 市場調査データ | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

 

これらのデータから、「興味はあるけれど、利用したことが無い層」はかなりの高率になりそうです。

フィットネスクラブへの興味関心の割合も正規分布に当てはまるかもしれません。

この割合からすると、「興味はあるけれど、利用したことが無い層」は約34%ということになりますね。上のアンケートデータ30%と近いです(^_^;)

 

フィットネスクラブへの興味関心の割合も正規分布?

 

 

4.おわりに

スポーツジムに行けないので、こんな分析とデータ遊びをしてみました。

猫様が元気になって、ジムに行ける日を首を長くして待ちたいと思います。

 

 

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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終わり