問題とは、「あるべき姿」と「現状」のギャップ(差)のことを言います。
(この考え方が、問題解決に関する書籍などで主流となっています)
もちろん、これ以外の定義で説明しているものもありますが、ここでは、この考え方に沿って、職場の問題量を推測することについて考えてみます。
職場の問題を、
①「あるべき姿」も「現状」もはっきりして顕在化している問題
②それ以外の「あるべき姿」や「現状」の一部あるいは全部が暗黙化している問題
の2つに分けるとします。
①の顕在化している問題は数えることが出来ますが、②の暗黙化している問題の数をどのように推測し、全体の問題の数をどう予測するかが、今日のテーです。
私なりの主張を先に示します。
「①の顕在化している問題数のおよそ10倍の暗黙化した問題がある」
たとえば、①の顕在化している問題が5つなら、②の暗黙化している問題がおよそ50個あって、合計で55個くらいの問題があるだろうと推測します。
「そんなことは、検討してみないとわからないだろう」と言われそうです。
たしかに、その通りで実際に要因を分解するなどの作業をしてみないといくつあるかはわかりません。
(さらに言えば、暗黙化しているので分析してもすべて見つからない可能性も高い)
とはいえ、問題解決を進める上で、どのくらい問題がありそうか当たりをつけておくことは有限な作業時間を利用する上で大切なことです。
さきほど、私の主張と書きましたが、実はこの考えの参考にしているのは「ハインリッヒの法則」です。とても有名な法則なのでご存じの方も多いと思います。
改めて「ハインリッヒの法則」を簡単にご説明します。
この法則は、アメリカのハインリッヒ氏が労働災害を5000件以上を調べた所、1件の重大事故が発生する背景には、軽微な災害が29件発生しており、さらにケガには至らないものの「ヒヤリ」「ハッと」した出来事が300件あることを見いだし、経験則として発表したものです。「1:29:300の法則」ともいわれます。
この経験則は、その後いろいろな事象にも当てはまることが事例として紹介されています。ぜひ、Webなどで検索してみてください。事例が沢山出てきます。
さて、この法則から、顕在化している災害は1+29=30件で、問題にはいたらなかった潜在化(暗黙化)している出来事が300件あることになります。この30件と300件の比から、潜在化(暗黙化)している問題は、顕在化している問題の10倍はありそうだとしています。
氷山に例えると、海面から上の見えているところが顕在化している問題でおよそ1割という具合です。
その海面下には9割の見えていない潜在化(暗黙化)した問題が隠れているということになります。
私が会社で問題解決のファシリテーターを頼まれて、問題解決の初期段階で、リスク抽出や問題の洗い出しをすると、あらかじめ出してもらった数の10倍以上の問題候補が発見されることを何度となく経験しました。出てきた問題の数が、あらかじめ顕在化している問題数の10倍を超えていれば、洗い出し作業としては、うまくいったと判断することにしています。(不足していたら、再度振り返る作業を行うと決める)
たとえば、KPT法などの振り返り手法を用いた場合では、参加者10人くらいで一回議論すると70から100程度出てきます。(重複したものは除いて)出席した参加者はその数に驚きますが喜んでくれだいたい一回で振り返りは終了できました。
ハインリッヒの法則が、社会の営みがもつ不思議な数字のマジック(不変数)と考えている方は多いようです。いくつもの書籍で同様の考え方らしいものに当たります。
先人の知恵とこれまでの経験を踏まえ、私なりにまとめると、先の主張のようになりました。
主張「①の顕在化している問題数のおよそ10倍の暗黙化した問題がある」
何かの参考にしていただけると幸いです。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。