育成
ネットの記事に入社1ヶ月で辞めた新人君の話しがいくつもありました。また、部下や後輩の指導を任されたけれど、どう対応したら良いかお悩みの方が多いようです。人は、無くて七癖と言われるように、教える側も、学ぶ側も、学び方に癖があります。お箸を使う利き手があるように、学び方にも人それぞれの癖から来る学習スタイルがあります。それを理解した上で、学ぶ効果や効率を高めてみましょう。
良かったらお付き合いください。
作成:2024年5月8日
ご注意
こうした人の様子を分けることに、違和感がある方は、ここでご自分に合った記事に移動してください。
メンバーの学習スタイルを知る
教える側も、学ぶ側も、自分が得意とする学び方があります。それを活かすことで学ぶ効果や効率を高めてみましょう。
教えるあなたの学習スタイルを、学ぶ側に適用出来きて効果があるのは、同じ学習スタイルの時だけです。率にすると25%。なかなかヒットしません。
自分の学習スタイルを押し付けた、こんな例があります。
熱血営業マンの行動派タイプの先輩が、
思慮派タイプの新人君を指導し失敗した例です。
熱血営業マンの先輩は、訪問先でもっと熱く話せと新人君を指導します。
しかし、タイプが正反対の思慮派タイプの新人君には出来るはずがありません。
先輩の想いが高まるほどに、そのメンバーは指導に耐えきれず会社を辞めてしまったそうです。
指導では、教える側は、受け手(メンバー)の状況に応じて4つの指導スタイルを使い分けることが必要です。
では、4つの学習スタイルを見てみましょう。
学習スタイルは、4つに分けられます。
自信派タイプ:自立的で理論的
感覚派タイプ:自立的だが、イメージ的
思慮派タイプ:集団的で、理論的
経験派タイプ:集団的だが、イメージ的
縦軸の上、論理的とは、まずは頭で考えることが先行する人です。学ぶ上でマニュアルや取説をまず確認したい人。
下の、イメージ的とは、学ぶ時に、まずは行動が先行する人です。新しいものは、さわったり動かしてみる人です。
横の軸の左、自立的とは、一人でやることが好きな人です。
一方、横軸の右、集団的な人は、みんなでワイワイやったり、誰かと一緒に行動することを好む人です。
では、学習スタイルをシートから読み取ってみましょう。
指導側(あなた)の学習スタイルを判定する方法は、チェック式に行います。例をご覧ください。
自分の行動でよく出ている項目にレ点をつけます。
この例の方は、感覚派タイプになるようです。
もちろん、人はそんなに4つのタイプで分けられるほど簡単ではありません。
相手や場面の違いでも出てくるタイプは変化し、それ以外のタイプも想定されます。実践していくうえでは、自分の行動傾向の多いパターンを見つけておきましょう。
次に、メンバーの学習スタイルを観察した例です。
こちらは、タイプの判定が微妙ですね。
思慮派タイプが、レ点が一番多いですが、経験派タイプの行動特性も出ています。
ここでは、一番多い思慮派タイプと判定しておきます。やりながら、違うと思ったら変えても構いません。初見に、あまりこだわらなくても大丈夫です。
タイプが決まったら、指導の注意点を整理しておきます。
例えば、その例がこちら
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3つの視点から「やる気」の元も探っておく
メンバーがどんな点に「やる気」を感じるかを
知っておくこともとても重要です。
その方法に3つの視点があります。
3つの視点とは、
「やりたいこと(Will)」
「やれること(Can)」
「やるべきこと(Must)」
の3つの円の様子からメンバーのやる気の源を探していく手法です。
人材育成における内発的動機付けに活用されています。
この手法は、マネジメントで有名なドラッカーさんが考えた方法なので有名ですね。
やりたいこと(Will)
メンバーが実現したい夢や、やりたい仕事、人生における価値観などです。
多くは、メンバーの将来の姿を描くことになります。
「こんな製品を開発したい」
「いずれは独立して起業する」
「マネジメントに早く昇進して、もっと大きい仕事をする」
「早く○○の技術を身につけたい」
などなど……
人それぞれの「やりたいこと」があるはずです。
とはいえ、やりたいことが見えていないという状況もよくあります。
特に、
入社直後に、「こんなはずではなかった…」と仕事に悩んだり
「もう何年も同じ仕事をしているので、これでいいんじゃない?」
と思っていることもあります。
様子もよく観察してみましょう。
やれること(Can)
メンバーの今の能力や経験を振り返ります。
「入社3年で、設計のサブシステムを一人で完成できた」
「フラワーアレンジメントでお客様に褒められた」
「営業で大きな商談をまとめられた」
「こつこつ貯金して1000万円の貯蓄が出来た」
「5つに研究会に5年参加し続けて、人脈が出来た」
など成果から振り返ることもありますし、
「接客が苦手」
「仲間とのコミュニケーションはちょっと…」
といった苦手の部分も把握することになります。
やれることを振り返っていくうちに「やりたいこと」が見えてくることもあります。
やるべきこと(Must)
OJTの受け手が今行っている仕事やこれから行う仕事の内容などを書きます。
場合によっては、制約条件ともなります。
シート上はこんな感じです。
3つの視点の関係から、メンバーの状態について想定します。3つ視点の円の位置関係から、次の3つの状態に分けられます。
パターン1
やりたいことが見えていない
パターン2
やりたいことをやれているが、能力や知識不足
パターン3
やりたいことがあって能力もあるが、事情でやれていない状態
メンバーの意識と行動を変え「やる気」を高めるヒントがこの外れた円にあります。
メンバーの内発的動機づけにつながるポイントを3つの視点から発見してみましょう。
メンバーの成熟度を知る
最後は、メンバーの成熟度を確認し、今後の指導の進め方を考えてみます。
ここまでの分析で、あなたが指導を引き受けることになったメンバーの輪郭がなんとなく見えてきたと思いませんか?
相手を分かった上で、自分の立ち位置を知って、OJTの実践に活かしていきましょう。
彼を知り己を知れば百戦殆うからず
です。
注:孫子の言葉
彼(敵)についても己(味方)についても情勢をしっかり把握していれば、何度戦っても敗れることはない。ことを伝える言葉
メンバーの成熟度を知る
メンバーの仕事の力量を、成熟度という概念で分ける方法があります。
成熟度は、P.ハーシーとK.H.ブランチャードが提唱したSL理論で使われた言葉です。
普段の仕事でも、なんとなく判定していますね。
そうした判定をSL理論を使って、もう少し具体的に行ってみます。
SL理論における成熟度の考え方を以下の通りです。
M1からM4までの4つに分かれます。
M1:
知識・経験が不足していて未成熟なレベル
M2:
仕事の経験値が高まり習熟度が高まり出した意欲も高まり出した段階
M3:
習熟度も高く、能力もあるが意欲が低く仕事への不安も抱えている状態
M4:
仕事の習熟度も高く、意欲も自信も高い状態
貴方が、M4の人を担当することになったらラッキーです。
しかし、OJTを受ける人は、多くが新卒か異動者なのでM1の人。
よくて、M2レベルでしょう。
そのつもりで、OJTを進めていくことになります。
担当したメンバーの成熟度をチェックシートでまとめてみます。
ここまで行った学習スタイルや3つの視点で書いたことを参考にします。
まずは、左の成熟度をM1からM4で判定します。
その上で、指導の進め方を、「能力・知識」と「経験・やる気」から書いてみます。
書き込んだ例がこちらです。
今回の事例の新人君Aさんは、成熟度はM1としました。
「能力・知識」の指導は、思慮派タイプを想定した記述となっています。
「経験・やる気」の部分は、3つの視点を参考にしてまとめています。
なお、
SL理論をベースにしたメンバーの成熟度に応じたOJT指導の進め方は以下の通りです。
書き方で迷った時に参考にしてください。
成熟度に応じた指導の仕方
M1:
指導は指示的な進め方を中心に行う
M2:
指示と支援の両面から働きかけるのが有効
M3:
指示は弱めで支援をしっかり行うのが有効
M3:
指示はせず本人に任せ導く程度の指導が有効
M1やM2のメンバーを放置すると、会社を辞めてしまう可能性が高くなります。
特に、新卒の離職率は、3年で30%というデータがあります。
その原因の多くは、仕事における人間関係が良くないことにあると言われています。
気をつけたいものです。
参照:
新卒の離職率|3年で3割辞めるのは、我慢が足りないせい?|転職Hacks
まとめ
メンバーを指導する上でのポイントをチェックシートを作成しながら、理解を深めていただきました。
作成のステップは3つになります。
ステップ1
:あなたとメンバーの学習スタイルを確認する
ステップ2
:3つの視点からメンバーのやる気や能力を把握する
ステップ3
:メンバーの成熟度を判定し、指導の進め方を考える
人を指導することは、教える側の成長にも役立ちます。
この機会を、貴方のさらなる実力向上につなげていきましょう。
期待しております。
最後に、白紙のチェックシートをつけておきます。
利用方法は、このシートにマーカーを乗せて右クリックでコピー選択します。
あとは、パワポの画面などに貼り付けてください。
この記事を参考にしながら、文字や図を入れれば完成します。
チェックーシート
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
こうした記事もOJTに役立ちます。
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終わり