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社会人や大学生のリポート添削講師をしているまねき猫と言います。
添削しているリポートには、自分の考えを述べる論述題があります。
出題に沿って受講者や職場の現状を書いたり、テーマに関する自分なりの考察を書く問いです。
書かれたリポートを読みながら、こうした視点でも書いてみるといいのに…とか
こんな視野や視座で書くと、論述に広がりや深さが出せるのに思うことがあります。
そして、それは人と人とのコミュニケーションでも同じです。
会話の中で相手の話を受信し、その人の気持ちや考えを理解する時や、適切な質問をしてより深い考えを引き出す時にも、「視点・視野・視座」の使いようで上手いくように感じます。
私自身は、ビジネスではそこそこ使えているかなと思いますが、
コミュニケーションではちょっと不安です。
そこで「視点・視野・視座」について、自分の考えを整理し理解を深めてみたいと思います。
記事として書いてみました。
興味があったらおつきあいください。
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お忙しい方は一部だけでもご覧ください。
お忙しい方は、「終わりへ」を「プチ」とすると文末に飛びます。
1.「視点・視野・視座」とは
始めに私なりの理解を、まず商品やサービスを見る観点から図解してみました。
ご覧ください。
視点とは、
商品やサービスなどを見る位置を言います。
点なので、無数にあります。
商品なら、
作り手の視点、お客様の視点、経営者の視点などなど色々な視点が生まれます。
この視点は、持つ上でその知識や経験が無いと持てないと言われます。
視野とは、
モノを見る範囲や広がりを言います。
対象を、角度のある線や面で見ることになります。
問題解決の時などに、「不具合の状況を広い視野で見てみよう」などと言います。
同一の視点から複数の点を同時に観察している状態になります。
たとえば、QCDの観点で見ることは、
商品を、品質とコストと納期の3つの視点 → 広い視野で見ていることになります。
優れた問題解決者は、視野の広い人が多いですね。
視座とは、
あるモノを見る位置(視点)を変えてみることを言います。
「よく視点を変えてみよう」と言う言い方がされます。
それも、視座を対象にした見方です。
また、
「1つ上の視点で見てみたら」とアドバイスされたら、視座を指しています。
たとえば、上司が担当設計者に、
「社長になったつもりで商品を考えろ」と言う場合は、社長の視座で見てみるとアドバイスされていることになります。
お忙しい方へ: 終わりへ
2.視点について
さきほど、視点は、「モノを見る位置」だと言いました。
たとえば、図のような円柱の商品があったとします。
真上から見た人は、「丸い円」として見えますが、
横から見た人は、「切りかけのある四角形」に見えます。
上の図のような位置から
対象の商品を、設計する立場の人の視点で見ていることを例にしてみます。
設計者の視点からは、作った商品にある切り込みがあることが見えません。
しかし、お客様の視点に立つと、その切り込みが見えてきます。
こうしたお客様の視点に近づけるアプローチとしては、以下の3つが有効だそうです。
①お客様情報の収集
②お客様の優先度の把握(推測)
③自分の考えとのギャップを示す
このように視点を変えることで、いままで見えないことが見えたりします。
これを、リポートの論述にも活かします。
たとえば、自分の仕事の現状を書く時は、「やりたいこと」だけでなく、
「やるべきこと」、つまり今の実際の仕事の立場や役割を書いたり、
自身の能力の現状を「やれること」こととしても書いてみると良いでしょう。
これは、内発的動機づけの3つの視点を活用しています。
また、あるテーマでリポートを書くときも、視点を多くすると論述に深さが出せます。
たとえば、ある経営スタイルの特徴を書く場合には、その経営の良い点だけでなく、リスクや限界も示すと深みのある論述になっていきます。
学ぶことは、こうした視点を増やす方法の1つになります。
では、コミュニケーションにおける視点はどうでしょうか?
考えてみました。
人の会話は、言葉と言葉以外の非言語情報から成り立っています。
言葉とは、相手から発信された記号です。
たとえば、
「りんご園で赤いリンゴがたくさん成っていて…」
と相手が言ったとします。
受け取る言葉に、あなたの視点が反映されます。
しかし、理解している程度にしかイメージは具体化されません。
ぼんやりしたリンゴしかイメージできないかもしれません。
あなたの視点の持ち方や理解度がコミュニケーションの質を決めています。
最近 「レジリエンス」という言葉がよく使われますが、ご存じですか?
知らない言葉は、イメージ出来ません。
注:レジリエンス」(resilience)は、一般的に「復元力、回復力、弾力」などと訳される言葉で、最近は「困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力」としても用いられます。
学ぶことで、視点を増やせます。
さて、
コミュニケーションにおいては、
非言語の情報にも視点の置き方が大切だと言われます。
たとえば、目の表情に視点を持っていくことです。
目は多くの非言語メッセージを送っています。
「目は口ほどにものを言う」ということわざもあるくらいです。
非言語情報の理解には、こんな記事も書いています。
参考にしてみてください。
忙しい方へ: 終わりへ
3.視野について
視野とは、「モノを見る範囲・広がり」のことを言います。
対象物を、角度を持って線や面で見ます。
視野は、多くの視点の集合と言ってもいいでしょう。
たとえば、設計者が視野を広く持つと言うときは、
単に性能(Qの一部)だけでなく、
QCD(品質、コスト、納期)の視点から見ると、複眼的で視野の広い設計が出来ます。
お客様の視野でモノを見ることもできますね。
こうした見方をする時に有効なのがMECEです。
MECE(ミッシーと読みます)とは、
考察対象をモレなく、ダブりなく分類する手法です。
「Mutually Exclusive、Collectively Exhaustiveの略(相互背反、集合網羅)」
たとえば、
利益をMECEで展開してロジックツリーにすると、広い視野で考察ができます。
こうして見ると、視野とは多くの視点の集合ということが分かります。
コミュニメーションでも視野を広くしておくことが重要なのは言うまでもありません。
そのために有効なのは、心理学の知識です。
心理学は、「人の心を科学的に解き明かそうとする学問」です。
とはいえ、私もまだまだ研究中です。
こんな本が読みやすく役に立ちそうです。
マンガでわかる心理学入門 (池田書店のマンガでわかるシリーズ)
- 作者: 渋谷昌三,にしかわたく
- 出版社/メーカー: 池田書店
- 発売日: 2014/02/15
- メディア: 単行本
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さきほどの視点で、目の動きからの観察を説明しました。
目に加えて、手や足のしぐさからも観察していくと視野が広がりますね。
しぐさについては、詳細は以下の記事を参考にしていただけると幸いです。
忙しい方へ: 終わりへ
4.視座について
視座とは、「モノを見る位置を変えてみること」を言います。
別に言い方をするなら、「視点を変える」に置き換えることができます。
人が生きていく上では、多くの立場や役割を背負っています。
その時、その場所、状況で最適な立場・役割を考える必要があります。
つまり、立場・役割は、固定的でありながら、変動的な側面も持っています。
作り手の立場の人が、
「経営者の立場でも考えてみなさい」と言われることがあります。
これは、作り手の視座から 経営者の視座に立つことを言います。
余談ですが、
「あいつはKYだね」という言い方が流行りました。
「KY=空気を読めない」ですね。
これなどは、視座を持てていない事例の1つでしょう。
KYという言葉には色々な議論もありますが、
その場やいまの現状を正しく理解する力や
その状況に正しく対処する力を身につけることは心がけたいものです。
その上で参考になるのが、先人の知恵です。
先人の知恵を、いくつか紹介した記事も書いているので参考にしてください。
忙しい方へ: 終わりへ
5.まとめ
・視点とは、
商品やサービスなどを見る位置を言う
学ぶことで、視点をたくさん持てる
・視野とは、
モノを見る範囲や広がりを言う
対象を角度のある線や面で見ること
MECEを使うと複眼的に見られる
・視座とは、
あるモノを見る位置(視点)を変えてみること
「視点を変えてみる」と同義
先人の知恵を学ぶことが有効
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終わり