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今日は、人工知能(AI)について、これまで書いたことも含めて自分の整理のために記事にしてみました。
最近の人工知能の進歩は目覚ましいものがあります。
過去のブームの歴史も振り返りながら基礎的な理解を深めてみたいと思います。
興味のある方は、お付き合いください。
1.人工知能(AI)とは
Wikipediaには、人工知能(AI)について以下のように説明されています。
「人工的にコンピュータ上などで人間と同様の知能を実現させようという試み、
或いはそのための一連の基礎技術を指す」
参照: 人工知能 - Wikipedia
しかし、人口知能(以下AI)の定義は、きちんと定義はされていないようです。
利用目的や利用範囲から説明しているもの、
研究のアプローチから述べているケースなどがあります。
整理すると、下図のようになりました。
たとえば、2016年3月にトップ棋士に勝利したAI「アルファ碁」は碁の対戦用に開発された「特化型人工知能」です。
また、AI機能搭載の家電も、センサーを活用した「特化型人工知能」と分類できます。
たとえば、掃除機ルンバは、サブサンプション・アーキテクチャー(並列分散処理)を記号処理型AIで実現した自律的に掃除が行えるロボットです。
これを研究のアプローチからいうと、場所情報を記号処理している記号処理型AIで「弱いAI」ともいえます。
「特化型人工知能」≒「弱いAI」と説明しているケースもあります。
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このように「特化型人工知能」のAIは定義もあいまいで広範囲に説明が及んでいます。
技術レベルの面からみると、チェスや将棋、囲碁を指すルールの明確な領域の「特化型人工知能」はすでに人間の能力を超えているといわれています。
昨年の特化型人工知能(ポナンザ)と佐藤天彦名人の電王戦二番勝負の様子は、下記に書きました。よろしければどうぞ。
一方、「汎用人工知能」はマンガの「ドラえもん」や「鉄腕アトム」のようなロボットに搭載されたAGIや、映画「2010年宇宙の旅」のHAL9000などをイメージする方が多いと思います。
個人的には、手塚治虫先生の漫画「火の鳥」に出てくるロボット ロビタの印象が強いです。
ロビタは、レオナという人の記憶と、OL型アンドロイド チヒロの精神が合体し誕生した不思議なロボットです。
その出生の所以からか、言葉や行動に人臭さと葛藤がにじみ出て、奥が深いです。
「汎用人工知能」は、機械による人間レベルの高度な汎用的な知能を目指しているニュアンスで捉えられていることが多いと思います。
しかし、「汎用性」の定義があいまいな状態で、加えて人間の脳の解明すら始まったばかりの段階では不明な点が多い状況です。
いま時点においては、AGIはまだ研究途上の概念のレベルにあると言えるでしょう。
しかし、近い将来に我々の前に人間の能力を超えたAGIが姿を見せることはほぼ確実だと言われています。
最近、ニューラルネットワークという人間の脳の神経回路を模し機械で再現するAIの進歩が目覚ましです。
これを強いAIと呼びます。
考案されたのは1940年代ですが、XOR問題(4-1参照)などの欠陥が見つかり長く研究は下火になっていました。
その問題に、突破口が見つかりニューラルネットワークのディープラーニング技術は急速に進歩しました。
たとえば、AIによる犯罪捜査にディープラーニング技術を用いて犯罪予測を実現しようとしています。
その様子の記事はこちらになります。
こうした人をAIが超える時点を「シンギュラリティー」(技術的特異点)の発生として「人工知能革命」と呼ばれています。
ある研究者は、それが2045年に来ると予測し「2045年問題」と呼び、人間社会への大きな影響を与える可能性が高いと警鐘を鳴らしています。
2.人工知能(AI)研究の歴史
第1次ブーム(1956年~1960年代)
1956年6月、アメリカのダートマス大学で人口知能の第1人者が集まり「ダートマス会議」が開かれました。
その中で、「論理数理学」を研究しているジョン・マッカーシーが初めて人工知能(AI)という言葉を使ったのが始まりと言われています。
真空管を用いたデジタルコンピュータ(ENIAC)が1946年に動いてからちょうど10年目に当たります。
ちなみに、マッカーシーはAI言語である(Lisp)の開発者でもあります。
この言語Lispは、さきほど紹介された掃除ロボットルンバにも搭載されています。
そして、図形を認識する「パーセプトロン」(4-1参照)と呼ばれる2層ニューラルネットワーク(4-1参照)の開発や、「イライザ」と呼ばれる自然言語処理プログラム開発などでAI誕生の予感からブームとなりました。
しかし、「パーセプトロン」が排他的論理和(XOR)を認識できないことや、「フレーム問題」(4-2参照)と呼ばれる情報処理能力の限界が指摘されると一気にブームが去って行きました。
第2次ブーム(1980年~1990年代)
エキスパートシステムと呼ばれる「知識ベース」と「推論エンジン」からなる特定問題を診断するAIシステムが出ると「患者の病気診断」などへの期待からAI投資ブームとなりました。
日本でも第5世代コンピュータの開発を通産省が10年計画で開発機構に委託したが、570億円もの費用をかけて大きな成果を出せずに終了しています。
これは、ハードは出来たが、肝心のソフト部分が不十分なものだったためです。
AI実現には専門家の知識入力が大変なこと。実用化にはさらにシステムの高度化が必要なことなどの欠点がわかり、またもAI研究は冬の時代に逆戻りした。
第3次ブーム(2010年~現在)
インターネットの普及とデータ通信技術の発展により、テキストデータだけでなく、音声や画像などのビッグデータ(膨大な情報)が集まるようになりました。
また、コンピュータの処理能力の飛躍的な向上とディープラーニングなどの機械学習方法の発達でAIのパターン認識能力が飛躍的に向上しました。
2011年にIBM社の「ワトソン」が米クイズ番組で、人間の歴代チャンピオンに勝利したり、2012年には富士通研究所の「ボンクラーズ」が将棋の永世棋聖を破りました。
後10年は人間は破れないといわれた囲碁まで2016年「アルファ―碁」が勝利し、このところAIが話題となる出来事に事欠きません。
メディアが毎日のようにAIを話題として取り上げてブームが再燃しました。
3.AI時代の到来について
人工知能はいま、2章の歴史にも書いたように、第3次ブームになり50年来のブレークスルーを迎えつつあります。
さまざまな仕事がAIに置き換わる日も遠くはないと思わせる出来事の1つがアルファ碁の勝利だったと思います。
2013年にオックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授は、今後10~20年で47%の仕事が機械に取って代わられると予言しました。
人工知能が担う仕事が増えることで、人間が行う仕事の質が変わっていくと予想されています。
人工知能に人の仕事が奪われるという表現は、マイナスなイメージを持ちますが、人工知能が人がいままで行ってきた大変な仕事を代行してくれると考えると、プラスのイメージに変わります。
これまでの機械化の進化を例に考えてみましょう。
例えば、洗濯板を使って洗濯をすることは時間と労力を多く使う仕事でした。
しかし、洗濯機の出現で人は洗濯の効率化を享受できました。
また、その後の洗濯機の進化で二層式から全自動になり、さらに時間を別のことに活用出来るようになりました。
いまや、しわもできるだけさせない乾燥機能も付加される洗濯機が誕生しています。
我が家も、花粉対策から外に干せないので乾燥機付き全自動洗濯機に買い換えましたが、その便利さに夏秋になっても利用している有り様です(;^_^A
本当に便利な世の中になりました(^^)/
その時間をリポート添削などに活用させていただいています。
さて、
いま、仕事の現場では、介護の仕事へのニーズは高いものの給与の低さや仕事の大変さから、なり手が少ない状態が慢性的に発生しています。
そのほか、建設業やコンビニなどの店員のなり手が不足していて労働需要のアンバランスも慢性化しています。
こうした仕事に人工知能やロボットが担える余地があることは明白です。
実際にそうした仕事への実用化検討が進められています。
将来における人の仕事への期待は2つに集約されていくだろうと言われています。
人工知能は、過去データを元に判断行うのですが、事例のないことについ判断することは苦手です。
また、論理的に判断することは得意ですが、感情的なことに対してはまだまだ研究途上です。
人が行う仕事は、「未経験な出来事の将来方向を考え判断すること」と「お客様に対して期待以上のサービスを行い感動するような人間性が発揮できること」と思われます。
高尾紳路九段が次のように言われたことが印象に残っています。
「グーグルはアルファ碁の開発で培ったディープラーニングなどの人工知能技術を、医療や気候モデリングにも役立てていく方針だと聞く。囲碁が社会の深刻な課題の解決に貢献できるのなら、これほど誇らしいことはない」
4.技術関連の情報
今日の記事の中の技術について、2つ補足情報を入れました。
また、時間が取れたら追加していきたいと思います。
・ニューラルネットワークとパーセプトロン
パーセプトロン(perceptron) とは,ニューラルネットワーク研究の初期に提案された,もっとも簡単な階層型ニューラルネットワークで,図のように入力層,中間層,出力層の3層からなっています。
例えば入力層に「A」という文字パターンが入力されると出力層で「A」に対応するニューロンが発火し,以下,「B」のパターンにはBのニューロンが,「C」のパターンにはCのニューロンが、…というようにしてパターン認識を行うというものです。
パーセプトロンをはじめとする階層型ニューラルネットワークの特徴は,結合重みを学習によって定めることです。
学習とは,ニューラルネットワークが望みの出力をするようにするための結合重みの調
整を,入出力の例のみを用いて行うことです。
パーセプトロンにおいては,学習は中間層と出力層の間だけで実現されます。
しかし、この技術について、米国の人工知能学者マービン・ミンスキーとシーモア・パパートが、パーセプトロンの予測性能に関する重大な欠陥を指摘しました。
それは排他的論理和(XOR)という演算を用いた単純な課題について、どんなに理想的に学習させたとしてもパーセプトロンはその予測ができないというものでした。
これを「XOR問題」と言います。これで第1次ブームは終わりました。
その後、この問題は、ちょっとした数学的な工夫をすることで、XORの演算結果を線形分離させることができると分かりました。
上記の表に、AとBの数値以外にA and Bの演算結果をつけたすことで、A xor Bの真偽を線形分離できるようになったのです。
詳細は、以下参照
・フレーム問題
フレーム問題(フレームもんだい)とは、人工知能における重要な難問の一つで、有限の情報処理能力しかないロボットには、現実に起こりうる問題全てに対処することができないことを示すものです。
この問題は、AIが進化した現代でも解決できない問題難問と言われています。
たとえば、AI搭載のロボットが車を運転して高速道路を走ったとします。
人間なら、道路に障害物が落ちていれば避けるし、渋滞が始まればスピードを落とすなど、その時々の対応を柔軟に行うことができます。
しかし、ロボットはプログラムされたことだけしか対応ができない。しかも、あらゆるケースを想定してプログラムをするということは物理的に不可能です。
このフレーム問題が指摘されたのは1969年のAIの黎明期で、更新機能も学習機能もない時代でした。インプットされたことのみに従う記号処理型AIの時代においてまさに限界が浮き彫りになりました。
この問題を統計確率的に99%安全だとされる行為を取るようにAIをプログラミングすればいいと考えることもできます。
しかし、残り1%の起こる確率が残ります。
たとえば、高速道路で逆走する車が迫って避けきれなかったらどうするか?です。
この解説は、以下の本を参考にして招き猫が補足しています。
実は、
この問題は人間も解決できておらず、時々事故として報道されていますね。
今後の難題として当分残っていくことになりそうです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
終わり