お越しいただきありがとうございます。
今日は、職場における暗黙化して「見えてない問題」について考えてみます。
私たちの身の回りには、大小さまざまな問題が日常的に発生しています。
生きていくことは問題解決の連続だという人もいます。
いくらかたずけても問題が減らない…(;'∀')
なぜ?…
そもそも問題は、あといくつあるんだろう?
そんな疑問に少しばかりのヒントを差し上げられれば幸いです。
よろしければ、記事にお付き合いください。
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お忙しい方は一部だけでもご覧ください。
1.問題の定義
この問いを考える上で、まず問題の定義について確認しておきましょう。
問題とは、
「あるべき姿」と「現状」の
ギャップ(差)
のことを言います。
この考え方が、問題解決における主流です。
もちろん、これ以外の定義を説明している書籍などもありますが、ここでは、この考え方に沿って、職場の問題の多さを考えてみましょう。
では、この定義に沿って問題を「ジョハリの窓風」に分解してみます。
①「あるべき姿」も「現状」も「見えている」問題
②「あるべき姿」や「現状」の一部あるいは全部が暗黙化して「見えていない」問題
の2つに分けます。
図にするとこんな感じです。
見えていない問題のほうが多そうですね。
①は、「あるべき姿」も「現状」も見えているので、ギャップ(差)を明らかにできます。
たとえば、こんな感じです。
ギャップから、
この組織の問題は、
「売上が1.9億円未達」
ということがわかります。
一方、②の部分は、
あるべき姿か現状の一部か、すべてが見えていないので、そのままではギャップが顕在化できずに、見えていない問題となります。
たとえば、現状は見えているのに、あるべき姿が見えていない問題を、
向上問題とか設定型の問題と言います。
国の年金問題や、企業なら、生産性を改善したいが進む方向があいまいな状態といった例です。個人における生活の将来不安などもここに入ります。
暗黙の問題や未知の問題などについて詳しく知りたい方は、以下を参照してください。
話を進めます。
①の顕在化して「見えている問題」は、書き出して数えることが出来ます。
が、
②の暗黙化して「見えていない問題」の数は数えられません。
その「見えていない問題」の数をどう推測するかが、今日のテーマでした。
私の主張を先に示します。
「①の問題数の
およそ10倍の
見えていない問題がある」
たとえば、①の問題が5つなら、
②の暗黙化している問題は、およそ50個
合計で55個くらいの問題があるだろう。
と推測します。
「そんな簡単に出していいの?」
「検討してみないとわからないのでは?」
と言われそうです。
たしかに、その通りです。
実際に要因を分解するなどの作業をしてみないといくつあるかはわかりません。
(さらに言えば、暗黙化しているので分析してもすべて見つからない可能性が高い)
とはいえ、問題解決を進める上で、今時点でどのくらい問題がありそうか当たりをつけておくことは有限な作業時間を利用する上で大切なことです。
そのため、全体の問題数を認識しておきたいとなります。
さて、
なぜ、10倍と言い切るのか、これから見ていきましょう。
お忙しい方は、「終わりへ」を「プチ」とすると文末に飛びます。
さきほどは、私の主張と書きましたが、
実はこの考えの参考にしているのは
「ハインリッヒの法則」です。
とても有名な法則なのでご存じの方も多いと思います。
改めて「ハインリッヒの法則」を簡単にご説明します。
ハインリッヒの法則は、アメリカのハインリッヒ氏が労働災害を5000件以上を調べた所、1件の重大事故が発生する背景には、軽微な災害が29件発生しており、さらにケガには至らないものの「ヒヤリ」「ハッと」した出来事が300件あることを見いだし、経験則として発表したものです。「1:29:300の法則」ともいわれます。
この経験則は、その後いろいろな事象にも当てはまることが事例として紹介されています。ぜひ、Webなどで検索してみてください。事例がたくさん出てきます。
この法則から、顕在化している災害は1+29=30件で、問題にはいたらなかった潜在化(暗黙化)している出来事が300件あることになります。
この30件と300件の比から、潜在化(暗黙化)している問題は、顕在化している問題の10倍はありそうだとしています。
氷山に例えると、海面から上の見えているところが顕在化している問題、つまり「見えている問題」です。
およそ1割という具合です。
その海面下には9割の「見えていない問題」として潜在化(暗黙化)した問題が隠れているということになります。
実際、私が会社で問題解決のファシリテーターを頼まれて、リスク抽出や問題の洗い出しをすると、あらかじめ確認できている問題の約10倍の問題候補が発見されることを何度となく経験しました。
そこで、出てきた問題の数が、あらかじめ顕在化していた問題数のおよそ10倍を超えていれば、洗い出し作業としては、うまくいったと判断することにしています。
(不足していたら、さらに振り返る作業を継続する)
たとえば、KPT法などの振り返り手法を用いた場合では、参加者10人くらいで一回議論すると70から100程度出てきます。(重複したものは除いて)
出席した参加者は、自分たちが一度にこれだけの数を出せたことに驚きます。
例 KPTの実施例
ハインリッヒの法則は、社会の営みがもつ不思議な数字のマジック(不変数)と考えている方は多いようです。
せっかくですからぜひ利用してみましょう。
忙しい方用: 終わりへ
3.7Sモデル
さて、この顕在化している「見えている問題」と潜在化している「見えていない問題」の内訳を7Sモデルを用いて考えてみます。
7Sモデルとは、コンサルタント会社のマッキンゼーが提唱する「組織の7S」というフレームワークの視点です。
問題を見つける時の視点として、以下の経営資源を挙げています。
ハード面
・ 「戦略(Strategy)」
→戦略の方向性
・ 「組織構造(Structure)」
→組織図、組織協力
・ 「仕組・ルール(Systems)」
→情報伝達ルート、業務フロー
ソフト面
・ 「技術・能力(Skill)」
→組織の技量
・ 「人の属性(Staff)」
→組織としての人材の質、傾向
・ 「文化・風土(Style)」
→暗黙の組織ルール、組織文化
・ 「価値観(Shared Value)」
→社員の共通の価値観
ハード面に上げた「ハードの3S」は、物理的に見ることが可能な資源です。
なので、顕在化していることが多い資源です。
一番わかりやすいのは、「仕組・ルール(Systems)」でしょう。
一般的には、手順書やマニュアルなどとして保存され利用いているものです。
「組織構造(Structure)」も、組織図などを見ればわかります。
「戦略(Strategy)」も、〇〇製品企画書とか、年初に事業戦略として作成しているので明文化されていることが多いと思います。
これらは、
変更が容易な順から
「戦略」
↓
「組織構造」
↓
「仕組・ルール」
の並びとなります。
このハード面はマネジメントの意思があれば比較的容易に構築、変更することが可能といわれています。
一方、
ソフト面に上げた「ソフトの4S」は、
形として有るものではなく組織に暗黙的に存在するものです。
なので、見えにくい資源になります。
たとえば、「技術・能力(Skill)」は組織の技量です。
その組織の持つ能力の強みや弱みともいえます。
が、スキル・マップなどをメンバーと面談して意識して作らない限り見えてきません。
まして、「人の属性(Staff)」は、なかなか表現さえ難しい点です。
あえて、書くなら「受け身的なメンバーが多い」「自発的に仕事をする人が多い」といった様に評価・観察して明文化することになります。
さらに、「文化・風土(Style)」は、書くことさえ難しいものです。
しいて上げるとしたら、ビジョンとか行動規範などでしょう。
「価値観」を除いて、
ソフトの3つは変更が可能な順に
「技術・能力(Skill)」
↓
「人の属性(Staff)」
↓
「文化・風土(Style)」」
の並びとなります。
こちらは「ハードの3S」と違って、
その構築・変更には時間がかかるといわれています。
7Sモデルからみると、
問題の見えやすい資源は、
・ 「戦略(Strategy)」
・ 「組織構造(Structure)」
・ 「仕組・ルール(Systems)」
問題の見えにくい資源は、
・ 「技術・能力(Skill)」
・ 「人の属性(Staff)」
・ 「文化・風土(Style)」
・ 「価値観(Shared Value)」
といえます。
忙しい方用: 終わりへ
4.氷山モデル
組織の問題を扱う場合に「氷山モデル」という言葉があります。
さきほど、7Sで示した各資源の暗黙化の程度を氷山に例えたものです。
その名のとおり、水面上に出ている「目に見える部分(ハード部分と呼びます)」と、水面下の「目に見えない部分(ソフト部分と呼びます)」の両方で構成されます。
図を見ていただくとおわかりになるかと思いますが、
組織の問題は、「水面下のソフト部分が、水面上のハード部分を決定している」
ということになります。
たとえば、
仕組・ルールとして
「問題が発生したら、上位に報告する」がルールとしてあったとします。
また、その仕組みに「毎週の進捗会議を行う」もあるとします。
しかし、文化・風土として、
「問題を上げたくない」という意識がメンバーに存在したら、
どんなに仕組みやルールがあっても上がってきません。
また、その背景に、
・問題を上げると、言い出しっぺがやらされる
・問題を上げたら、思いっきり叱責されたのでもう上げたくない
といったマネジメント上の問題から、
あると、とても厄介です。
忙しい方用: 終わりへ
5.まとめ
・ハインリッヒの法則から、
「見えていない問題」は、
「見えている問題の」の
およそ10倍はある
・ハード面は見えやすいが
ソフト面は見えにくい
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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よろしくお願いいたします。
以下前回のお礼です。
6.前回のブログのお礼
ブックマークいつもありがとうございます。
ご意見をいただけると記事を書く力が沸いてきます。
演繹的帰納法は、ColdSnapさんの言われるように、ロジカル思考の1つです。
mashleyさんが書かれたように歩み寄り法といえますね。
こうした合意形成を合理的にすばやく行えるそうです。
papayapapaさんは勉強家なので、すでにご承知だったようですね。
この思考法は第2次世界大戦で開発されたので、まだ75年程度の歴史になりますが、広く世界に浸透しました。
有効性が高い証しだと思います。
やまさん、スズケンさん、鯛さん
コメントありがとうございました。
鯛さん、情報は鮮度。その通りといっていただきうれしいです。
やまさん、物知りのやまさんに勉強になると言われるのは照れますね(^^)
スズケンさん、感動のお言葉。ありがとうございました。
ほか、プチっとしていただいた皆様、ありがとうございました(#^.^#)
終わり
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