言葉によるコミュニケーション
コミュニケーションにおいて、言葉の役割は大切だとよく言われます。しかし、心理学者のメラビアン先生が実験をした所、言葉によって伝わるのは、わずか7%という結果が出ました。非言語である表情やしぐさの方が多くを伝えているそうです。
そんな言葉の難しさを、さっくっと書いてみました。お時間があったらお付き合いください。
注:この内容は、過去記事をリメイクしたものです。
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1.メラビアンの法則
言葉によるコミュニケーションの限界を示す有名な法則がメラビアンの法則です。
メラビアン先生が、UCLAの学生に対して行った印象的実験の結果、2者間の対話では言葉が優先される割合は7%、聴覚的な特徴(声の抑揚や大小)38%、視覚情報(顔の表情など)が55%だったというものです。
実験では、たとえば、顔は怒っていながら、「好き」という言葉を聞くと、受け手はどう解釈するかを実験しています。
たとえば、こんな感じです。
こちらはどうでしょう?
こうした言葉と表情などが一致しないときに、受け手は何を優先するかを調べました。
その結果、優先されるのは、
視覚>聴覚>言葉
という順位だと結論づけたのでした。
コミュニケーションは、言葉だけではなく、表情やしぐさといった言語以外も重視していますね。
たとえば、「目は口ほどに物を言い」といわれるように、目線や目の動きから人は多くの情報を得ていることが、実体験として理解できることでしょう。
目線などの心理を詳しく書いた記事はこちらです。
さて、
このメラビアン先生と同様な実験をした人に、非言語コミュニケーションの研究者、バードウィステル先生がいます。その研究でも、言語は35%、残りの65%は話しぶりや動作、ジェスチャーによって伝えられるとの結果が出ています。
言語だけでは、いいたいことはなかなか伝わらない。伝えたいことは、言葉と表情や態度を一致させることが大切だということです。
どうして言葉だけでは伝わりにくいのでしょうか?
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2.コミュニケーションの構成要素
言葉によるコミュニケーションが伝わりにくいことを、コミュニケーションの構成要素から確認していきましょう。
構成要素は、以下の4つになります。
・送り手
・受け手
・メッセージ
・チャネル
各要素が、色々な制約を持っていることが伝わりにくい原因となります。
ます、全体のイメージをご覧下さい。
では、一つ一つ確認していきましょう。
送り手
情報を伝達する側になります。
送り手は、送りたい内容を、自分の持つ知識を駆使して、話す言葉に構成します。その際、その人が持つ特有のクセが出てきます。
また、表現力に豊かな人もいれば、苦手な人もいて、伝達する内容は、大きく異なってきます。
伝える側が、知識が豊富で、相手にとって分かりやすい話し方をして、かつ表現豊かに伝えられるなら大丈夫でしょう。
しかし、限られた知識で、自分が得意な話し方しかしないケースでは、言葉の伝わり方が違ってきますね。
メッセージ
送り手が発信するための情報は、メッセージとして構成されます。
メッセージとは、送り手が符号化した情報の集まりのことです。多くは、言葉となります。が同時に、顔の表情でも伝えています。
また、対面でなければ、LINEのメッセージなどで文字やスタンプを送るというのが現代風でしょうか?
メラビアン先生の実験のように、言葉と表情が一致しないメッセージは伝わりにくい情報メッセージとなります。
チャネル
メッセージを伝達するのが、チャネルです。
チャネルとはメッセージを運ぶ経路のことです。
言葉1つとっても、声として伝えることもあれば、
LINEなどで、スマホ同士の通信で伝達こともあります。また、感情なら目の動きや、しぐさなどでも伝達されます。
ここでも、チャネル内でのメッセージの一致度を高めないといけないことがうかがえます。
受け手
こうしてチャネルを通じて伝達されたメッセージは、受け手に届きます。
受け手は、チャネルを通じてメッセージ符号を受け取る側になります。
この受け手も、その人の知識の程度や聴き方のクセ、あるいは、聴く力の程度で受信する程度が変化してきます。
このように見ていくと、たった4つの要素が制約だらけだと分かります。
表情に関する記事はこちらです。
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3.言葉の限界
コミュニケーションの構成要素から、言葉による伝達がけっこう大変な様子がわかりました。
ここでは、さらに送り手に焦点を当てて、言語化の限界を見ていきます。
送り手の言葉の限界
たとえば、送り手が、リンゴ園のある光景を思い浮かべたとします。
頭の中に、伝えたいことがイメージとして浮かびます。浮かんだイメージ全体をAとします。
この例では、りんご園でリンゴが沢山実った様子を思い浮かべたとします。
その中で、Bを話したいと思ったとしましょう。
図のリンゴの部分です。
そこで、話したいBから、更に伝えたいことCを選びます。その選んだCはイメージなので、それに合う言葉を探します。それを符合化といいます。
ここで、その送り手の知識や話し方のクセが現れます。
送り手のボキャブラリーから、選ばれた言葉がDとなります。たとえば、
「赤いリンゴ」
です。
そう頭の中に浮かんだAから始まり、最後の言葉になるのはこれだけなのです。
受け手の限界
しかも、この「赤いリンゴ」Dが、受け手にそのまま伝わるとは限りません。
「赤いリンゴ」Dは、受け手の理解の仕方Eによって変化します。さきほどの受け手の知識やクセ、聴く力が影響します。
伝えたかった情報「赤いリンゴ」Dは、相手が受け止めた情報イメージEに変化します。
そして、実際に伝わった情報Fとなります。
この伝わり方にも受け手の差がでます。
受け手の力量が高ければ、結構リアルに再現できますが、重なりが少ない、力量が低い受け手だと、曖昧なイメージしか再現出来ないのですね(^_^;)
言葉を使ったコミュニケーションは、大変な作業を瞬時に行って進んでいることがご理解いただけたでしょうか?
4.まとめ
2者間の対話では言葉が優先される割合は7%、聴覚的な特徴(声の抑揚や大小)38%、視覚情報(顔の表情など)が55%。
言葉と表情などが一致しないときに、受け手の優先度は、
視覚>聴覚>言葉
コミュニケーションの構成要素
・送り手
・受け手
・メッセージ
・チャネル
それぞれに制約があって、伝達はなかなか大変
言葉の限界
送り手と受け手の言語能力によって、伝えたいイメージは宣言され、誤解される可能性がある。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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終わり