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今週から、コンテンツ制作した文章と図表を、このブログでも利用して反応を見ていくことにしました。今週のテーマは、「能力」についてです。能力の「有る無い」や、構成要素についてまとめてみました。よろしかったらお付き合いください。
能力とは
部下育成や能力開発の前提なので、能力とはどういうものか、能力が有るとはどういくことを意味するかを確認しておきましょう。
ポイントは2つです。
求められる水準を満たしていること
たとえば、多くの人は自転車に乗れると思います。これは、小さいときに自転車に乗れなかった頃に比べると、素晴らしい能力を身につけたことになります。
一方で、この「自転車に乗れる」を詳しく見ていくと、「自転車に乗って通常の道を走行できる水準」と言うことが分かります。もし、求められる水準を「競輪場で競技に参加できる水準」にまで持ち上げると、私たちは、「自転車に乗れない」となるでしょう。
このように求められる水準次第で出来る、出来ないが変わってきます。これを人材育成の特にOJTにおける育成の目指すゴールとすると、入社1年目の社員が求められる水準と、中堅社員が求められる水準は異なるコトが理解できます。
あることが出来る
成果や結果を出すには、知識だけではなく経験を積まないといけない能力があります。たとえば、水泳やピアノを習得するには、知識を学んだら、それについて練習をして身体に覚えさせる必要があります。こうした能力は、スポーツや音楽だけではありません。料理や事務作業の中にもあります。
こうした、経験の差から能力がある、無いも分かれてきます。
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いろいろな能力
人間が持つ能力には多くの種類があり、それぞれが異なる場面や目的で活かされます。ここでは、仕事に役立つ業務遂行能力について、類型化をしてみました。
仕事に役立つ能力と役立たない能力
仕事に役立つ能力を業務遂行能力と言うことにします。大きくは、保有能力と発揮能力にわかれます。基礎的な知識や仕事をする中で身につけた経験やノウハウ、仕事を成し遂げるための発揮能力となる意欲や態度などが含まれます。
一方で、役立たない能力というものがあります。 一見すると仕事と直接関連がないように思える能力のことです。とはいえ、状況次第で価値を持つことがあります。たとえば、ゲームの腕前や趣味の知識が特定の分野で活躍する場合もあります。ビル・ゲーツが学生時代に学んだカリグラムが、マッキントッシュの開発に役立ったというのは有名な話ですね。要は、「役立たない能力」というものは固定的ではないのですが、ここでは、複雑になるので省略します。
保有能力の内訳
保有能力を分解すると、基本的能力と精神的習熟能力に分けられます。
基本的能力は、さらに知識と技能、体力に分けることが出来ます。
仕事をする上では、その仕事に関わる知識は絶対に必要になります。加えて、その知識を遂行できる技能が無いと仕事が出来ないことも承知できるのでは無いでしょうか?
この知識と技能があれば、目先の仕事はなんとなく処理することが出来ます。しかし、継続的に仕事をこなしていく上では、計画的に仕事を進めるスキルや、関係部署と調整するスキルも必要です。
こうした点から、精神的習熟力としての、思考力と対人能力が必要になってきます。この2つの能力はさらに細分化した能力に分解することができます。詳細は、図表を参照してください。
発揮能力の内訳
保有能力があれば仕事の成果が出来るかというとそういうものでもありません。
発揮能力もあって成果につながります。
業務遂行能力は、保有能力と発揮能力のかけ算といわれています。たとえば、Aさんは保有能力が90あったとします。しかし、発揮能力が0の場合は、成果はかけ算なので90×0=0となります。
これは少々極端な事例ですが、Aさんの発揮能力が1とすると、90×1=90です。一方で、Bさんは、保有能力は50として、発揮能力が90であれば、50×90=400の成果が出せます。
このように、発揮能力はとても大切です。この発揮能力は、意欲と態度に分けられます。いわゆる「やる気」や仕事への向き合う姿勢と言えます。OJT計画の作成では、特に中堅社員への指導ポイントがこの点になります。
まとめ
さまざまな能力は、それぞれの状況で異なる価値を持ちます。保有能力を高め、発揮能力を引き出し、能力のかけ算を高めていくことが、個人の成長や成功の鍵となるでしょう。
能力は、いくつもの能力の組み合わせ
育成や能力開発においては、「~力が必要」などとよく言われます。こうした「~力」は数え上げたらきりがありません。ここでは、その点を検討してみます。
たとえば、精神的習熟能力の1つに問題解決力があります。
この能力を発揮する上では、次のような力が必要です。まず、問題の存在に気づく「感知力」、そして、感知した事象から問題を発見する「問題発見力」、その問題を具体的にとらえる事実収集を行う「情報収集力」、収集した事実から問題を組み立てる「問題形成力」、問題を取組むいくつかの課題にまとめ、その中から何を優先的に行うかを決める「意思決定力」、そして、決めたことを実行する「行動力」と言った具合です。
いろいろな能力が組み合わさって「問題解決力」が構成されていることがわかります。
また、下位の「感知力」や「問題発見力」もいくつかの力の組み合わせによって成り立っています。このように「~力」は、いくつもの能力の組み合わせによって構成され、それぞれが相互に関係を持っていることも分かります。
会社が必要と認めた能力
ここまで説明してきたように、いろいろな能力の基準があります。しかし、会社が評価してくれる能力は、会社が必要と認めた能力だけです。
その能力は、大概、会社が示した能力考課表などに書かれているものです。
たとえば、将棋のアマ四段の実力があっても、感心してはくれるでしょうが、能力考課表に書かれていない能力は評価してくれません。
そうした能力は、評価してくれないので、処遇や昇格にはプラスの影響は無いと考えた方が良いです。
したがって、能力開発では能力考課表に書かれている効果項目を優先して育成することが望まれます。
能力考課表の例
この例は、厚生労働省が能力考課表の例として好評しているものです。ここでは、経営戦略についてのレベル1に事例の一部を紹介しました。
詳細は、以下のURLから参照してください。沢山の仕事の事例が書かれています。
キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード|厚生労働省
おわりに
仕事に求められる業務遂行能力は、保有能力と発揮能力によって構成されています。そして、そのかけ算で、仕事に役立つ成果の程度が決まります。
また、それぞれの能力は、いくつかの力の組み合わせによって構成されていることも分かりました。
仕事の能力を高める上で、何を高めるかは、能力考課表を参考にすると良い。
今回、改めて「能力とは」を整理するために、書籍やネット検索をしてみると、全体像や構成を具体的に示している情報が少ないことがわかりました。
もちろん、ここに書いたことは「能力とは」の一部でしかありません。それこそ、モノを要素に分解していくと、各サブパーツがあって、サブパーツを構成する部品、部品を構成する材料、材料を構成する分子や原子、原子を構成する素粒子と言った具合に切りがありません。今回は、モノでいえば、サブパーツレベルなで分解したにすぎません。
とはいえ、能力を構成する上位の概念はご理解いただけるよう工夫したつもりです。
書き足りないことをご指摘いただいた時は修正・加筆をしていきたいと考えています。そうしたご意見・感想などをお寄せいただけると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
こうした記事も読んでやってください。
終わり