問題解決
論理的に話す上で役立つ手法に、三角ロジックやPREP法があります。
「論理的に伝えたい」とお思いの方は、お付き合いください。
この記事は18年12日21日の記事を全面的の改定したものです。
以前、こんな記事を書いたら色々な反応がありました。
その中には、論理的に伝えるのが苦手だという方が意外と多いことがわかりました。
その伝える相手となる行動特性上の、論理派といわれる方の特徴は次の通りです。
・まず段取りや計画を立てる
・数字やデータが好き
・指示されるのを嫌う
・ルールや基準が大事
そして、
こうした方に仕事をお願いするときは、興味を引くように事実や依頼したいことを簡潔にお願いするのが有効
と説明しました。
とはいうものの、
興味を引くように事実を伝える
依頼したいことを簡潔にお願いする
これらは意外に難しいものです。
そこで、今回は、その具体的な方法を考察してみたいと思います。
1.三角ロジックとは
論理的な思考について学ぶと、よく登場する手法に三角ロジックがあります。
三角ロジックとは、
主張として自分が言いたい結論を説明するにあたり、根拠として、事実と理由付を用いた論理の三角形をなす
この内容から、三角ロジックというネーミングが使われています。
注:この三角ロジックは、松本道弘氏が提唱されたものです。
図解するとこんな感じです。
伝えたいこと:主張を、
根拠となるデータや証拠となる事実を示し、
判断の基準や因果関係となる理由付けと共に示すことで
論理的に説明できるとする
方法です。
たとえば、教育係のあなたが、新人さんに大事なことを伝えるときは、論理的に説明することがまず大切ですね。
その上で、感情に訴えていきます。
そこで、伝える内容を三角ロジックで論理的にまとめてみましょう。
事例を示します。
このように予め、論理的に話したいことを3つの要素から整理するのが有効です。
2.PREP法とは
三角ロジックは、論理的な整理に有効ですが、実際の説明の場面で用いる時に役立つのが、PREP法です。
PREP法は以下の構成になります。
PREP法の頭文字は、以下の説明順の頭文字をとった言葉です。
Point =主張
Reason =理由
Example =具体例、事実
Point =再度主張
さきほどの、教育係が、新人さんに伝えるシーンをPREP法で整理するとこんな感じです。
実際の会話に活用すると、こんな感じでしょうか?
少々長い文章なので、ご興味の無い方は読み飛ばしてください。
こうした説明の準備をすることは、イメージトレーニングとなります。
スポーツ選手が試合前にイメージトレーニングをするように、論理的な伝え方をする上でも、伝える力を高める効果があると、脳科学が推奨しています。
会話のイメージです。
「今日は、(新人の皆さんに)大切なことをお伝えします」
「それは、悪い報告は、早くリーダーや仲間に伝えようということです」(主張)
「このことは、先日の行動規範の説明にも入っていましたが、ここでは、改めて、その大切さをお伝えします。」
「さて、悪い報告ってなんでしょう」
(新人さんに一人一人聴いてみる)
「そうですね。たとえば、作業をしていて機械の調子がおかしいと感じたことや、普段と違う方法で作業してしまった、といったことも悪い報告の例です。」
「こうした悪い状態をそのままにしておくと、後々事態が悪くなることが多いです」
「とはいえ、そうした報告を上司などに話しに行くと、叱られるかもしれない、とか自分の評価が悪くなるかもしれない、と、思ってしまうかもしれませんね。」
「ご心配はいりません。」
「お手元の行動規範15ページをご覧ください」
「当社は悪い報告を歓迎すると、行動規範に書かれています」
「私たち報告を受ける立場が、守るべき行動基準です」
「ですので、報告に行った相手を、叱るような行動はマネジメントが慎むべきと定めています」
「しかし、このように宣言していても報告が遅れた事例が、昨年3件も発生してしまいました。調べてみると、周知が徹底されていないことがわかりました。」
「昨年の事例は、ここにお見せするような、お客様からクレームを受けて解約されたり、取りたかった商談の成約が取れないなどの不具合となってしまった事例です。」
「行動規範に盛り込みながら、こうした事態が発生したことを社長やマネジメント全員で深く反省しています。私たちは、悪い報告を話しやすい雰囲気作りや、日頃からのコミュニケーションの機会を増やす努力をしていただろうか?社員全員にきちんと行動規範を周知していただろうか?と反省し振り返る作業をしています。」
「そうした中で、今回、新入社員の皆さんにも、きちんとお伝えしておかなければならないと、こうしたお話の場で改めてお伝えすることにしました。」
「どうか、悪い報告は早くしましょう。とお願いする次第です。」
「この件について、みなさんの感想を聴かせていただいてよろしいですか?」
「以下、会話が続く……」
こうしたトレーニングの効果は絶大です。
脳は、イメージさえも経験として蓄積してくれるからです。
みなさんもぜひ、PREP法で論理的な伝え方のイメージトレーニングをしてみてください。お金もかからないとても効果的な方法です。
3.トゥールミンモデルとは
さて、ここまで三角ロジックの説明をしてきましたが、実は、三角ロジックには論理的な構造の不完全な部分があります。
その点を、三角ロジックのベースとなっているトゥールミンモデルから確認してみましょう。
トゥールミンモデルは以下の6つの要素からなります。
三角ロジックは、その「トゥルミンモデル」から、主張・事実(データ・証拠)・理由付け(基準・因果関係)の3つに要素に絞って構成したものでした。トゥールミンモデルの簡易版として普及したものです。
そのため、より厳密に論理的な説明をする上では、「トゥールミン・モデル」の6つのすべての要素を使っていく必要があります。
三角ロジックで用いた
①主張
②事実
③理由付け
に加えて、あと3つの要素を加えます。
④反証 ~でない限り、例外
主張は、かならず反論される要素を持ちます。
この時点で認識している例外事項を説明します。
たとえば、問題記述の例で書くと、
外的要因:市場環境が急変しない限り
競合商品が問題を起さない限り
A社のビジネスが好転しない限り
内部要因:新たな対応をしない限り
生産が不具合を起こさい限り
期中に計画を変更していない限り
反証は、例外事項を含むので、色々な可能性があります。できる限りMECEで要素を整理してモレを防ぐことになります。
④反証は問題解決における要素にもなるものが含まれることがあります。
⑤限定 確からしさの程度、主張の説明範囲
多くは、想定の範囲を書きます。
一般的 :このままいけば
売上の例:今年度においては
不具合の例:サンプルの解析に結果を元にすると
⑥裏づけ: 理由づけの正当性を支える要素
一般的 :法的要求事項、社内規則
ルール、世間常識
売上の例:当社年初の事業計画資料から
不具合の例:統計的なサンプル信頼度から
⑤限定や⑥裏づけは、「寛容の原則」から省略されることもあります。
さて、
「活動の根拠」や「活動の事実」、「制約条件」、「想定外の事象」は、すべてが既知な情報ばかりではありません。
未確認の情報や不完全な情報となっている部分があります。
こうした見えていない部分の問題を、氷山モデルから理解できます。
氷山モデルの概要は以下になります。
見えている部分は、
仕組みやルール、組織構造、計画・戦略などです。
一方、見えていない部分は、
組織が持つ技術や能力、人の属性(特徴など)、文化・風土、共通の価値観などになります。
氷山モデルの説明は長くなりそうなので、
より理解を深めたい方は、以下をご覧ください。
4.まとめ
論理的に話したいときは、三角ロジックで、伝えたいことを整理すると良い。
三角ロジックは、
伝えたいこと:主張を、
根拠となるデータや証拠となる事実を示し、
判断の基準や因果関係となる理由付けと共に示すことで
論理的に説明できるとする方法
三角ロジックで、説明の準備をすることはイメージトレーニングになる。
伝える力を高める効果があると、脳科学が推奨しています。
より、論理的に説明する上では、トゥールミンモデルが参考になる。
以上です。
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