私たちはどのように音楽と共に生きるか?
あなたは、毎日音楽と共にいますか?
好きなアーティストの作品を聴いたり
ちょっと気取ってクラッシック音楽を聴いたり…
そんな音楽のある生活が気にかかって…
ビジネスの現状を覗いてみたらちょっとビックリ。
今回は、そんな音楽業界の現状と、未来の心配と兆しについて書いてみました。
興味を持たれたらお付き合いください。
こんな記事も書いています。
1.音楽売上も S字カーブか?
まずは、このグラフをご覧ください。
レコードや音楽テープ、そしてCDの売上額の推移になります。
音楽配信の売上は除いています。
それは、後ほどご紹介します。
注:ここでは音楽配信として、ネットによる音楽ソースのダウンロードサービスやAmazon musicのような定額制ストリーミング配信を指しています。
それぞれの音楽ソフトがきれいな山なりのカーブを描いています。
また、CDが発売になって売上は大きく伸びました。
とはいえ、音楽ソフト全体の売上は1998年をピークに減少しています。
こうした製品の売り上げは、S字カーブを描くことが知られています。
S字カーブは、
製品ライフサイクル(PLC:Product Life Cycle)などの製品戦略としてよく利用されるフレームワークです。
フレームワーク:思考の枠組みや検討に用いる手法のこと
新製品が出ると、販売初期は中々売れませんが、市場の認知が進むと売上が拡大し成長を始めます。そして、市場の普及が進むと成長が鈍り成熟期を迎えます。最後に市場における存在価値の減少と共に衰退していくというモデルです。
こうした新製品の普及過程は、
普及率(採用者数)を縦軸に取り、
普及にかかる時間を横軸に取ると
図のようなS字のような曲線を描くことが知られています。
この普及の過程を、学者さんのロジャーズ(1990)が、イノベーション普及学の中で、
「釣鐘型の度数分布曲線とS字型の累積度数曲線」を用いて説明し有名になりました。
特に、アーリー・アダプター(オピニオン・リーダー)が採用しはじめる13.5%の段階から普及率16%を過ぎるころから急速に普及が拡大し、、その後の拡大期と衰退期を経て収斂するモデルと説明しています。
参照:E.M.ロジャーズ 『イノベーション普及学』 産能大学出版部 1990年
この普及過程を、実際の例で見てみましょう。
これは、テレビとVTRとCDプレーヤーの普及率のトレンドを描いたものです。
家庭用カラーテレビは、教科書に載るくらい、みごとなS字のカーブを描いています。
家庭用VTRの世帯普及率の変化も見てみましょう。
製品で先行したソニーのベーターマックス方式でしたが、その後ビクターが主導するVHS方式に逆転され、デジュア・スタンダード(標準の規格)となり普及していきます。
VTRの普及曲線も、多少の乱れはありますがほぼS字型の曲線となりました。
当時、ソニーは偉大なモルモットと呼ばれていて、このように後発メーカーに市場占有を許すことがありました。
しかし、その後のCDプレーヤーの発売では、ソニーはウオークマンと呼ばれる大ヒット商品で市場を牽引していくことになります。
CD以前は、アナログのレコードが主流でした。
その後、ソニーが高度な圧縮技術と誤り訂正技術で完成させたデジタル方式のCDが主流となったのはご承知の通りです。
そして、インターネットの普及と共に、デジタル技術を利用した音楽のネット配信ビジネスが次の世代の商品として市場拡大を図っていくはずでした。
ところがです。
その売上が日本では伸びていません。
2.日本の音楽シーンを振返る
日本の音楽ビジネスに変化が起こり始めたのは、
2001年10月にデジタル音楽プレイヤーのiPodが発売頃からです。
とは言え、この頃も主役はCDでした。CDからデータを作成して音楽をiPodなどで楽しむのが一般的でした。
一方、その後ダウンロードビジネスが出始め、
2015年以降、定額で聴き放題となる音楽配信サブスクリプションサービスが次々に立ち上がっていきます。
15年06月にApple Music
15年09月にGoogle Play Music
15年11月にAmazon Prime Music
など海外の巨人が次々と日本に上陸しました。
国内でも、
15年05月にエイベックスがAWA
15年06月にLINEがLINE MUSIC
をスタートさせている状況でした。
しかし、
2019年の現時点でも、こうした音楽配信ビジネスの売上は低迷しています。
2019年までの音楽配信を含む売上推移をご覧ください。
2019年の音楽ソフトと音楽配信の合計売上は約2,990億円でした。
音楽ソフトが、約2,284億円
音楽配信が、 約 706億円
と音楽ソフトが市場の約75%を占めています。
音楽配信の売上は拡大せず横ばいで、その結果割合が25%と低迷しています。
S字カーブの理論からすると、
次世代技術となる音楽配信ビジネスが成長を続け今頃は7000億円を超えるビジネス規模になっていたはずです。
一方、海外では、音楽配信の売上が全体の50%を超えているそうです。
特に、ドイツは、2016年頃から爆発的にストリーミング市場が伸びて、2018年上半期にCDを抜いたとのことです。
利用回数は伸びているが、日本の定額制ビジネスが安すぎるのかと思って、
音楽ソフトの発売本数や巻と音楽配信のダウンロードや配信の回数の推移もグラフにしてみました。
ご覧のように音楽配信の回数も冴えない状況です。
どうも利用そのものが低迷している感じです。
なぜ日本は海外に比べて音楽配信の普及が進んでいないのか疑問に思いました。
そこで、調べてみると、
理由は音楽を生んでいるアーティスト側にあったのです。
音楽配信が始まった時期に、邦楽の最新曲が網羅されていなかった。配信を許諾しないアーティストが多く存在していたとのこと。
利用者は、CDを買うかレンタルしてプレーヤーに保存するか、ダウンロードする以外にその曲を聴けない状況だったのです。
そのため、音楽配信に拒絶を示す利用者多く生まれることになり、音楽ビジネス全体も低迷する結果となっています。
この辺りの参照記事:
スポンサーリンク
3.未来の萌芽-サザンとコロナ禍
さて、2020年3月末から、日本はコロナ禍による外出自粛生活を余儀なくされました。
そうした中で、我々の生活シーンも自宅で過ごすことが増えました。
そのためでしょうか?
直近のストリーミング配信の再生回数がUの字型に増加の傾向を示しています。
参照:Billboard JAPAN Newsより
(URLは、http:/のため貼り付けられませんでした。ご了承ください)
コロナはいまだ収束しているとはいえません。
2020年の冬に、ワクチンが間に合うか微妙です。
とすると、この冬は要注意で外出も控える生活が来る可能性があります。
あるいは、ファクターXが解明されて自由に動き回れているかもしれません。
未来は、不確実ですね。
でも、このコロナ禍が、先ほどご覧になったように、音楽配信の普及の兆しになるかもしれません。
そして、もう一つ変化の兆しがあります。
2019年12月20日、
サザンオールスターズが、全シングル・全アルバムのサブスクを解禁しました。
また、2020年1月8日、中島みゆきが一部のサブスクで配信できるようのなったのです。
山口百恵さんも5月29日に600曲以上のサブスク配信を解禁しました。
これまで、音楽配信を受け入れなかったアーティストたちが制約を解除し始めました。
何という偶然でしょうか?
コロナ禍の後押しもあり、おそらく、今後さらに解禁していくアーティストが増えていくことでしょう。
YouTubeで、聞く層が多く違法性も指摘されています。
ただ、海外ではどちらも併存しています。
日本の独自性が問題とも言われています。
YouTubeで楽曲を配信している若手アーティストも増えているそうです。
ただし、YouTubeは広告料になりますが(^◇^;)
うまく両立してほしいものです。
コロナ禍によってアーティストの収入不安が拡大していると新聞などで報道されています。
東京都も支援をしていますが、限定的のようです。
アーティストが音楽活動を継続出来るか、大切な節目に差し掛かりそうです。
音楽が聴ける環境がどうなっていくか注目していきたいと思います。
4.まとめ
・音楽配信の売り上げが伸びていない
・大物アーティストが次々と配信を解禁
・コロナ禍の影響で音楽ビジネスに相転移?
今後の音楽シーンがどうなるか注目していきたいと思います。
きっと明るい未来があると信じて…
最後まで読んでいただきありがとうございました。
読者登録やブコメ、☆などご訪問の足跡を残していただけると嬉しいです。
こうした記事も読んでやってください。
スポンサーリンク
終わり
よろしければ、読者登録をお願いします。