交流パターン分析
ご訪問ありがとうございます。
コミュニケーションが、思うようにいかないと感じることはありませんか?
もしかしたら、あなたの言葉の投げかけ方が相手に合っていないのかもしれません。
そんなあなたに改善のヒントをお届けします。
交流パターン分析という手法が役立つかもしれません。事例を交えてご案内します。
こんな記事も書いています。
1.3つの自我
交流パターン分析を理解する上で、コミュニケーションの基本的なことを再確認しておきましょう。
人が持つ3つの自我の状態をご説明します。
事例をすぐ読みたい方は以下でジャンプします。
私たちが持つ3つの自我とは
日常の会話の中で、自分が相手に対してどのような反応パターンを取っているかを知ることは、対人関係の改善にとても役立ちます。
反応パターンを知る上で大切なことは、今の自分がどの自分かを知ることにあります。
会話の事例
図中の「C」がそれぞれの自我状態を表しています。詳細は後ほど( ^o^)
私たちは自分の内部に3つの「私」を持っており、それを自我状態といいます。
自我とは、「今、自分はこんな状態」といえる1つのまとまりのある状態をいいます。
もちろん、相手にも3つの自我状態があります。
3つの「私:自我状態」
P:(Parent)
親の自我状態
親の考え方、感じ方を受け入れた部分で、幼児期に言われたことや体験したことがそのまま自分のものとして組み込まれたもの
たとえば、厳しい批判的な「私」:CP
と、
やさしい保護的な「私」:NP
があります。
A:(Adult)
大人の自我状態
事実にもとづいて判断しようとし、成長して形成された部分のこと
理性的で知的な「私」:A
C:(Child)
子供の自我状態
幼児期の感じ方、行動と同じ感情・行動を示す部分
自由であけっぴろげな「私」:FC
と、
順応的で人に合わせる「私」:AC
があります。
人との交流においては、
他人を変えるより、自分を変えることで関係を改善するほうが容易で生産的です。
自分の過去と、他人を変えることは出来ません。
とはいえ、その自分について正しく理解するというのも容易ではありません。
人との交流の中で、相手から発信される言葉と表情に表れた自我状態を、
「私」がどう受けてどう反応しているかを知ることを交流分析と呼びます。
それを知ることで改善のヒントが得られます。
2.交流パターン分析の事例
交流パターン分析は、普段の人との会話の仕方を分析するものです。
分析は、さきほどの3つの「私」を置いて、その会話の方向を矢印で図式化します。
そうすることで、自分と相手の対人関係のパターンを理解できます。
さっそく事例を1つ見てみましょう。
A君がA(Adult:大人の自我)の位置から「会議何時からだっけ?」と発信します。
それを、B子さんもA(Adult)の立ち位置で「11時30分からよ」と返します。
こうしたコミュニケーションを平行的交流といいます。
送り手であるA君が求めた情報を、受け手のB子さんが素直に受取り期待した情報をA君に返しています。
このような矢印が平行な時のコミュニケーションは長く続きます。
さきほどの事例会話も、CとCの平行的交流なのでした。
次の事例を見てみましょう。
A君がAの立ち位置から、同様に「会議何時からだっけ?」と発信します。
ところが今度のB子さんはP(Parent:親の自我)から「時計ぐらい自分で調べてよ」と返しました。
矢印はPの位置からC(Child)の方向に伸びて、A君の矢印と交叉しています。
点線で書かれた(うるさいわね)という感情の線も同様の方向を向いています。
こうした会話を、交叉的交流と呼んでいます。
このような期待した返答ではない交流は長続きしません。
もう1つ事例を見てください。
A君がC(Child:子供の自我)の位置から「お、素敵な服だね」と話しかけました。
B子もCの位置から「ありがとう。素敵でしょ」と返しています。
表向き(これを顕在的と言います)の交流は、矢印が平行なので良好です。
しかし、A君の実際の心理を表す線はAからCへ伸びる緑の点線となっています。
「服は素敵だけど、場には合っていないかも…」
これは、A君が人間関係に配慮して、社交的な交流を行っていることを示しています。
こうした会話を、覆面的交流といいます。
この覆面的交流は、現実の世界でよく使われます。
円滑な人間関係を形成するためにはあえて必要な場面もあるとしています。
このような覆面的交流でも、
「来たストロークと同じ方向に返す」ことで会話が続けられるのです。
3.パターンを改善するには
交叉的な交流が起きそうな場面で、どう改善すればいいかを考えてみましょう。
次の例を見てください。
A君がAの位置から「資料がまだ届かないんだ」と発信しています。
B子は、Cの位置からPに向かう矢印で「私のせいじゃないわよ!」と返しています。
A君の発言と交叉する返信です。
しかも、裏の感情も(責められているようで)とCからPへ伸びています。
こうした交叉状態では、会話は上手く行かないし、続かないのでしたね。
対応の基本は、「来たストロークと同じ方向に返す」です。
では、改善の事例を見てみましょう。
A君がAの位置から「資料がまだ届かないんだ」と発信しているのは同じです。
今回は、B子がAの位置から「依頼先には確認したの?」と返しています。
このように同じ方向へ返すと会話がつながります。
B子の返信は、問いになっているので、次にA君がその返事をすることでしょう。
こうして会話が続いていきます。
もう1件、例を見てみましょう。
部長が心配そうに「この作業は時間がかかり過ぎていると思うよ」と、Pの位置からCの方向(親が子を心配するように)に発信しています。
一方、
ア君は「いろいろ検討した結果、安全性の高いこの方法がいいと判断しました。」とAの位置からAに対するような返答をしました。
そのため、部長の発信と交叉状態が発生しました。
こうした会話も長続きしません。
部長はそんな返事を聴きたかったのでないはずです。
では、どう返すと良かったのでしょうか?
矢印が平行状態になるように返すのでしたね。
例を見てみましょう。
部長がPの位置からCの位置に返すのは同じです。
そこで、ア君が、Cの位置からPの位置にめがけて
まず「ご心配をかけて申し訳ございません」と返しています。
これで、交叉状態は解消します。
その上で、ちょっと間を置いて、
Aの立場で返答することで自分の言いたいことも受け入れてもらいやすくなります。
こうした対応の方法は、これが唯一絶対の解答という訳ではありません。
たとえば、部長に対してコーチングの手法を用いて、CからAに向かう質問の形地でを返すというやり方もあるでしょう。
例:「部長はどのあたりが時間がかかっているとお考えですか?」
交流パターン分析という手法を用いた改善事例を見ていただきました。
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4.練習してみましょう
交流パターンを利用し、自分の出やすいクセに気をつけて会話を心がけたいものです。
とはいえ、こうした手法は場数を踏まないとなかなな身に付かない技能です。
いくつか練習問題を用意してみました。
ぜひトレーニングしてみてください。
会話の矢印がどう出ている自分なりに考えてみてください。
解答も下にありますので、判定がすぐ出来ます。
練習問題1
A君「課長、プロジェクトの説明をしていただきましたが、やっぱり納得がいきません」
課長「どの点がわからないのか言ってみなさい。納得のいくよう説明してあげるから」
矢印をイメージしてみましょう。
矢印がイメージできましたか?
下に解答があります。
では、解答です。
連取問題2
C子「あんなにやかましい係長には、とてもついて行けません」
課長「君の同僚は困った様子もないけれど、あなたに問題があるんじゃない」
矢印をイメージしてみましょう。
矢印をイメージしてみましょう。
解答は下にあります。
では、解答です。
最後の問題です。
練習問題3
D子「今日は、早く帰るって言ったじゃない。もう12時よ。あなたなんか大嫌い」
E男「なんだい、君だって約束をたがえることがあるだろ、僕ばかり責めるなよ」
矢印をイメージしてみましょう。
矢印をお考え下さい。
解答です。
練習問題は以上です。
次は、いろいろな会話の場面で実践してみましょう(^^)
使うほどにあなたの力量の向上に役立ちます。
5.まとめ
自分の話し方のクセを知り改善すべき点を理解する
内部に3つの「私」を持ち、それを自我状態という
交流パターン分析で対人関係のパターンを理解する
対応の基本は「来たストロークと同じ方向に返す」
今日も最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
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終わり