数あるブログから、よくお越し下りました。
数字にまつわるビジネスの法則を語る第2回目「2:6:2の法則」のお話です。
別名、「おみこしの法則」とか「働きありの法則」などとも呼ばれています。
働き方や人間関係などに悩んだら、ぜひ思い出していただきたい法則です。
まねき猫流の解釈や事例もご紹介します。
良かったら最後までお付き合いください。
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お忙しい方は一部だけでもご覧ください。
お忙しい方は、「終わりへ」を「プチ」とすると文末に飛びます。
このシリーズの1回目の記事はこちらです。
1.「2:6:2の法則」とは?
会社や学校などの集団において、その構成するメンバーの力量ややる気のある人の割合が、一定の比に落ち着くという法則です。
たとえば会社であれば、
よく働く社員が2割、普通に働く社員が6割、働かない社員が2割 という具合に分かれていくそうです。
図表は、イラスト屋のフリー素材を利用して、まねき猫が編集したものです。以下同
成績優秀な社員が2割、普通の成績の社員が6割、評価の低い社員が2割となる。
と、いう使い方や
人間関係も、気の合う人2割、普通の人6割、合わない人2割がいるとも言われます。
人間関係は、すべての人とそりが合わないと分かっていれば気が楽になりますね。
さて、
働き方については、集団がある一定の規模の人数以上になると、「働かない人」が自然発生的に生まれることが知られています。
こうした現象は昔から有るようで、「おみこしの法則」などとも呼ばれていました。
おみこしは普通全員で担ぐものです。
が、担ぎ手が多くなると、一部の人が自分は少々手を抜いても大丈夫だろうと、「ぶら下がり現象」を起こすことを例えたものです。
特に大規模なプロジェクトにおいては、そうした傾向が起こりやすいそうです。
サブチームの人数を適切なサイズに調整することや、役割の配分に気をつけなければならないと言われています。
そして、こうした「働かない」という現象は、自然界でも見られることが分かりました。
たとえば、「アリとキリギリス」の童話で、働き者として描かれるアリですが、「実はその7割はいつも休んでいて、1割は一生働かない!」とのこと。
そうした例から「働きありの法則」とも呼ばれます。
この事実を発見されたのは、北海道大学大学院の長谷川英祐准教授です。
アリの組織を観察した結果、休んでばかりいるアリや働かないアリもいることを発見しました。そして、せっせと働いているアリが疲れて動けなくなると、サボっていたアリたちが代わって働きだしたそうです。
そこで、働かないアリだけの集団を作ってみると、なんといつの間にか2割のアリが働き出したそうです。
(その逆もあり。働くアリだけを集めても、2割しか働かないそうです)
働かないアリは、働くアリたちの交代要員として存在しと交代しながらアリ組織の維持に貢献していることになります。
こうした働かない存在がいることで、組織が長続きすると言えるのだそうです。
長谷川先生は、それを本として出しています。
長谷川先生のこんな記事も見つけました。よかったらどうぞ。
お忙しい方へ: 終わりへ
2.実際の例
「2:6:2の法則」を裏付けるデータを探してみました。
まずは、働きぶりといえば社員の人事評価が使えるだろうと考えました。
残念ながら、民間のデータは出てきません。(まあ、そうでしょう)
運良く、国家公務員の人事評価制度の運用状況を検証するデータが見つかりました。
能力評価と業績評価をS、A、B、C,Dの5段階で分析しています。
Sが最上位で、Dが最下位となります。
なお、今回の評価は絶対評価で行われていると書かれていました。
報告結果の部分だけ下に引用します。
能力評価(評価期間:平成23 年10 月~24 年9月)及び業績評価(評価期間:平成24 年4月~同年9月)の全体評語分布について調査を行った。
一般職員は、能力評価S5.8%、A53.8%、B39.8%、C0.5%、D0.1%、
業績評価S6.0%、A51.9%、B41.5%、C0.5%、D0.1%という結果であった。
グラフのしたのがこちらです。
出典:人事評価に関する検討会報告書 p.11
S,A評価を成績優秀者として計算すると、
59:40:1となります。
かなりプラスに偏っています。
このデータは絶対評価。つまり他の人とは比べないで当人の力量や成果を基準に沿って判定した結果となります。
平たくいえば、評価された公務員の半数以上が期待以上の仕事の能力や成果を出したと判定されたことになります。
とはいえ、こうした人事評価はメンバーのモチベーション向上のために、標準よりややプラス傾向に評価されることが知られています。
残念ですが人事評価データはバイアスがかかっているので法則の説明には適さないようです。
長々書いて、こんな結果ですみません。
こうした検証結果も残したいので書いてみました。
上記、データをご覧になりたい方はこちらからどうぞ
人事評価に関する検討会報告書 p.11
そこで、別の視点を探すことにしました。
「社員の帰属意識」のデータを使ってみます。
電機労連が1985年(昭和60年)にソフト労働者に対してアンケートした結果です。
古いデータで恐縮です。
出典:新時代の人材育成戦略 産業能率出版社 p.130
男性と女性でかなり意識が違いますね。
さておき、男女計の値を元にして、法則との関連づけをしてみます。
やる気の高い人が約13%、普通の人が52%、低い人が33%と分けてみました。
13:52:33の比です。
こちらのデータは、2:6:2の法則に近い結果が得られました。
バイアスがかかっていないからでしょう。
確認するため、もう一つ、「働き方の志向」のデータから見たのがこちらです。
こちらのデータは新しくおそらく2015年のものだと思います。
出典:日本の人事部 イマドキの若年労働者の就労意識 2016年1月18日の記事から
URL: イマドキの若年労働者の就労意識 - 『日本の人事部』
法則に関連づけると、
やる気の高い人が約11%、普通の人が55%、低い人が35%と分けてみました。
つまり、11:56:35ですね。
このデータも、2:6:2の法則に近い。
個人の意識データは、バイアスがかからない分、法則に近い値が出たようです。
2つの例からは、2:6:2法則が伝えるように、集団のやる気や意識にはばらつきあると言えそうです。
忙しい方へ: 終わりへ
3.262から学ぶこと
どうしてこうしたばらつきが起きるのか、まねき猫なりに考えてみました。
自然的なばらつきを説明する正規分布を利用してみます。
正規分布は、連続型の分布の中で、左右に対象な美しい山形の曲線を描く分布です。ガウス分布などとも呼ばれ、自然界の色々なばらつきがこの分布の形状に近似されます。
どこかで見られたことのあるカーブだと思います。
職場や学校の評価でも、人の能力が正規分布に従うと考えて利用されています。
平均値は、分かりいただけると思います。
すべての値をデータ数で割った値です。
学校や通信教育の試験でもよく説明されていた「あれ」「平均点」です。
標準偏差は、わかりにくい言葉の1つらしいです。
データのばらつきの程度を表す値と理解ください。
(記号にはσ:シグマが用いられます)
たとえば、人事評価ではメンバーを正規分布に乗せて5段階に分けて評価します。
どの企業も給与や賞与の原資(支払う総金額)が決まっています。そのため査定は絶対評価をベースに最終的には相対評価になります。
相対とはメンバーを比較して上下を決める方法です。こうした査定の場合、各評価段階の割合は、以下のような正規的な分布の割合を利用することが多いです。
この分布の決め方も、平均値と標準偏差(σ)と呼ばれるばらつきを表す値を元に決めています。
平均値をセンターにして前後±0.5σの1σをB評価、その上の1σをA,それ以上をSとします。下も同様にBの下1σをC、それ以下をD評価と分けます。
さきほど、実際の事例でお見せした「人事評価の能力評価の結果」
能力評価 S5.8%、A53.8%、B39.8%、C0.5%、D0.1%を
正規分布から求めた割合と比べると、
Aがかなり多く、C,Dが極端に少ない分布になっています。
この公務員の結果は絶対評価なので、分布には従わないとはいえ、公的な職場の評価がやや高めにシフトしているのは驚きました。
こうした結果を見ると、自身への評価結果が「良かった」と素直に喜べませんね。恣意的なことも考えてもっと、クールに受け入れる必要がありそうです。
逆に低い場合もクールに受け入れましょう。恣意的ですから…
次に、やる気について、同様に正規分布から考えてみました。
まず、正規分布を下図のように分けてみます。
平均値を中心に左右に±1σと上下2σで区分してみました。
3つ割合が、約16%:68%:16%となりました。
これは、さきほどの「やる気」の比
13:52:33にだいぶ近い値です。
やる気は、この正規分布の区分でいけそうです。
この正規分布の16:68:16の比を、
「えいや」と一桁で表現すると
2:6:2になります。
「2:6:2の法則」は、自然のばらつきを単純な数字で表した法則と言えそうです。
検証は、さらに事例を積み重ねデータの信頼度を高めないといけないでしょう。
とはいえ、記事として書く分にはここまでとしました。
ご容赦ください。
時間が取れたらもう少し事例を集めてみます。
さて、こうしたバラツキの様子から、人の世界もいろいろな状況が自然発生的に起こると考えた方が良さそうです。
そして、働きアリの法則にあるように、働くべき時や環境が変われば自然と働くようになると理解しておくことで、何があってもこれからの人生を少しは楽に過ごせるのではないでしょうか?
「人もアリも存在することに意義がある」
ちょっと書きすぎかもしれません (^_^;)
人間関係も、この正規分布に従って色々な人がいることを理解しておくべきでしょう。
気の合う人2割、普通の人6割、合わない人2割がいるのです。
初めからそりが合わない人がかならず居ると分かっていれば対応も楽になりますね。
忙しい方へ: 終わりへ
4.まとめ
「2:6:2の法則」とは?
・集団は、力量ややる気のあり方が一定の比に落ち着くという法則
たとえば、
・よく働く人2割、普通に働く人6割、働かない人2割
・気の合う人2割、普通の人6割、合わない人2割
など
こうした現象は、正規分布に従って発生する
(らしい…まねき猫仮説)
・人もアリも存在することに意義がある
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