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今週は、「人工知能による犯罪予測」について書いてみます。
映画「マイノリティリポート」のようなシステムにはなってほしくないですが、ちょっと心配な様子です。
2020年のオリンピックを控え東京などにシステムの導入が検討されています。
「このテーマはちょっと..」という方は、「終わり」を押すと文末に飛びます。
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終わりへ
1.NHKスペシャルから
NHKは、人口知能について時々スペシャル番組を放送しています。
昨年は人工知能が将棋の名人に勝った話から、その発展について解説していました。
その当時の番組を記事にしたのは、こちらになります。
人工知能の発展と自分はどう向き合うか? - まねき猫の部屋ーブログ
そして、今年は、
「人工知能 天使か悪魔か 2018 未来がわかる その時あなたは…」でした。
9月15日(土)午後9時から放送がありました。
仕事が終わった翌週ようやく見ることができました。
放送の概要は以下のHPで確認できます。
この放送では、人工知能を活用して気象の予測精度が向上したことや、人の病気の進行についての将来予測が実用化されつつある事例などを紹介していました。
しかし、一番気になったのが
犯罪予測の部分です。
その内容を要約すると、
人工知能の爆発的進化で、未来が正確に予測できるようになり、未来が未知のものでなくなろうとしている。
最も精度を増しているのが、犯罪予測である。アメリカ各地の警察では、続々AIを導入、大きく犯罪件数が減少している。
しかし、人工知能から加害者になるか被害者になるかもわからないのに、犯罪に関わる人としてリストに載せられた人がいる。その中には、そのことで周囲から要注意人物のようにみられるようになり、住んでいた町から離れる人も出ている。
放送の中で、町を離れる人のインタビューが耳に残りました。
犯罪予測システムを導入したシカゴで、犯罪に関わると人工知能からリスト化された40万人の中の一人です。
「もし、自分の息子や娘、自分自身がリストに載ったら事の重大さに気がつくはずだ。自分の家のドアがノックされるまでみんなその怖さがわからないんだ」
しかし、シカゴ警察は「予測者リストを使った訪問を止めるつもりはない」
犯罪都市を改善するためには不可欠だと主張しています。
そして、
東京や神奈川でも
人工知能による防犯システムの運用が検討されています。
私は神奈川に住んでいます。
他人ごとではありません。
2020年に東京オリンピックを迎える東京でも、警視庁や神奈川県警でも人口知能の導入の検討が始まっている。
民間の警備会社では、25万台を超える防犯カメラ1台1台に人工知能を搭載しようとしている。
カメラに映る人の様子を人口知能が判断して、動きのおかしい人を検知したら、警備員を行かせ事故や事件を未然に防止するシステムである。
また、東京スカイツリーに高精細カメラを取り付ける計画も進んでいる。
さらに、ドローンカメラも飛ばして、東京中にくまなく人工知能の目を光らせる計画だという。
警備会社の研究所長は述べています。
「事前に予知・予兆をとらえるということは
今までにない画期的な変化点だ。
警備モデルの大きな変化と思っている。
略、
不審な動きを検知するモデルに変わっていくだろう」
2020年。
私たちの身近なところに人工知能を用いた防犯システムが入り込もうとしています。
人工知能は、理由を示すことなく予測だけを提示するブラックボックスと言われています。この人工知能をどこまで信頼していいのでしょうか?
映画「マイノリティリポート」が警告した問題に、我々も直面することになります。
2.マイノリティリポート
「マイノリティ・リポート」は、2002年に公開されたアメリカのSF映画です。
トム・クルーズが主演し、スピルバーグが監督をしています。
あらすじ
舞台は殺人予知が可能になった2054年、
ワシントンDC。
犯罪を予知できるシステムのおかげで、殺人事件が存在しない世界が実現している。近未来の犯行を事前に予知し、殺人を犯すと予知された人間を逮捕・即収監してしまう犯罪捜査システムによる成果だった。
プリコグと呼ばれる3人の予知能力を持つ人間の予知夢を総合して、殺人の被害者と加害者の氏名が特定する。
予知された犯行状況から、殺人の起きる現場を割り出して事前に犯人を逮捕する仕組みができていた。主人公のジョンはそのチーム責任者だった。
この予知システムでは、3人の内一致しない少数派の予知夢はマイノリティ・リポート(少数意見)として却下され、残り2者の予知夢から犯罪情報が構成されて、予知犯罪として特定される。
そして、主人公ジョンも殺人犯として予告され追われる身となる。マイノリティリポートの存在を知り、そこからこのシステムの問題点が暴かれていく。
この映画では、ジョンによって真犯人が明らかになり、この犯罪予知システムの問題点も世に知れ廃止されることになりました。
3人のプリコグもシステムから解放され平穏な生活を送るシーンで終わっています。
この映画は、「2001年の9.11以降アメリカ政府が国民の情報を管理しようとしていること」に対しての政治的問いかけを含んでおり、政府が未来を予測できるようになればどうなるかを問うています。
クライマックスで、ジョンが真犯人に向かって言った言葉です。
「殺人を予知されても、自分が思いとどまって殺さなかったように、自分の意思で未来は変えられる」
確定的な未来は存在しないはずなのに、予測による犯罪防止システムが現実化しつつあるのです。
映画では、システムは廃止されました。
一方、身近なところに犯罪予知システムが入り込もうとしています。
3.ラプラスの悪魔
少し前まで、確定論的な未来予言は可能だと信じられていました。
それが、ラプラスの悪魔です。
ラプラスは自著において以下のような主張をしたそうです。
もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。
— 『確率の解析的理論』1812年
つまり、世界に存在する全物質の位置と運動量を知ることができるような知性が存在すると仮定すれば、その存在は、古典物理学を用いれば、これらの原子の時間発展を計算することができるだろうから、その先の世界がどのようになるかを完全に知ることができるだろう、と考えました。
しかし、20世紀初頭に開花した量子力学によって、原子の位置と運動量の両方を同時に知ることが、原理的に不可能である事が明らかになりました。(不確定性原理)
これによりラプラスの悪魔の概念は、古いものだと言われるようになったのです。
つまり、確定論的な未来は存在しないことになります。
とはいえ、この量子論も、超ひも理論による多世界解釈によっては多くの未来が同時に存在するという可能性は示しています。
それでも、未来は確定的ではなく、選択可能な不確実な世界のはずです。
4.まとめ
2020年にオリンピックを控える東京都や神奈川県は、人工知能を応用した防犯システムを真剣に検討しています。
多くの国の人がやってくる祭典を無事に終わらせるためには、こうした防犯の仕組みは願ってもないシステムでしょう。
しかし、オリンピックが終わってもそのシステムは稼働し続けるでしょう。
怪しい行動をする人は、システムがアラームを出し、その人物をマークし始める。
そんな監視社会が来るかもしれません。
米マサチューセッツ工科大学のゲイリー・マークス名誉教授は、こうした技術を「アルゴリズムの独裁」と呼んでいるそうです。
防犯システムが、市民の安全な社会生活の提供に役立つものの、監視社会となるリスクもはらんでいます。
あなたは、
こうした時代の到来をどう受け止めますか?
犯罪予測はもうそこまで来ています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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