今日もご訪問ありがとうございます。
新年度が始まり1ヶ月が経ちました。皆さんの中には、新たな環境で周囲とコミュニケーションでご苦労している方もおられるのではないでしょうか?今日は、人との会話にストレスを感じているあなたに改善のヒントをお届けします。交流分析という手法をご紹介します。
1.交流分析について
対人関係のスタートは自分を知ることから始まります。
自分を知ることで、他者も理解できるようになります。
特に、日常の会話の中で自分が相手とどのような交流をしているかを知ることは、対人関係の改善にとても役立ちます。
自分の話し方の片寄りやゆがみに気づくことで、改善すべき点が明らかにできます。
自分の特徴を知り、バランスの取れたコミュニケーションを実現してみましょう。
私たちは自分の内部に3つの「私」を持っており、それを自我状態といいます。
自我とは、「今、自分はこんな状態」といえる1つのまとまりのある状態をいいます。
3つの「私:自我状態」
P:(Parent)親の自我状態
親の考え方、感じ方を受け入れた部分
厳しい批判的な「私」や、
やさしい保護的な「私」
A:(Adult)大人の自我状態
事実にもとづいて判断しようとする
成長して形成された部分
理性的で知的な「私」
C:(Child)子供の自我状態
幼児期の感じ方、行動と
同じ感情・行動を示す部分
自由であけっぴろげな「私」や、
順応的で人に合わせる「私」
人との交流においては、
他人を変えようとせず、自分を変えることで関係を改善するほうが容易で生産的です。
自分の過去は変えられないし、他人を変えることも出来ません。
とはいえ、その自分について正しく理解するというのも容易ではありません。
自分は「こういう自分だ」と思い込んでいる部分が、かなりあります。
本当の自分ではなく、固定的な観念にとらわれた「思い込みの自分」を自分だと思っている場合が少なくありません。
他人との交流の中で、相手から発信される言葉と表情に表れた自我状態を、
「私」がどう受けてどう反応しているかを知ることを交流分析と呼びます。
それを知ることで改善のヒントが得られます。
2.交流パターン分析
この交流パターン分析は、普段の人との会話の仕方を分析するものです。
分析は、さきほどの3つの「私」を置いて、その会話の方向を矢印で図式化します。
そうすることで、自分と相手の対人関係のパターンを理解できます。
論より証拠。1つ例を見てみましょう。
まず、ア君がA(Adult)の立ち位置で「いま、何時?」と発信します。
それを、イ子さんもA(Adult)の立ち位置で「11時45分よ」と返します。
こうしたスムーズなコミュニケーションを平行的交流といいます。
発信者であるア君が求めた情報を、イ子さんは素直に受取り期待した情報をア君に返しています。
こうした矢印が平行な時のコミュニケーションは長く続きます。
では、この例はどうでしょうか?
同様に、ア君がAの立ち位置から、「いま、何時?」と発信します。
今度は、イ子さんはP(Parent)から「時計くらい自分で見てよ」と返しました。
矢印はPの位置からC(Child)の方向に伸びて、ア君の矢印と交叉しています。
同様に点線で書かれた(うるさいわね)というのは感情の線の方向を表しています。
こちらも交叉しています。
こうした交流を交叉的交流と呼んでいます。
このように期待した返答ではないと交流は長続きしません。
もう1つ見てみましょう。
ア君がCの位置から「お、素敵な服だね」と話しかけました。
イ子もCから「ありがとう。素敵でしょ」と返しています。
表向き(これを顕在的といいます)の交流は平行関係になるので良好です。
しかし、ア君の裏の心理を表すAからCへ伸びる点線もあります。
これは、ア君が心にもないお世辞を言っていて、イ子はそれを真に受けて喜んでいるという、社交場の表面的なみせかけの交流となります。
これを、覆面的交流といいます。
この覆面的交流は、現実の世界でよく使われます。
円滑な人間関係を形成するためにはあえて必要な場面もあるとしています。
いずれにしろ、交流分析では、
「来たストロークと同じ方向に返す」ことで会話が続くとしています。
3.パターンを改善するには
次は、どう改善すればいいかを考えてみましょう。
次の例を見てください。
ア君がAの位置から「資料がまだ届かないんだ」と発信しています。
イ子は、Cの位置からPに向かって「私のせいじゃないわよ!」とア君の発言と
交叉的に返しています。しかも、裏の感情も(責められているようで)とCからPへ伸びています。
こうした交叉状態では、会話は上手く行かないし、続かないのでしたね。
対応の基本は、「来たストロークと同じ方向に返す」です。
では次の図を見てください。
ア君がAの位置から「資料がまだ届かないんだ」と発信しているのは同じです。
今回は、イ子はAの位置から「依頼先には確認したの?」と返しています。
このように同じ方向へ返すと会話がつながります。
次はア君がその返事をすることでしょう。
もう1件、例を見てみましょう。
部長が心配そうに「この作業は時間がかかり過ぎていると思うよ」と、Pの位置からCの方向(親が子を心配するように)に発信しています。
一方、ア君は「いろいろ検討した結果、安全性の高いこの方法がいいと判断しました。」とAで(ビジネスライクに)返答しました。
そのため、交叉状態が発生しました。
部長はそんな返事を聴きたかったのではないですね。
次に、同じ方向に返す例を見てみましょう。
部長がPの位置からCの位置に返すのは同じです。
そこで、ア君が、Cの位置からPの位置にめがけて
まず「ご心配をかけて申し訳ございません」と返しています。
これで、交叉状態は解消します。
その上で、ちょっと間を置いて、Aの立場で返答することで自分の言いたいことも受け入れてもらいやすくなります。
こうした対応の方法は、これが唯一絶対の解答という訳ではありません。
この例でも、部長に対してコーティングの手法を用いて、質問を返すというやり方も考えられます。
あくまでも、交流分析という手法を用いた1つの改善事例を示すものとご理解ください。
ご参考になれば、幸いです。
以上が、交流パターン分析のご紹介になります。
4.練習問題
ご説明した交流パターンを頭に入れて、自分が出しやすいクセに気をつけながら会話を出来るようになっていきましたいものです。
そのためには、3つの私(自我状態)を臨機応変に切り替えるための訓練をして実践する力をつけることが大切です。
ぜひ、練習してみてください。
とっておきの練習方法をあなただけにお教えします。
とても簡単なので、ぜひ試してみてください。
イスを1つ用意します。(ちなみに、練習はみんなでやると更に効果的です)
そして、
Pの位置から話す時は、
「立って下を見るように」話しをします。
Aの位置から話す時は、
「イスに座って」話しをします。
Cの位置から話す時は、
「しゃがんで上を見るように」話しをします。
たったこれだけです。
行動と合わせて行うと、気持ちのチェンジが身に付きやすくなります。
最後に3つ練習問題をつけました。
お時間のある人はトライしてみて下さい。
パターンの解答は本文終わりにあります。
問題1
A「課長、プロジェクトの説明をしていただきましたが、やっぱり納得がいきません」
B「どの点がわからないのか言ってみなさい。納得のいくよう説明してあげるから」
問題2
A「あんなにやかましい係長には、とてもついて行けません」
B「君の同僚は困った様子もないけれど、あなたに問題があるんじゃない」
問題3
A「今日は、早く帰るって言ったじゃない。もう12時よ。あなたなんか大嫌い」
B「なんだい、君だって約束をたがえることがあるだろ、僕ばかり責めるなよ」
問題は以上です。
5.まとめと解答
・自分の話し方のクセを知り、改善すべき点を理解しよう。
・自分の内部に3つの「私」を持ち、それを自我状態という。
・交流パターン分析で、対人関係のパターンを理解しよう。
・対応の基本は、「来たストロークと同じ方向に返す」です。
練習問題の解答
問題2と3をどう改善すると良いかはぜひ自分で考えてみてください。
力量向上に役立ちます。
唯一絶対の解はありません。うまくいけばそれがひとつの解です。
今日も最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
以下は、前回のブログへの返信です。
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6.前回のブログのお礼
いつもブコメや☆をいただきありがとうございます。
ブコメへの返信と☆のお礼をさせていただきます。
りょうこさん(id:flowcare)問題解決指導教育個性レベル「自分のスタイルを押し付けない」は鉄則。相手の個性やその時の状況を的確に判断してアプローチできたら完璧。自分自身の傾向を自覚しなければ。
→コメントもいただいた上にブコメもしていただき、いつもありがとうございます。お困りのことが少しでも解消出来たらと願っています。りょうこさんもコミュニケーション論について、色々学ばれているようなのでこの記事を書くことをだいぶ躊躇しました。でも、前回のブコメコメントでご返事したことを言い訳にして書かせていただきました。少しでも記事が参考になれたら嬉しいです。
P.S 先週から小さな喫茶店の診断が始まりました。記事に出来るかはまだ分かりませんが、ガンバリマス。
あさみさん(id:asamiii9)確かにメンバーの力量を確認しておかないと、その人に合った内容の作業ができなくなりますよね
→ブコメありがとうございました。この力量確認は大事ですね。しかし、実際の判定はなかなか難しいものです。いつかそうした点も評価しやすい方法も調べてまとめてみたいと考えています。
つうぷとぅん(id:tsuputon7)こんにちは 特に大人を教育するというのは複雑で難しいことですが,このようにタイプ分けすると教育側としては対応しやすくなります…特に現場でのコミュニケーションには有効だと思います ありがとうございます!
→本当に人を教育するというのは難しいことですね。つうぷとぅんさんは教師をされているので日々現場で色々経験されているでしょうね。「対応しやすくなる」とおっしゃっていただけると嬉しいです。名言いつも感心して読ませていただいています。ああいう文章がスラスラと書けるようになりたいと参考にさせていただいています。
よこりんさん(id:tinyoko8)タイプ別の指導ポイント、非常に参考になりました。子供達を育てるときに何か指標っぽいもの無いかなと探してたとこで、長男はこっちで次男はこっちだなと役立ちました。有難うございます。
→すごく嬉しいお言葉をいただきありがとうございました。タイプ分析がお子様の指導にも役立ちそうですか。良かったです。よこりんさんは論理派の方のようなので、こうした分析手法はいろいろご利用されているのでしょうね。筋トレの記事すごく参考になりました。実践してみます。
あーや様(id:Ayako28)とてもお勉強になる記事でした有難うございましたm(_ _)m あっ!!まねき猫様の誠実さと十分有難いお気持ち理解しておりますので私のブコメや☆でのコール外して頂いて大丈夫です(^_^)問題ありません気楽にでお願いしま~す
→あーや様、お忙しい中ブコメありがとうございました。ファンとして本当に嬉しいです。ファンはかってにやっておりますので、私からのコールは無視してください。熱ーい想いだけ受け取ってくださ~い♡
島猫さん(id:catpower)たいへん参考になりました。この分析は学校教育にも当てはまりますよね。特に「あなたの持つ学習スタイルを押しつけない」はとても大事だと思います。
→島猫さんのようなご意見番に褒めていただくと、猫も木に登ってしまいます。(あ、猫は木に登るの普通でしたね(^_^;アセアセ)学校教育の現場は指導の準備をする時間もないと嘆く現場のことが新聞に載っていました。スタイル分析をうまく利用して効率的に進めることも必要かと思います。島猫さんのように意見が言えるようになりたいものです。
パパさん(id:papayapapa)人事部門の教本のような内容ですね。さすがは技術畑です。そして、人を理論で変えようとする姿勢が私にないところです、まねさんいい上司で、慕われたでしょうね。理論どおり行かないのが人間だと思っています。
→パパさん流のお褒めのお言葉。嬉しくいただきます。ありがとうございます。実は、こんな記事を書いていて、私、理屈屋なので感情面の対応がとてもへたくそなんです。人は感情の動物だからその点では、まだまだ勉強していかないといけないです。株取引は感情の世界だから、パパさんに向いているのでしょうね。記事で勉強させていただきます。
mashleyさん(id:mashley_slt)全世界の上司に読んで欲しい記事!なんて丁寧な育成方法の説明なんでしょうか!若手を上手く育てるにはまず相手の特色や性格を知りそれに合わせた対応が必要ですね。育成が上手くいかないと悩まれている方こちらへ!
→mashleyさん、最高の褒め言葉です。乗せるのうますぎです。mashleyさんのブログを読むとビジュアルと文章がすーっと入ってきます。長さを感じさせない構成をいつもすごいと感心して読んでいます。家も完成して町内会などの記事も書かれるようになって、ますます面白くなってきましたね。いつも周回遅れでよませていただく状況ですみません。読者としてついて行きます。よろしくお願いいたします。
以下、ブコメをつけていただいた皆様ありがとうございました。
なおとさん(id:naoto0211)
ナッツさん(id:mixnats)
TURUさん(id:torus1)
さとみさん(id:satomi77)
☆ありがとうございました。
(id:Ayako28),(id:catpower),(id:tareichi)
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終わり