新年度が始まると、会社ではいろいろな目標作りが始まります。今日はその中でも実践的な品質目標を立てる際に気を付けることをお伝えします。
1.品質改善は指数関数
今日のメインのお題はこれです。
品質不良 「ゼロ」 は活動の達成目標としてはふさわしくない
になります。
なぜかを一言で言うなら
品質改善は指数関数的な減り方をする
からです。
一方、実際の会社の目標においては、
品質目標 〇〇不良 ゼロ
ということをよく目にします。
こうした目標は、「達成したい姿」としての目指す姿、
あるいは、活動のスローガンとして用いるのであれば、ありです。
それは目指す姿は、理想的なゴールとして描くからです。
しかし、実際の改善活動における問題発見のギャップ抽出に用いる目標としては適切ではありません。
特に中間目標やマイルストーン、解決目標としてはふさわしくない目標の示し方です。
さきほど言いましたように、品質改善は指数関数的な減り方をすることが知られています。
つまり、1人より2人、2人より3人を投入すれば減る効果が大きいということです。
また、時間のかけ方としてみると、活動の初期段階では急激に不良は減り改善しますが、その後投入時間(工数)をいくら増やしてもなかなか減らなくなります。
ゼロにするためには理論的には改善に要する投入時間や工数は無限大となってしまいます。
よって、理論上は不良 ゼロは実現できないことになります。
もちろん、時々ある時間だけゼロになることはあります。
しかし、それは観測の揺らぎ(バラツキ)であって継続的にゼロになったことではありません。
2.現実的な目標設定
私たちが行う改善の活動は、つねに有限の資源(リソース)で行うことが普通です。
投入可能な時間(工数リソース)を考えて中間目標や解決目標は設定することが大切だということです。
また、その際の投入時間と減り方のベースラインになるのは、以前に行った改善活動の結果です。
何人でどのくらいの期間でどんな品質改善が出来たかを振り返ればおおよその目安として利用できます。
たとえば、前回が2人かけて半年で不良を半減(50%減)出来た結果を残せたことがあったなら、それを参考にするとほぼ上の図と同じ曲線で改善できることが予測できますから、下のように推定することができます。
「え、目標の立て方ってそんなにいい加減でいいんですか?」という声が聞こえてきそうです。
一言でいえば、「いい~んです」
上の人への理屈は後で適当につけてください。
「〇〇不良は、アレニウス則に沿って改善することが知られている。したがって…」
くらい言っておいてください。
今回も2名で半年の活動期間ならだいたい半分の50%にする目標を立てるか、
少しストレッチ(背伸び)して60%減にするか
くらいの選択幅が活動を現実的な範囲です。
倍の4名の人を投入出来るなら図からすると70%減(不良 1/3)と設定できるでしょう。
しかし、ここで1つ問題があります。
上の人が、「品質不良は「ゼロ」が当たり前だ」
と言ってくるかもしれないことです。
もしそうした頭の固い上層部の人にあたってしまったら、残念ですが反論するのは時間の無駄です。
「わかりました。目標はゼロでいきます」
と答え、内部の活動目標は現実的な削減値を使いましょう。
活動のメンバーの評価目標はしっかりとあなたが現実的な実現可能なゴールとして定めてあげてください。
品質改善活動は、「下るエスカレータを登るがごとし」と言われます。
品質改善活動(登るの)を止めると品質は確実に悪化することを例えています。
しかし、改善活動を継続していると確実に不良は減っていきます。
ある時期の品質不良を100%とすると、1期目は50%減ですが、
次の期には50%×50%=25%、
3期目は50%×50%×50%=12.5%、
以下4期目は6%、
5期目は3%、
6期目は2%、
7期目はなんと1%を切ります。
7年継続すれば100%→1%以下に出来ます。
「継続は力」ですね。
3.おまけ-目標から計画作りのステップ
最後に、目標から計画作りのステップを図解としてつけておきます。
参考になれば幸いです。いずれ記事にしてみます。
では、よい目標づくりをスタートされることをお祈り申し上げます。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
これ以降は、前回のブログへのお礼です。お時間のある方はご覧ください。
お時間のない方は、以下の「終わり」をクリックすると最下段へ飛びます。
コメントなどいただけると励みになります。
(今週は身内に不幸があり、土曜日の更新となってしまいました(- -)合掌)
5.前回のブログのお礼
つうぶとぅんさん(idtsuputon7)今回も図解説明でとてもわかりやすく読めました…役立ちそうな知人がおりますので,この記事,紹介させていただきます!ありがとうございます!
→ご紹介までしていただき感謝感激です。お役に立てばいいのですが…図解もおほめいただいたのもうれしいです。これからの力になります。
あーや様(id:Ayako28)わざわざお返事いただきまして有難うございました。次からはスルーでオッケーですよ(^_^)とても大作の記事ですね~素晴らしいです。良い週末をお過ごしください
→お留守中のコールすみません。あーや様をスルーは出来ないですーm(_ _)m勝手にバンバンしておりますので、あーや様はスルーでお願いいたします。
鯛さん(id:tai_mijinko)メリットの方が大きい気がします!
→いつもコメントありがとうございます。そういっていただけると嬉しいです。
あさみさん(id:asamiii9)懐かしい…
→あさみさんも新人担当をされたことがおありのようですね。その当時を振り返っれていかがでしたか?良くも悪くもあさみさんのご成長に寄与したことと推察いたします。
パパさん(id:papayapapa)スゴイ大作ですね。技術屋の完璧主義を感じます。でもマネタイズからすると相当もったいない。5本分位に分けて掲載した方がお得ですよ。そしてアドセンス狙ってください。本当は好きなことが書きたいんですが、、。
→そうなんです。私はマネタイズの点では全然だめですね。いつかアドセンスを狙えるように頑張ります。少しづつ変えていこうと思います。気長にお付き合いください。
長沼さん(id:n_hiro123)昔、モンスター新入社員のメンターになった時のことを思い出しました・・・
→あらら、モンスター新入社員のメンターをされたことがあるのですね。それは大変でしたね。お察し申し上げます。でも、長沼さんならそんな社員でも上手に指導されたのでしょうね。
mashleyさん(id:mashley_slt)丁寧なご返信ありがとうございました。募集要項にOJT研修と書かれた会社はよく目にし、そういった会社で働いたことがありますが名ばかりだったことがあります。ぜひこちらを参考にし研修の目的を考えていただきたい。
→ブコメへの言及ありがとうございました。MS家は、インテリアのセンスが素晴らしいです(*^▽^*)写真やポスターはお好きなようですね(^0^)着々と完成していく様子が伺えいつも楽しみにしております。
りょうこさん(id:flowcare)OJT新人教育計画目標スケジュール化今回もわかりやすい内容です。図説も親切ですね。学生の臨床実習や職場の新人教育(部署異動)もずっとやってきましたが、ちゃんとした計画書は作っていませんでした(汗)
→りょうこさんにわかりやすいと言っていただけると嬉しいです。図説もおほめいただき感謝です。新人教育を何人もされた人は、「直観でOK!」ですからりょうこさんなら心配なしですよ。
以下のみなさま、ブコメありがとうございました。
TORUさん(id:torus1)
さとみさん(id:satomi77)
YUUさん(id:hate555mote)
なおとさん(id:naoto0211)
ナッツさん(id:mixnats)
☆のお礼 いつも☆をつけていただきありがとうございます。
あか男さん (id:mraka2015),さとみさん(id:satomi77),TORUさん(id:torus1),たれいちさん (id:tareichi) ,父ロボさん (id:titirobo),りょうこさん(id:flowcare),mashleyさん (id:mashley_slt),ぱぱさん (id:papayapapa),そらさん (id:sora1530) ,ナッツさん(id:mixnats),あーや様 (id:Ayako28),ひつじさん(id:nyanteicafe),ユート・クライフさん(id:YutoCruyff),(id:purehabu),(id:shmegmeg),つうぶとぅんさん(id:tsuputon7),亀仙人さん(id:ichisin),(id:senonichijo),たろせけさん(id:kitahana_tarosuke),(id:grazieatutti),くおさん(id:cuLo),(id:kikasumi8),(id:tigerace1943)
終わり