当ブログにお越しいただきありがとうございます。今日は、久しぶりに問題解決をテーマにしてお伝えします。お題は「未経験な問題に取り組むツボ」です。
「コツ」ではなく、「ツボ」です。
「コツ」と「ツボ」の違いは最後にお話します。
今、問題解決でお困りの方に、少しでもお役に立つと幸いです。そうでない方も、しばらくおつきあいいただけると嬉しいです。
(この記事は、ホームページに書いたものをリニューアルしたものです)
未経験な問題とは
「未経験な問題」という表現はあまり目にしないかもしれません。
一般的な問題の分け方は、問題解決そのものに視点を置いています。例えば、
・発生時期による分け方
(例 発生型の問題(過去)、探索型の問題(未来))
・問題の種類による分け方
(例 発生障害型問題、未達問題、設定型問題~)
一方、未経験な問題という表現は、問題に取り組む当事者に視点を置いた分け方です。
この分け方は、会社時代から私なりに問題解決の方法をどう伝えていこうか悩んだ中から整理した方法です。
いま問題解決で困っているあなたが直面している内容が、未経験な問題なら取り組みの何らかのヒントになるでしょう。そのご確認をぜひしてみてください。
なお、問題そのものの定義は、以下を参照ください。
さて、今あなたが取り組む問題が、何なのかざっと分けてみましょう。
まずは、大きく2つに分かれます。
「解決できない問題」と「解決できる問題」です。
「解決できない問題」とは、人の感情に関わることや、有限な資源の元では対処できない問題などです。世の中にはそうした問題も多いものです。もし、今あなたが抱えている問題が、こうした問題の場合は、哲学の力を借りたり、イノベーションによる新たな価値創造によって進めることになります。
今あなたが抱えている問題がそうした問題なら、ごめんなさい。今日の時点では力になれません。
この記事では、そうした「解決できない問題」を除いたあなたが「解決できる問題」について考えていきます。
さらに「解決できる問題」を、分けてみましょう。
「経験済みの問題」と「未経験な問題」に分かれます。
加えて、今日のテーマである「未経験な問題」を分けると
「解決手順が存在する問題」と「解決手順が未発見な問題」に分けられます。
ずいぶんとまどろっこしい説明ですみません。
このように分けることは、問題解決を進める上で、とても大切な作業です。取り組むことを分解する(分ける)ことで、理解しやすくなったり、実践のポイントを見極めやすくなります。
もう少しおつきあいください。
ここまでにまとめたことを、あなた視点からまとめ直すと、下の図のようになります。
あなたが直面する「解決できる問題」を大きく分けると以下の3つになります。
①あなたが経験済みの問題で解決手順を知っている問題
②世の中には解決手順が存在するが、あなたはそれを知らない問題
③あなたも世の中のだれも、解決の手順を見つけていない問題
このうち、②と③があなたが未経験な問題になります。
つまり、
②世の中(職場の上司や同僚なども含めて)には解決手順が存在するが、あなたは解決手順を知らず、経験していない問題と、
③あなたも世の中のだれもが解決手順をみつけていない問題
になります。
③は解決できたら発明レベル、新発見に関わる問題解決です。あなたは、この問題を解決できると学会や技術誌で発表したり、その方法を特許出願して独占できるような難度の高い問題になります。しかし、取り組むならそれなりの覚悟が必要となる問題です。
また、②の問題は2つに分かれ、手順を知るだけで取り組める問題と、手順を学んだ上に訓練(経験)を踏まないとできない問題に分かれます。この差は、あなたの経験値のレベルによって生まれるものです。
あなたの経験値のレベルが高ければ、未経験な問題の中で取り組みやすいものの比率が向上することになります。また、経験値の差で、訓練をする必要がある場合は、取り組む手順も訓練を加える分長くなります。
未経験な問題の取組み方(ツボ)
「未経験な問題」の基本手順はP-DCAサイクルに沿って取組むことになります。
PDCAサイクルとは、以下のマネジメントサイクルを回すことをいいます。
Plan :計画を立てる
Do :実行する
Check :評価する
Action :改善する
「長い前置きをしていながら基本の手順を回せなの?」
そう感じた方も多いかもしれません。
でも、いままでいろいろな人の問題解決のヘルプをして、その人の進め方を聞くと、
「基本を守っていないのでは?」と思われるケースがとても多いのです。
一番多いのは、D-CAPでサイクルを回すやり方です。これは、経験済みの問題の対処の仕方です。直感で解決策を決めつけてそれを実行してしまう…
それ自体は、悪いことではありません。あなたが経験済みな問題であればです。
PDCAサイクルは、どのタイミングから始めてもいいのですが、問題の性質によってどこから始めるともっとも効果的なのか始める位置が大切になります。
いまご説明した通り、D-CAPサイクルは、経験済みな問題の対処方です。
詳細は、以下のブログで書いているのでそちらを参照ください。
しかし、あなたが経験したことのない問題や課題に遭遇した場合は、まずは、どのようにその問題や課題に対応するのかを仮にでも良いので計画を立てることから始めます。
もし、あなたの経験値が高くやり方を知らないだけの問題であったら、対処は簡単です。そうした問題については、解決のプロセスを知るだけであなたは解決できる可能性があります。
現代はインターネットの普及で膨大な知識の泉を検索することが可能になりました。また、ネットを介して質問をすると解決策を有識者が答えてくれるサイトも多くあります。そうした場を活用することであなたは容易に解決のプロセスを見つけることができるでしょう。
下の図はジョハリの窓風にあなたと他の人たち(世の中)の解決プロセスという知識の状態を4つに分けたものです。
ここで、あなたは「解決プロセスを知らない」が、他の人は「解決プロセスを知っている」の枠を見てください。
たとえば、あなたがいろいろな料理をしたことがあり、料理の経験値が高いとしましょう。料理番組を見ていて「おいしそうな料理」と思い作りたいと思ったものは、その料理のレシピを入手(知り)さえ知れば作れるはずです。あなたはさっそくネットでそのレシピを手に入れて料理作りの準備を始めることでしょう。
これは、P-DCAサイクルでいうと、Pというプロセスを世の中のデータから入手してすばやく完了して、Dの料理準備という実行のステップに「ささっ」と移ることになります。このように未経験な問題でもあなたの経験値が高ければ、P-DCAのサイクルは、スモールなpからスタートするクイックなp-DCAを回せることになります。
インターネット時代の問題解決の進め方の基本は、外部環境の力を最大限に借りて自分でやらなくてよいステップはできるだけ楽をしてスピード重視で取り組むことを目指します。おそらく、みなさんも普段の生活レベルの問題解決においては、そうした進め方を意識せずに利用されていると思います。ところが、会社の中ではそうした取り組みが十分とはいえないケースを散見します。不具合が再発する場合はほぼそのケースです。
未経験でかつ経験値が不足している取組み方
次に、未経験な問題で経験値も高くない問題にはどう取組むのがよいでしょうか?
一言でいえば、試行錯誤しながら問題解決を目指すことになります。身のふたもないような言葉ですみません。でも、その進め方にも大切なポイント(ツボ)があります。
「富士山は「5合目」から登れ」です。
問題解決のプロセスは、よく山登りにたとえられます。基本的なルートがあって、その道順に沿って山頂を目指す様子が似ているからかもしれません。
とくに、「富士山は5合目から登れ」とコンサルタントの方は言ったりします。ふもとからではなく、5合目までは車で登ってそこから6合目、7合目と進んで山頂にといった感じです。
ところで、なぜ、5合目から登るのでしょう。富士山の場合は五合目から登ると往復がおよそ9時間くらいだそうです。1日で往復できる時間になっています。そのため、5合目までは車などの交通機関を使っていくことができるようになりました。ふもとからいくとおよそ2倍の18時間以上かかるようです。
ビジネスは仕事を効率的に進めることが求められます。そのことは、問題解決にも求められます。できるだけ、ムダを省いて合理的に希望の期限までに早く解決してほしいわけです。
世の中にある解決プロセスを活用することで、基本的な問題解決のステップ(手順)を出きるだけ省略して進むことができて合理的に問題解決ができるからです。
蛇足ですが、「富士山 マニュアル」で検索すれば、以下のような富士登山のマニュアルを見つけることができます。
このホームページを参考にすれば、始めて富士山に登りたいという人でも、迷うことなくほぼ確実に実現できるでしょう。
まずは、この問題のどこが山の5号目なのかを調べて計画のPから回すP-DCAを実践していくことになります。
仕事の場面でもベテランと初心者では、解決のスピードや完成度がまったく違う場面をよく目にします。経験の差が、解決できる割合を左右します。
ベテランは見かけ上手順を踏んでいないように見えます。しかし、過去の経験の中でそうしたステップを踏んだ経験則が蓄積されていて、思考検討の中できちんと手順を踏んでいると言われます。
今日のツボ
・「未経験な問題」はP-DCAサイクルを守って取組む
・やり方を知らない問題は、解決のプロセスを調べてから取り組む
・未経験でかつ経験不足の問題は、世の中の知恵を借りて、5合目から登る
でした。
あなたが問題解決にさっそく取り組まれることを願っています。
ツボとコツについて(再掲載)
以前にも書かせていただきましたが、改めてお伝えします。
さきほどの②の「世の中には解決手順が存在する問題」では、知れば解決手順を踏める問題と、知ったうえで訓練が必要な問題があると言いました。
こうした知ってわかる知識を「ツボ」といいます。
「ツボ」は伝えることが出来る知識です。
ゲームの勝つ方法や、数学の公式の解法手順などはまさにこの「ツボ」といえます。
しかし、経験値を高めるのは試行錯誤し体で覚えるしかないものです。
これを「コツ」と言います。
テレビゲームをしたことのある人はよくわかると思いますが、RPG(ロールプレイングゲーム)型のゲームではダンジョン(戦う場)に入って出て来る多くの敵と戦います。戦い初めは相手も弱いのでなんとかをやっつけるわけですが、終盤になると超強敵が表れて経験値が不足して、あえなく破れーゲームオーバーとなります。しかし、何度も戦っていると戦い方が分かってきてその最強の敵をやっつけることができるようになります。そうした戦い方の「ノウハウ」はゲームのサイトで公開され、周知されたりもします。一方、経験値自体は実際にゲームをして戦いを繰り返さないと高まらないものでした。
もう少し、図を例に説明すると、
「ツボ」は、図の整体(マッサージ)における体の不都合を改善するポイントを「ツボ」と呼ぶのと同じで知ればわかります。
一方、「コツ」は知っただけでは使えない技能的な側面を持っています。数学の公式を「ツボ」といいましたが、実際に使えるようになるには、いろいろな問題を解いてその解き方を身体(頭)に覚えさせなければなりません。学校の授業はこうした「コツ」を習得する場になっています。整体のような技能の「コツ」も同様で、押すコツの1つに「無駄な力を抜いて、深く入れる」というのがありますが、それを会得するには多くの人を実際に押して効果的な方法を身に付けていくしかありません。このように「コツ」は訓練をして身につけていくものといえます。
コンサルタントの世界では、この「ツボ」と「コツ」の身に着け方には格言があります。
「まずはツボ(ポイント・急所)、つぎにコツ(テクニック・要領)。反対はだめコツツボ(骨壷)でナンマイダーになる」
私たちは、普段「コツ」を求めがちです。早く結果を出したいなら「ツボ」を知り、手順に気をつけたいものです。
今日は、5000字を超えてしまいました。(反省)
読んでいただくには、ちょっと大変だったかと思います。すみません。
伝えきれない部分はまた追ってお話したいと思います。
今日は、問題解決における「未経験な問題に取り組むツボ」について書いてみました。
長い文章を最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。