ダイエット
基礎代謝の詳細内訳が分かる資料を見つけました。せっかくなので、自分の為に消費エネルギーに関する知識と共に整理してみました。ダイエットなどをしている方で、興味を持たれたらお付き合いください。
ダイエットの基本
ダイエットをしている方なら、体脂肪を落とす基本はご存じの通りです。
摂取エネルギー<消費エネルギー
で、体脂肪が減ります。
シンプルですね。とはいえ、その実現は中々困難です。
今回、入手した資料をベースに基礎代謝と消費エネルギーについての、その少々複雑な内容を確認していきたいと思います。
消費エネルギー
消費エネルギーは次の3つの足し算です。
消費エネルギー=基礎代謝+身体活動消費+DIT
ですね。
なお、身体活動消費は、NEATと運動の和です。
基礎代謝が、60~70%と最も比率が高くなっています。なので、ダイエットでは基礎代謝を高めようというYといったYouTubeなどの動画をよく見かけるかと思います。
その他は、
DIT(食事誘発性熱産生)が10~20%
身体活動が20~30%となっています。
それぞれの内訳をみていきましょう。
基礎代謝
基礎代謝は、生命を維持するための最低限のエネルギー消費のことです。例えば、寝ているような状態での、身体を動かさないでも消費する1日のエネルギーの総量です。消費エネルギー全体の60~70%を占めると言われます。
1日の基礎代謝量は、
成人男性でおよそ1,300~1,500kcal
成人女性でおよそ1,100~1,200kcal
と言われていますが、年齢や筋肉の付き方でかなりバラつきます。
基礎代謝の内訳を見ていきます。
主な基礎代謝の内訳でよく説明されている割合です。
基礎代謝量の主な内訳は、
筋肉 22%
肝臓 21%
脳 20%
です。
この3つの臓器で全体の63%を占めます。
このデータの出所が中々分からなかったのですが、ひょんなことから見つけました。
詳細なデータが男性70kgの例で示されています。こちらです。
見つけたのは、厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトです。
参照のURLはこちらです。
元データーは、栄養学総論 改定第3版 南江堂, 141-164, 2006でした。
さて、残りの内訳で多いのは、
心臓が9%
腎臓が8%
の順です。内臓は肝臓も含めてけっこう消費量が多いことが分かります。また、以外と脂肪は少なく4%しかありません。
男性70kgの基礎代謝が、1,700kcalは結構高い値です。さきほど、ご紹介したように厚生労働省の値では、1,300~1,500kcalとなっています。この数値のサンプリングをどのようにしたのかは、本を購入中なので分かったら、この記事に追記したいと思います。
さて、女性の基礎代謝の内訳は、探しましたが見つかりませんでした。
仕方がないので、推定値を作ってみました。
このデータでは、女性の体脂肪率を29%として求めています。
日本肥満学会のデータから18歳~59歳までの+標準における低位置がだいたい29%です。体脂肪量が決まると、筋肉量などもほぼ決まります。ちなみにこの例では筋肉量は、31%になります。
さて、女性50kgに場合の、主な内訳を上位順に並べると、
肝臓 18%
脳 18%
筋肉 12%
となります。
男性と比べると、筋肉量が少ないために、筋肉のエネルギー消費が少ないです。
この前提での、50kg女性の基礎代謝量は1,300kcalとなります。
この1,300kcalも、厚生労働省のデータと比べるとかなり多い値です。厚生労働省のデータでは以下の通り、女性の18歳~69歳では、基礎代謝量は1,100~1,150kcalとなっています。
基礎代謝を知るだけでも調べ始めると1つ何かが分かっても、そこから次の?が生まれてしまうのでなかなか大変ですね。
筋肉つけても基礎代謝はそう増えない
今回入手した基礎代謝の内訳を見て、あれっと思われた方が多いのでは?
そう、筋肉をつけても基礎代謝はそう増えないと言うことです。
表にあるように筋肉が1kg増えても、13kcalしかカロリー消費は増えません。
70kgの男性の基礎代謝量は1,700kcalでしたので、それが1,713kcalになるだけです。増加率はたったの0.8%にすぎません。しかも、筋肉を1kg増やすには、相当のトレーニングと食事管理をしてタンパク質を摂取しないといけません。
この点から、スポーツジムが、「筋肉をつけて基礎代謝を増やしましょう」と勧誘するのは、怪しいお誘いだということがわかります。そんなことをいうトレーナーには注意をした方が良いです。
とはいえ、筋肉をつけるのは無駄かというとそんなことはありません。生活全般の質を高めることに有効ですし、この後説明する身体活動を行う上でも必要なことです。
基礎代謝には筋肉の増加は、あまり効果が無いだけのことです。
話の流れから、次は身体活動による消費について確認してみます。
身体活動による消費
身体活動のエネルギーは、 NEATと運動の合計です。
NEATとは、 家事や日常の生活で消費するエネルギーです。
そして、意図的に運動やスポーツで消費するエネルギーが運動分です。
およそ消費エネルギーの20~30%を占めると言われます。
仮に20%とすると、基礎代謝が1500kcalなら、
428kcalになります。
結構なエネルギー量になります。
こうした活動では、筋肉が動くことでエネルギーを消費します。筋肉の多い人が消費エネルギーが多いことになります。ここでは体重別での消費エネルギーをいくつか紹介してみます。
NEATで消費するエネルギーの例です。
たとえば、家事や育児をしたときの消費エネルギーは、以下の通りです。
データ参照: 消費カロリー早見表|タニタマガジン | タニタ
2022年9月16日版 以下同様
体重約60kgの人が、掃除機を15分かけると50kcal消費します。
皿洗いで、18kcalといった具合です。
家事を小まめに行うことによる、ちり積もの消費エネルギーですね。
日常や仕事での活動消費エネルギーは、以下の通りです。
こちらもエレベーターを使わず階段で上り下りするとか、意識して動けばそれなりのエネルギー消費につながります。
さて、積極的にダイエットする時は、スポーツによる消費エネルギーは、効果大です。
ジョギングを20分すると、60kgの人なら、140kcalの消費エネルギーとなります。
スポーツは、苦手という人でも、以下のような運動でも効果が期待できます。
散歩30分で、60kgの人なら、84kcalです。
スポーツを習慣的に行うのは、なかなか大変ですが、意識してダイエットする場合は、軽めの運動を取り入れるだけでも有効なことが分かります。
DIT(食事誘発性熱産出)
DITとは、食事誘発性熱産出のことです。
(DIT:Diet Induced Thermogenesisの略)
舌を噛みそうなので以下DITと書きます。
食事をすると、食べたものを消化しようと臓器が一生懸命に働き出します。
臓器が動くことで消費するエネルギーがDITです。
食事後に身体がぽっぽしてくることはありませんか?それです。
DITは、消費エネルギーの10~20%と言われています。たとえば、低めの10%で、DITの消費カロリーを求めると、
基礎代謝を70%の約1500kcalとするなら、
10%は、
1500÷70%×10%=214(kcal)
となります。
なお、DITが20%なら倍の、428kcalになります。
DITを高めるポイントは以下だそうです。
ポイント
・よく噛んで食べる
・タンパク質の多い食材を取る
・暖かいもの、香辛料の利いた食事にする
・お茶やコーヒーを飲む(カフェインが有効)
・朝食をしっかりと摂る
消費エネルギーを求める
消費エネルギーの個別の要素について確認してきました。
これらの値を合計すると、平時の消費エネルギーが求められます。
例 男性 70kgの人
①基礎代謝 1,558kcal(カニンガムの式)
②DIT 223kcal(1,558÷7)
③身体活動 445kcal(1,558÷7×2)
合計 2,226kcal
となります。
体重増減が無ければ、
今のあなたの生活における摂取エネルギーは大体2,226kcalと考えて良いでしょう。
一方、ここ1ヵ月で1kg太ったとすると、1日に240kcalが脂肪となっているので、摂取カロリーが、2,226+240=2,466kcalになっていると推定されます。
(体脂肪は1kgで7,200kcal 7,200÷30=240kcal)
ダイエットをして、体重を1kgを1ヵ月で減らすなら、摂取エネルギー<消費エネルギーとした上で、エネルギー240kcal分を
①消費カロリーを増やす
②摂取カロリーを減らす
③両方を行う
の3択で工夫することになります。
運動好きの人や、小まめに動く人なら①
運動の苦手な人や生活上中々動けない人は②
両方できそうなら、③で早く体脂肪を落とせることになります。
以上、消費エネルギーの色々を確認してきました。
消費エネルギーを効率的に増やし
摂取エネルギーを合理的に減らすことで
ムリなくムダなくダイエットが進められたら良いですね。
まとめ
・摂取エネルギー<消費エネルギーで体脂肪が減る
・消費エネルギーは、
①基礎代謝
②DIT
③身体活動消費
の足し算
・自分の除脂肪体重を知ると基礎代謝がわかる
・DITを増やす食べ方がある
・家事や仕事でもエネルギーは消費する(NEAT)
・消費エネルギー量は推定できる
何かの参考になれば幸いです。
おまけ(基礎代謝算出法)
基礎代謝の算出方法は色々ありますが、以下に2つのやり方を示します。
カニンガムの式
カニンガムの式は、除脂肪量を利用する求め方です。年齢や性別は関係なく、筋肉量をベースとしているので、信頼度が高いと言われています。
しかし、除脂肪量(体重ー体脂肪量)を測定できないと使えないのがネックです。ちなみに、市販の多くの体組成計はこの式を用いて基礎代謝量を表示しています。
カニンガムの式は、
REE=21.6×FFM(除脂肪量)+370
です。
計算例です。さきほどの体重70kgの人の例を使ってみます。
除脂肪量は70kg-15kg=55kgです。
REE=21.6×55+370
=1,558kcal
となりました。
なお、女性 50kgの例では、
REE=21.6×(50-14.5)+370
=1,137kcal
これらの数値は、厚生労働省の一覧表に近い値となりました。
国立健康・栄養研究所の式
体重と身長、年齢、性別から求める方法です。
筋肉量は考慮しておらず、自分の基礎情報だけで計算出来る簡易的な方法です。
国立健康・栄養研究所による式
男性:(0.0481×体重+0.0234×身長-0.0138×年齢-0.4235)×1000/4.186
女性:(0.0481×体重+0.0234×身長-0.0138×年齢-0.9708)×1000/4.186
計算例
男性 体重70kg 身長170cm 年齢40歳
(0.0481x70+0.0234x170-0.0138x40-0.4235)x1000/4.186=1,522(kcal)
女性 体重50kg 身長150cm 年齢40歳
(0.0481x50+0.0234x150-0.0138x40-0.9708)x1000/4.186=1,049(kcal)
やや体脂肪率の高い人(筋肉の無い人)を想定しているようで、厚生労働省の値より低めの数値が出ます。
体脂肪率が測れる環境の方は、精度の高いカニンガムの式を参照すると良いでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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終わり